書く内容は決まっていても持続力と無いなぁ……。
シンオウ地方のチャンピオン・シロナといえば超が付くほどの有名人だ。少なくとも僕みたいなスローライフ人間でも知っている程に。
というのも、チャンピオンとはドッシリと構えている者ではなく様々な理由を持って各地を周る者なので、自然とバトルを挑まれて腕前を宣伝していくからだ。
ジムリーダーもそうだが、チャンピオンとはバトルに強くて賢ければ良いというわけではない。常人、いや天才以上の才能の知識と才能、そして自身の能力が高くないとならない。
シロガネ山山頂に一年中篭れる程の体力と精神力を併せ持つ者。
世界各地の様々な石を収集しメガストーン研究にも貢献した者。
イッシュ地方の経済に影響を及ぼす、毎年チャンピオンの座を争う少年少女。
カロス地方のチャンピオンには詳しくないが……とにかくチャンピオンっていうのは凄い。強いだけでは片付けられない程に。
もちろん一度二度チャンピオンの座から降りた事があるらしいが、いずれも再び這い上がり、逆に世の中への知名度を高めている。
さて、このシンオウ地方チャンピオンの何が凄いかというと……。
「またヒカリに会いにいらっしゃったのかしら?今は仕事中でして」
「もちろん仕事の邪魔はしないわ、スラスさん。それに今日はお客としてきたのよ?」
「邪魔はしない。つまりは会いに来るのが主な目的なのでしょう?」
「あら、ばれちゃいます?……ほら、ナタネも何かフォローしてよ」
「ヒカリちゃんにダダ甘なシロナさんが悪いです」
「だって可愛いじゃない。チャンピオン戦の前からお気に入りなの」
「確かに。僕は今日初めてヒカリちゃんに会いましたけど、只者じゃないオーラを感じましたねぇ」
「ハヤシ君、だったかしら?あなた人を見る目があるわねぇ」
「けど個人的にはナタネちゃんに軍配が上がります。元気が一番良いので」
「ちょ、恥ずかしいこと言わないで!」
「あら、ナタネちゃんったら恥ずかしがっちゃって。ハヤシ君も罪作りねぇ、このこのっ」
「僕みたいな一般人にゃ、ナタネさんとは釣り合わないですよ」
「私は結構お似合いだと思うけど?緑一色のお笑いコンビみたいで」
「お、お笑いコンビって酷いですよシロナさぁん!」
「お客様リストの物を渡しておきますね(リア充爆発しろ)」
「どわっふ、ミイさんいきなり全部渡さないで、お、重い……」
「あらミイちゃんじゃない。コーディネイトは順調かしら?」
「あ、ご無沙汰ですシロナさん。おかげさまで順調ですよ。それとミイちゃんは止めてください
「……はぁ。お静かにお願いします、お客様。それとミイ、サボっているなら拳固よ」
「真面目に働きますですハイ」
いつの間にかガチガチに堅くなっていた僕は当たり前のように会談に興じており、和やかな雰囲気に包まれていた。
あの生真面目なスラスさんですら、先ほどまで苛々していたのが嘘のように和やかな空気を醸し出している(目つきは怖いままだが)。
まるで元から友人であるのように気安く話してくれるのは、僕の人柄を見抜いたからだという。シロナさん曰く「穏やかで冗談好きな男の子」だとか……僕が20代だと見抜いた上でそう言うか。
シロナさんの凄い所は、この温厚で明るい性格……すなわち人柄だろう。
悪党には容赦はせず、基本はクールビューティとして平等に接し、他者から慕われたり自分が気に入ったりすれば本性を晒してフレンドリーに接する。
雑誌やテレビの特集でもシロナさんの人柄を良く取り上げており、ポケモンにも人にも自分なりの愛情を注いで真摯に付き合う所を評価されているとか。
いつの間にかポケモンに似合うコーディネイトの話題で盛り上がっていると。
―ドッタンバッタン、ギャーギャー
「なんか外が騒がしいですね」
ナタネちゃんが口にした。そう言われてみれば確かに騒がしいな……何か合ったのかな?
なんかシロナさんが真剣な目で窓を見ているので、僕らも窓の外を見て……。
―どこかで見たことある青の似合うナイスガイさんが杖でマグマ団らに殴りかかっていました。
「……チッ」
ちょ、シロナさん何ですかその舌打ちは。しかも青の似合うナイスガイさんを嫌そうな目で見ているし。
ていうかそんな場合じゃないでしょ!なんでこんなシンオウ地方でマグマ団がいるの?コスプレ?成り切り強盗?
けど、気絶しているマグマ団をルカリオ(クケちゃんを一撃で落とした奴だ)が縄で縛っているし、騒動は終わったみたい。
呆然としている僕ら(シロナさん除く)を余所に青の似合うナイスガイさんは人混みから割って出たジュンサーさんに話をして……あ、こっち来た。
―チリンチリン
「やっと見つけましたよ、シロナさん」
「何事も無かったかのように入って来ないで下さい」
一部始終を丸ごとカットしたかのような澄まし顔で参上した青の似合うナイスガイさんマジクール。
間違いない、この人は僕がシンオウ行きの船でクケちゃんを止める時に手伝ってくれた人だ。強いと思っていたけどシロナさんの知り合いなら納得だ。
けどシロナさんの青の似合うナイスガイさんを見る目はまるで仇であるかのよう。な、なぜそげん嫌そうにしとると?
「あらゲンじゃない。随分と早かったわね」
「チャンピオンから頼まれましたからね、早い内に片付けるのは当然でしょう?シンオウへ帰ってきたのは今日です」
「こうてつ島で修行ばっかしている貴方の為に、旅行ついでに頼んだつもりのだけどね」
「旅行ついでに
「あら、人探しに便利な波動を使える貴方なら簡単なお使いだと思ったのだけど?」
「……はっきり言いましょう。僕を遠ざけるつもりなら無駄ですよ?」
「うふふ、なんの話よ。失礼ねぇ」
「本当ですね」
「うふふ」
「ははは」
―バチバチバチバチバチ
み、見える……笑い合う2人の目線上で激しい火花が散っているのが僕でも見える……!
ナタネちゃんに視線を向ければ冷や汗を掻きながら衣服を選ぶフリをしているし、ミイさんを見れば「さて仕事仕事」と無視している。助けは無理そうだ。
この2人の反応を見る限り、この2人の仲は最悪なんだろう……え?腰がカタカタ震え……ポ、ポケモン達がモンスターボールの中で怯えている、だと!?
笑顔で無言の圧力をかける2人を前に、僕はどうすることもできずこの圧力に屈してしまうのだろうか……そう諦めかけたその時!
『休憩中』と書かれたスケッチブックを抱えたヒカリちゃんが作業所から戻ってきた。
―その直後、空気は一変する!
「ヒカリちゃ~ん!」
仮にもチャンピオンであるはずのシロナさんは嬉しそうにヒカリちゃんに抱きつこうと近寄り。
「やぁヒカリ君。お邪魔しているよ」
そんなチャンピオンの壁になるかのように一歩前に出て、ナイスガイことゲンさんはヒカリちゃんに微笑む。
阻まれたシロナは一瞬だけ怨敵のようにゲンさんを睨み、ゲンさんは振り向き様にドヤ顔を見せる。ナイスガイとはなんだったのか。
けど2人の姿を見たヒカリはパァっと嬉しそうな顔を浮かべて駆け寄る。すると2人は瞬時に表情を微笑みに変える。
―これを見て解った、ていうか確定した。この2人はヒカリちゃんが大好きで、どちらが一番か競い合っている仲なんだと。
呆然とそんな3人を見ていたら突如腕が引っ張られた。何事かと声を出そうとして、ナタネちゃんの手で蓋をされた。
そのままナタネちゃんに引っ張られ、コソコソと3人から距離を取る。うわ、だだ甘オーラ全開だ。
(ごめんねハヤシさん、びっくりしたでしょ?)
(色々な意味で。……で、詳細は?)
(シロナさんとゲンさん……あの青い服が似合うナイスガイね……はヒカリちゃんにメロメロです)
(効果は抜群か)
まさにその通りです、と言わんばかりに頷くナタネちゃん。
傍ではゲンさんのルカリオがヤレヤレと言わんばかりに首を振っている……ていかいつからココに居るし。
もう一度3人を見ると……実に楽しそうに話している。互いの尻を抓っている大人2人の後姿さえ見なければ仲良しに見えたのに。
……ミサトに頼まれた物を受け取ったらさっさとノモセに行こうそうしよう。
「そういえば君、この間に船で会ったよね?久しぶり」
「あら、君はゲンとも知り合いだったの?」
は、話をこっちに振って来たー!
―続く-
チャンピオンと波動使いをダメな大人にする癒し系美少女・ヒカリちゃん(特性メロメロボディ)。
シロナとは姉妹、ゲンとは師弟または兄妹のような間柄。ヒカリは2人が大好き。
グダグダしてきたので物語を進めるペースを上げます(更新速度が上がるとは言っていない)
トレーナー同士の日常を描くのもいいけど、やっぱポケモンも出したいので。