ポケットモンスター・ライフ   作:ヤトラ

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そーいや同じしたっぱでもストーリーを進めるたびにポケモンが進化しますよね?
あれって同じしたっぱが混ざっていたりするんだろうか?なんて。

12/7:文章追加+修正


ポケライフ「元したっぱ達の集い・その2」

 ホウエン地方キンセツシティに店を構える飲食店「コックカビゴン」。

 「キンセツキッチン」に比べると知名度は劣るが、安いお値段で提供するバイキングが自慢である。

 ホウエンの中心というだけあって地方各地の食材を厳選しているので味もよく、食べ盛りの若者に人気だ。

 

 

 

―――

 

 夕焼けが地平線に沈み、大人達が酒を飲みに出るようになる時間帯。

 本日の「元したっぱどもの集い」は若い衆が多い為、ここ「クックカビゴン」で食べ放題飲み放題のバイキングを楽しんでいた。

 メンバーは20代前半が大半を占める男女5名。順に紹介していこう。

 

「いやー、フエン温泉の掃除も楽じゃねーっての」

 

 ジョッキでビールを飲むスポーツ刈りのガタイの良い青年・サカイ(元ロケット団したっぱ)。

 

「いやいや、カイナシティの市場の売り子も大変よ?声を張って張って張りまくってさー」

 

 少々ガラガラした声で話すセミロングの女性・ミナ(元マグマ団したっぱ)。

 

「ワタシ、まだホウエンに慣れてなくて未だに通勤中に迷子になったりするんデスが」

 

 カロス出身故にカタコトで話す暗い雰囲気の若者・レアード(元フレア団したっぱ)。一番年下。

 

「元したっぱは皆大変だ!トレーナーとバイトを兼任している奴は特にな!」

 

 自分で剃ったという禿げ頭の中年・トウマ(元ロケット団したっぱ)。最年長の30代前半。

 

「ハグ、マグマグ」

 

 そして先ほどからずーっと料理と酒に夢中のふくよかな女性・コトワ(元アクア団したっぱ)の5名である。

 

「……今日はよう食うなコトワちゃんよ」

 

「何?仕事でストレスでも溜まっていんのか?」

 

「……あ、いや、そういうことじゃないのよ?こういう機会でも無いと好きなだけ食べられないのよ」

 

「あれ?コトちゃんって確かミナモシティでバイトしているから金払いよかったじゃない」

 

「今月給料厳しいんデスか?」

 

「実はね、この間からホエルコを育て始めたのよ」

 

「それマジ!?ぱないわね!」

 

「おいおいホエルコっつーたら結構食べるポケモンじゃねーか。何故に?」

 

「いやね、アクア団に入る前から夢だったのよ~ホエルコ育てるの。これがまた可愛くて可愛くて……」

 

「コトワさん、マミーの顔していますネ」

 

「好きなポケモンを育てられるってのは良い事だ!けど体壊すなよ!?」

 

「大丈夫よ~、今月厳しいだけで、来月からは余裕が持てるから」

 

「このブルジュワめ(笑)」

 

「そういえば思ったんデスが、したっぱの頃の皆さんはどんなポケモンを育てていましたカ?」

 

「えーっと」

 

「まった!1つ質問させてくれや……この中でズバット育てたことある奴てぇ上げろ」

 

「「「「( ・・)ノ」」」」

 

「全員じゃん(笑)」

 

「悪の組織って少なくともズバットは育てているみたいね」

 

「俺達ロケット団は悪と言えば毒ってイメージだったからな!」

 

「マグマ団もアクア団もポチエナ・グラエナは育てていたわよねぇ」

 

「フレア団は色々なポケモン育ててマスヨ。ゴクリンとか」

 

「カロス地方って色んなポケモンが居るって聞いていたけど本当なのね~」

 

「じゃあ次は私が……この中でゴルバットに進化させましたっていう人~!」

 

「「「( ・・)ノ」」」

 

「……あれ?私とサカイさんだけ?進化できてないの?」

 

「言ってて悲しくならねぇのか(泣)」

 

「私は手数で勝負派ですしー、グラエナには進化させたからいいんですー」

 

「私もグラエナに進化させたんだけどねぇ」

 

「そういえばクロバットに進化したっていう人はいますカ?」

 

「おいおい流石にクロバットに進化させるなんて」

 

「あ、俺やったことあるわ」

 

「ま、マジっすかトウマさん!?」

 

「したっぱにあらぬ偉業がここに!」

 

「大したこたぁしてねぇよ!ズバットの頃から『悪役面は歯が命!』っつーて、バトルが終える度に歯を丁寧に磨いてやっただけで」

 

「そりゃ懐きマスヨ」

 

「それにしたって悪者が自分のポケモンに優しいっていうのも可笑しいわねぇ~」

 

「他人のは他人の!自分のは自分の!自分のポケモンぐらいしっかり管理していいだろ!」

 

「いや立派ッスわ」

 

「私達も見習っておけばズバットにあんな想いをさせずに済んだのかしら……」

 

「元悪の組織の一員デスけどね、自分達」

 

「「うっさい!」」

 

「けどクロバットに進化したぐらいなんだし、出世できたんじゃな~い?」

 

「それがアテナ様……ロケット団残党幹部の1人な。その人が『したっぱ風情が幹部を追い抜こうなんて言語道断よ!』っつーてクロバット使用を禁止されたんだよ」

 

「ウソだろ!?」

 

「ひどくなーい!?」

 

「したっぱ差別デス!」

 

「あー、けど私も同じことあったわぁ。いつまで経ってもサメハダーに進化させてくれないとかぁ」

 

「したっぱの意外な苦労がでましたネ。私は中途半端に育てていましたガ」

 

「「俺(私)らはそれ以下ってことか……」」

 

「落ち込まない落ち込まない~。今は色々育てているんでしょ?」

 

「さっき言っていたズバットだろ、ドガースだろ、ベトベターに、スコルピに……」

 

「毒ばっかじゃん!私なんかズバットにドンメルにキャモメにゴニョニョにキノノコにイシツブテとか育てていますから!」

 

「……したっぱから抜けて結構経つのに未だに進化していないんデスネ」

 

「「うっさいぶっ飛ばすぞ!?」」

 

「そういえばトウマさん、そのクロバットは今はどうしているのかしらぁ?」

 

「元気元気!俺んトコのエースだぜぇあいつは!今日は飲み会ってことで連れて来ていねぇけどよ」

 

「まだ歯を磨いてあげてるのぉ?」

 

「もちのロンよ!そっちはどうよ?ホエルコだけじゃねぇんだろ?」

 

「キバニアはサメハダーに進化したし、グラエナもゴルバットも一緒よぉ。皆元気でねぇ」

 

「おう、そりゃよかった!」

 

「ああ止めてくださいワタシ酢の物だけは苦手なんデス!」

 

「ほら食え食え美味いぞ!」

 

「好き嫌いを治そうっていうアタシらなりのエールよ!ガンバガンバ!」

 

 

 

 

 同じしたっぱでも、トレーナーとしての素質や力量はバラバラのようだ。

 

 

 

 「元したっぱどもの集い」―――それは、足を洗い真っ当な暮らしを始めた、元したっぱ達が集う飲み会サークルである(全国各地受付中)。

 

 

 

―完―

 




今回のしたっぱさん達

フエンタウンの温泉宿の従業員・サカイさん(元ロケット団したっぱ♂)
カイナシティの市場の売り子・ミナさん(元マグマ団したっぱ♀)
デボンコーポの従業員・レアードさん(元フレア団したっぱ♂)
ポケモンレンジャー・トウマさん(元ロケット団したっぱ♂)
ミナモシティの従業員・コトワさん(元アクア団したっぱ♀)

飲み会の場所:「クックカビゴン」
飲み会の切欠:「食べ放題飲み放題キャンペーン実施中」
飲み会の話題:「したっぱ時代に育てていたポケモン」

会話オンリーって楽そうで、キャラ分けや話題作りが大変だったり。楽しいけど(苦笑)

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