ビフォー:さっさと殿堂入り済まして、こだわり育成してやろっと!
アフター:はーいポフレだよ~♪ミニゲームして遊びながら鍛えようね~♪
ポケパルレが可愛すぎて進行どころじゃない……これがポケパルレの罠ってやつか!
それと、ドクケイルが可愛すぎて困る(割と本気)
しかも初のケムッソ進化がマユルド。この小説を書いている事もあり、なんか運命を感じてしまう(笑)
そんな訳で上がったテンションを活かしてザックリと書き書き。
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いつの間にか太陽が沈んで夕焼けになった頃。
僕は正座している少年と、その隣で地面に伏せている虫ポケモンに怒りをぶつけていた。
「痛かったんだからね!すっごく痛かったんだからね!?」
「すみません……一番確実な起こし方だったもんで」
「(◇ ◇;)(すいやせん)」
「(◇ ◇#)(なんで私まで)」
年下相手、しかも寝ていた所を起こしてもらった相手に大人気ないとは思うけど、物っ凄く痛かったんだからね!?
確かに確実に起きはするであろう!あろうけどさ、スピアーの腕でもある針ってすっげー太くて鋭いんだよ!?
それをこんな所に……あだだ、未だに痛む……手で擦っておかないとやってられないよ。なんでかは知らないけど血は出ていません。
「しかも『とどめばり』で刺すとか何考えてんの!」
『とどめばり』とは、威力の低い虫タイプの技だが、トドメを刺すと攻撃力が二段階アップする技だ!
「一番攻撃力の低い技だったもんで」
「殺意しか感じないよ!」
威力が低いだろうけど「とどめ」だよ!?殺す気満々かい!
年上として、そして被害者として、さっきのやり方の危険性をミッチリ教えたる!
「(― ―;)(しばらく時間かかりそうだね)」
「(―ω― )(そだね)」
「(@▲@;●)(コワイコワイ怒っているご主人コワイ)」
―――
―第三者視点―
緑のバンタナを巻いた青年が赤いハンチング帽の少年を叱っている。
そんな2人を遠くの木陰から見ている陰が2つ。2つとも同じ衣装を纏っており、片方が無線機を片手にボソボソと連絡を取っていた。
やがて無線機の電源を切り、改めて確認するように2人の様子をじっと見つめ、ニヤリと笑みを浮かべる。
「間違いない。ナナカマド研究所に最重要物質を届けにいくとか言っていたガキだ。オマケにあのバンタナ野郎は石を届けにホウエンから来た奴だ」
「へへ、あのガキを探していたら別のターゲットまでいるとはな、こりゃ俺達ついているんじゃねぇの?」
「油断するな。
「したっぱである俺らの出世チャンスってわけか……行くか?」
「もう少し待とう。なに、焦る必要は無いさ」
2つの影はそれぞれモンスターボールを片手に控えながら、ゆっくりとその時を待つのだった。
―――
この少年は大人しい顔しているくせに、結構荒療治を好むんだね……手っ取り早さを重視しているからって……。
まぁ今後はあんなやり方をしないと誓わせたので、僕以降の被害者が増えないことを祈るとしよう。
……さてと、本題に入ろうか。
「ところで……君は誰?」
コロトックの音色から起こしてくれた恩人には違い無いんだし、名前ぐらい聞いておこう。青が似合うナイスガイさんの名前は聞きそびれたけど。
……さっきまで散々怒っていた癖に?お礼を言うのと所業を叱るのとは別です。
「コウキって言います。この先にあるマサゴタウン出身です」
羽音を出して浮かぶ虫ポケモン2体を両脇に添えて少年―コウキ君がペコリと頭を下げてご挨拶。
見た限りでは2匹とも強そうで、特に右に控えたビークインの放つプレッシャーが半端無い。特性だけってわけじゃなさそうだ。
それにコウキ君との距離の近さからして、お互いにかなりの信頼度があると見た。
「ご丁寧にどうも。僕はハヤシ。ホウエン地方から来ました」
観測終わり。今度は僕が自己紹介。足元にイー君、肩にローちゃんを添えて。ロトやんは後ろに隠れているけど。
するとコウキは目を軽く見開き、じーっと僕の事を見つめる……かと思えば手をぽむっとたたき出した。何してんの?
「思い出した。ナナカマド博士が言っていた、石を持ってくるっていうハヤシさんだ」
「ん?僕のこと聞いているの?」
「僕もナナカマド博士に今日届け物があって、もしかしたら遭遇するかもって博士が言っていたんです」
ほほー、それは奇遇ですな。その奇遇がもう少し早く気づいていればあんな悲劇が起こらなかったんだろうか……うっ、古傷が……。
そういえばコウキ君の手には小さくとも頑丈そうなケースが握られている。なんか重要物っぽそうで恐れ多いな。
「それじゃあ目的地は一緒なんだし、そこまで一緒に歩かない?怒っておいてなんだけど、君にはお礼もしたいしさ」
「いいですよ」
微笑んでいるが……なんというか淡白な子だなぁ。素直といえば素直なんだろうけど。
ビークインとスピアーにじゃれついているイーくんを沈め、目的地であるナナカマド研究所に行こうと歩きだし……。
「ちょっと待った!」
わ、ビックリした!誰だ……ってその格好はまさか!?
「な、なんでここにマグマ団がいるの!?それも2人!」
「細かい事は気にするな!」
「てなわけで、大人しくその荷物をこっちに寄越しな!」
マグマ団の下っ端らしい男2人が僕らの行く先を阻み、有無を言わさず言い寄ってきた。
既に相手はポケモンを出していたらしく、デルビルとドンメルの2匹を繰り出している。炎ポケモンが2匹とか、うちの手持ちポケモンには厳しいっ!
思わずチラリとコウキ君を見るが、彼は無表情に多少の睨みを加えたような顔で、しかし震える事無く下っ端達を見ている。
「コ、コウキ君……僕のポケモン、炎タイプに弱いから、勝つのは難そうなんだよね……」
肝っ玉の据わっている様子から見て、結構なポケモンが控えていたりは……。
「僕のポケモンも弱いです。というか、今の手持ちはメイプルとスパイクしか居ないんです」
メイプルとスパイクって、ビークインとスピアーの事?ていうことはタイプ相性的に全滅じゃないですかヤダー!
流石のイーくんも姿勢を低くして唸り声を上げるが、デルビルが口からボっと火を出しただけでビクリと震える。ロトやんなんかビビッて隠れちゃった。
そういえば新参者2匹はバトルをまだしていなかったんだよね……ていうことはローちゃんしか戦えない、ていうか戦ったらアウトっぽそうだし。
ということは……仕方ないけど、まだ希望が持てそうなこの子で!
「さぁ、バトルで負けて寄越すか、大人しく寄越すか!どっちかにしな!」
「出番だクケちゃん!」
「スパイク」
僕はボールからドクケイルことクケちゃんを出し、コウキは名を呼んでスピアーを前に出す。
クケちゃんもスパイクもやる気満々らしく大きく羽ばたかせていた。た、頼りになる虫ポケモンだなぁ!
「へっ!炎ポケモン相手に虫ポケモンとか、俺達本気でついているぜ!」
「やっちまえ!」
敵さんは僕らのポケモンを見て余裕だと思い込んだのか、一気にデルビルとドンメルに攻めるよう指示。
2匹はそれぞれの速度で走りだすが、その前に!
「クケちゃん、ドンメルに『サイケこうせん』!」
「スパイク、追撃で『ダメだし』」
クケちゃんが放つ『サイケこうせん』はドンメルに命中し、その光線が消えた直後にスパイクが瞬時に割り込み『ダメおし』する。
こちらの攻撃にスパイクが合わせてくれたっぽい。『サイケこうせん』を受けた直後に大きな針で刺されたこともあり、ドンメルは一発でお陀仏。
「ド、ドンメルぅぅ!」
「か、『かえんほうしゃ』だ!」
片方が叫び、片方はデルビルに指示。口から放たれる炎が向かった先は……クケちゃんか!
「(▽△▽#)(なにするのよー!)」
「ちょ、効いてねぇだと!?」
炎が晴れた直後、ギャーギャー元気よく騒ぐドクケイルを見て下っ端とデルビルが驚いちゃった。
いや、効いてはいるんです。効いてはいるんだけど、クケちゃんレベルと特殊防御が高いんですよね。
焦げ目を残してもピンピンしているクケちゃんは怒りを羽ばたきに込め、『むしのざざめき』をデルビルにお見舞いする!
「(▽■▽#)(おとといきやがれー!)」
「(@皿@;)(ひーっ、おたすけー!)」
なんかデルビルが哀れに思えて仕方ない……。
吹っ飛んだデルビルは下っ端へと落ちていき潰された。漫画みたいなやられ方してんね。
倒れた相方を見て慌ててデルビルを降ろそうとする下っ端。このまま逃げてくれるとありがたいんだけど……。
「スパイク、『とどめばり』」
「え?」
アーーーーーーッ!!!
―――
「君、『てめぇには血も涙もねぇのか!』とか言われたことない?」
「昔ギンガ団の下っ端によく言われていました」
「やっぱり……」
段々この子の性格が解ってきた。コウキ君って冷静なマイペースっ子だ。しかも無邪気に容赦ない。
スパイクの『とどめばり』に刺された後、下っ端2人は痛そうに手で押さえながらスタコラサッサと逃げ出した。「覚えてやがれ!」の捨て台詞も吐けないぐらい必死に。
確かに僕は「倒れた人を起こす為に使わないで」とは言ったが……コウキ君曰く「悪者相手には容赦しない方が良いかと思いまして」とのこと。
その過激さはクケちゃんですら怯ませるほど。というか刺されているところを見てビクっと震えたよね。
まぁそんなわけで可哀想な下っ端2人を追い返した僕らはナナカマド研究所へ向けて歩いているわけで……クケちゃんを可愛がりながら(バトルのお礼)。
そろそろ夜になるなーって頃合になってマサゴタウンに到着。短いけど濃密な時間だったなぁ。
コウキ君の案内で研究所へ向かっていると、研究所らしき建物の前に誰かが待っていた。
タンタンとビンボー揺すりをして待っているあの人は……ナ、ナナカマド博士!?
「おお、コウキ君にハヤシ君!待っておったよ!」
苛々していた顔をしていたのに、僕らを見たら一変して嬉しそうな顔に。
ライブキャスターで事前に顔合わせはした事あったとはいえ、僕は聞かざるを得ない。
「どうして博士がココに?」
歓迎してくれたのは嬉しいんですが、確か忙しいって聞いていたんですけど?
「最近忙しすぎて疲れが溜まっていてな。つい先日、我が家に戻ってきた」
ボリボリと頭をかきながらナナカマド博士は照れくさそうに言う。研究熱心と言えども疲労には勝てないというわけか。
そんな事より、と言ってコウキ君に視線を向ける。……なんかソワソワしていますよね?
「それよりコウキ君、
何やら期待感に満ちていらっしゃる。僕の苔石よりも大切なものをコウキ君が持っているんだろうか。
コウキ君はさっそくとばかりに手に持っていたケースを博士に手渡す。
博士はウキウキしながらケースを受け取り、余程待ちきれなかったのか、さっそくとばかりにその場で開け出した。
―そこに入ってたのは、なんと……!!
「……フィナンシェにマドレーヌ?」
ようするに焼き菓子ですな。
焼きたてらしく、あま~い蜂蜜の匂いが微かにする。うわぁめちゃくちゃ美味しそう。
「コウキ君は修行中のパティシエでな、たまに蜂蜜を使った焼き菓子を届けてくれるんじゃ」
「ナナカマド博士って甘いものが好きですから」
まぁ確かに、疲れた体に甘い焼き菓子は最適だよね。
それにしても良い匂い……はぁ、なんかお腹空いてきちゃったし、苔石を渡したら夕飯にしよっと。
―続―
●コウキ
シンオウ地方出身のポケモントレーナー♂。冷静な性格。抜け目が無い。
今でこそテンション低めのマイペース程度だが、かつては無気力系だった過去がある。
今はパティシエの修行をしており、お菓子作りが大の得意。ハチミツが好物。
『ダメだし』『どくづき』といった追加ダメージのある技を好む。攻撃型。
コウキに悪気は無いし、容赦も無いんです。昔はもっと酷かったけどねー(ぉ)
彼に関してはまたいずれ明らかになります。もうしばらくお待ちを。
用事も済ましたし、次回はハヤシをハクタイへ向けて旅立たせたいと思います。気長にお待ちください。
……結局どこを刺されたのかって?少なくとも急所と尻ではないな(ぇ