気を取り直して、今回はあれ、今までの設定と違くね。と思われるでしょうがそういう話なんです。
作者が設定を忘れたわけではありません。
過去からの伏線を張り始めました。
第二十五話 禍根 過去
古い話をしよう。
これはまだ僕が僕だったころの話だ。
僕は生まれてすぐに捨てられたようだ。施設の人がそう言っていたから間違いないだろう。
そんな僕だが、何故だか知らないけどほかの子よりも体力などありとあらゆる面はすぐれていた。
僕は五歳ごろには施設の中だけで遊ぶのが嫌になっていた。だから近くにあった山を登って、遊んでいた。
そんな時に、僕は彼女たちと会った。
「君だれ?」
「このちゃん、まって~」
和服を着た子が僕に話しかけて、それを後ろから来た子が見ているという何とも奇妙な光景だっただろう。
「僕? 僕は××××だよ」
「××? うーん、じゃあ××君だね」
「どうしてこんなとこにいるん××君は?」
後ろから来た子が僕に質問してきた。だから僕は答えた。
「施設で遊んでいるより、ほかの場所で遊んでいる方が楽しいんだよ」
「そうなん?」
「でも、ここ人あんまりいないで?」
これが僕と二人の初めての出合いだった。
これからも僕は毎日ここまで来て二人と一緒に遊んだ。
「なーせっちゃん。××君って、なんであんなに窮屈そうなんやろ」
「窮屈? そうなん?」
「そうやよ。なんかまるでお布団の中にいる人をぎゅうぎゅうと押し付けているみたいなんよ」
「うーん。ごめんこのちゃん。うちには分からん」
「二人ともおはよう」
二人の話のなかに僕が挨拶して三人で遊ぶ。これが僕たちの間柄だった。
これが崩れたのは二年後だった。
「おそいな、二人とも」
僕はこのころになると大人くらいの体力があったからここまで来るのも早くなって二人より早く待つようになっていた。
それでもその日はいつもより二人を長く待っていた。
この後起きることが僕が覚醒した理由になるとは思わずに。
「助けて、せっちゃん!」
「このちゃんを離せ!」
二人の叫び声が聞こえ僕はそれが切羽詰まった声だとわかり、声の聞こえたほうへ走っていった。
そこでは男が木乃香を抱え上げ刹那は化け物によって拘束されていた。
「仕方がない。殺れ」
男の命を受けた化け物はそのまま刹那を片手で持ったままもう片方の腕で殴りつけた。
まるでパンパンに膨らんだ風船にさらに空気を送ったように刹那の体は半分近くが吹き飛んだ。
「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
木乃香の悲鳴とともに僕の中で何かがかみ合った。
僕は今の僕のだせる最高速で男に近寄り、
「
吹き飛ばして殺した
木乃香を抱えそのまま化け物のほうまで行き化け物も全力で殴りつけて殺した。
「せっちゃん! いやや、死んじゃいや!!」
どうすれば刹那を死なせずに済むか、僕はその答えが内側からこぼれたのを感じた。
その通りにすれば刹那は救われる。それが分かったから実行した。
僕の腕を自分でねじり切り、その肉と血を刹那の体に埋めていく。
「××君!? ダメや! せっちゃんだけじゃなく××君も死んじゃいやや」
木乃香の叫び声が山に響く中僕の体と刹那の体は癒えていった。
「せっちゃん? ××君? よかったよ。生きててくれて」
木乃香がおえつを漏らして泣き叫ぶ中僕は二人に話す。
「まだ終わっていないよ。まだ犯人はいるはずだよ」
何かがかみ合ったことにより、僕が殺した男の過去が見える。
この男は実行犯でまだ主犯がいる。
「このままじゃ、木乃香はまた狙われる。刹那もまた殺される」
見えた未来を変えるために僕は二人に話す。
「二人はここにいて、二人
それだけ残し、僕は山を駆け上る。
見えた過去と未来で知った関西呪術協会の本部へと。
血の海と化した部屋で返り血を浴びずに僕は一人でたたずんでいる。
これから先の未来を、僕がどうしようもなく最悪だということを理解したがゆえに。
見えた未来が最悪であり、最低である。そうならないためにも僕はこの地を離れないといけない。
そう考えていると、
「何事だ!」
衛兵が騒ぎを聞きつけここまで来たのだろう。
丁度良い。
手ごまになってもらおう。
「これは!」
驚いている衛兵に想操術で洗脳する。
洗脳内容は普段は普通に生活して、これから先に刹那と木乃香が危険に陥らないように裏から手を回させるように木乃香の父親である詠春。つまりは長に進言させるように洗脳する。
ここでするべき事は終わった。二人のところへ戻ろう。
二人のところへ戻ったがいまだに二人は泣き続けていて抱き合っていた。
「二人とも、これからいうことをよく聞いてくれ。
僕はもうここにはこれない。僕のことを知っている者がここにいる限り僕がここに来ると二人に危険が迫るから」
「なんで、いや。離れたくないよ。 ××君」
「うちらなら大丈夫やよ?」
二人ともこんな僕のために身を危険にすることはない。そう思い二人に話を進める。
「だめだ。僕のことを覚えている人間がこの山に二人以外にいるのならそれは避けようもなくどうしようもない最悪が訪れる」
「何で? そんなことないよ。最悪なんてこんよ」
「この地が裏の世界に関わっている限りここに僕の跡を残すわけにはいかないんだ。詠春さん以外の記憶はすでにいじくった。この山にいるすべての人間はもうすでに僕のことを忘れている。詠春さんだってすぐに忘れるだろう」
「だったら、ここにいても」
「だめだよ。明日までには僕はここから離れないといけないんだ。離れないためには完全に僕の記憶を二人以外の人間から忘れさせないといけないからね」
僕の言葉に木乃香は考え込む。けれどこれ以外方法はない。この方法で初めて最悪は訪れないようにできる。
「だったら、お父様の記憶も消して」
その言葉に僕は驚いた。
木乃香の瞳が何を言ったのか理解して覚悟していたからだ。
「だめだ、それは」
「良いじゃないか。
そいつは覚悟してるんだろう? なら、請け負ってやりな」
突然響く声に僕は振り向く。
そこには赤いスーツを着た女が立っていた。
「つーかお前はうじうじ悩みすぎなんだよ。
ああ! それでもあたしと同類か?
そんくらい請け負ってみろってんだ」
赤い女性がいった事はめちゃくちゃだった。だから僕は思った。
そんな無茶苦茶な。そんな簡単なことじゃ、と。
「簡単なことだろう。
ただ、お前は怖いだけだろうが。背負うのが、請け負うのが。
いいか、最悪だか何だか知らんがそんなもん壊しゃ良い。
お前たちのような運命にもてあそばれる存在だからこそハッピーになんなきゃいけなんだよ」
「そうや、うちらは離れたくない。離れるくらいなら死んだ方がましや」
「ほら見ろ。てめーの価値観人に押し付けてんじゃねーぞ。
友達がいなくなる悲しみを味あわせるんじゃねーよ」
そうして、彼女は僕の額に一発凸ピンをして忘れられないほどの存在感を振りまき去っていった。
この後僕は、詠春さんに脳内干渉を使い記憶をいじり、僕を忘れさせた。
僕は力を一切使わず、普通の人と変わらない力だけで、二人と過ごした。
あの最悪に会うまでは。
今回の題名
今回は非常に分かり易いと思うのでなしとします。
いや、書けよこの馬鹿という方は質問してくだされば書きます。