英雄の魔法と最終の人類   作:koth3

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作者です。
突然ですがそろそろ受験を考え始めないといけない時期になりました。これから一日一投稿は無理だと判断しました。作者自身の都合ですがこれから二か月くらい一週間に一度投稿できるかできないかになりました。
こんな駄文を楽しみにしてくださる方々に申し訳がありませんがご容赦ください。


第二十話

第二十話 煽灯 戦闘

 

 「どうすんのよ、ネギ。

 こんなにカードをつくちゃって」

 

 アスナが手にしているカードはスカカード四枚(楓と古は真心によって気絶させられていたため)。

 ネギ自身も知らないことだったために、慌てているがこのカードを作った原因であるカモが、その場をごまかしてアスナにカードのコピーを渡し、説明する。

 

 「アデアット」

 

 アスナの声に反応しカモの説明通りにアーティファクトが出てきた。

 それをのどかが見ていると知らずに。

 

 

 「そういえば、刹那さんが持っているのは?」

 「これですか? まーく、真心先生との仮契約カードです」

 

 あの時のカードを示され、刹那はアスナに返事する。

 

 「へえ、どんな道具が出るの?」

 「試してみますか?」

 

 刹那はアデアットと魔法具の呼び出しを行い、出てきたものをつかむ。

 

 「これは、狐の面?」

 「そうなんです。狐の面でどう使えばいいかわからなくて」

 

 そこにカモが口をはさむ。

 

 「いや、こりゃすっげーアーティファクトだぜ」

 「え、どういうこと」

 

 アスナの疑問にカモは答える。

 

 「これの名前は『十三の顔を持つ狐』っていってな。マスター側の行える技術を従者が十三個だけなんの負担もなくできる伝説のアーティファクトなんだよ。使用方法はかぶるだけだしな」

 「伝説? なんかすごいのね刹那さんの」

 「なんかどころか歴史上に一人いるかどうかのレベルだぜ。姐さん」

 

 カモの言うとおりだが、このカードには欠陥もある。

 マスターが強力な力や技術を有していないとこの道具は無意味に近いのだ。

 しかし、刹那の場合、マスターが真心のために最大級の力を発揮できる。

 

 

 そうやって話しているネギたちが気になり、のどかはネギたちを覗いていたが彼らの会話に興味ができ思わず試してしまう。

 

 「アデアット」

 

 その瞬間カードは光を放ちカードへ変わっていく。その本に興味を持ち覗き見てすぐさま閉じた。

 なぜなら、そこには自分の気持ちが書かれていたからだ。

 さらに運の悪いところに親友の夕映が近寄り、夕映の感情もわかってしまったからでもあるが

 その本のことは気になりつつもパルにより、用意を急がされ後回しにしていった。

 

 

 

 

 ネギたちは今現在関西呪術協会への道の鳥居の中を走り続けていた。

 

 「おかしくないですか。アスナさん」

 「うん。さっきからずっと走っているのにつかないなんて」

 「ちび刹那さん。この鳥居の道ってそんなに時間がかかるんですか?」

 

 それにちび刹那は

 

 「いいえ、こんなに時間がかかるはずありません。これは・・・」

 「罠ですね。たぶん空間関連の、それもこちらを出さないような」

 

 「あたりや、なんや間抜けかおもったがなかなか頭は回るようやないか」

 

 ネギたちが状況を整理しようとした瞬間に声がかかる。

 

 「ふん、女に化けて千草姉ちゃんたちを捕まえた卑怯もんのくせに」

 

 突然一人の男の子が現れ、襲いかかってきたのだ

 

 「くっ、当たれ」

 

 アスナもハマノツルギで応戦するが身体能力は高くとも戦闘の技術はない。そのために、全く当たらない。

 

 「はっ、どんな力でも当たらなこわへんで」

 

 敵は余裕すら見せてアスナの攻撃を避けていく。

 

 「姐さん、下がってくれ」

 

 カモの声に合わせてアスナが下がると、雷の矢が男の子に向け突き進んでいく。

 

 「やった!?」

 「まだです。

 ラス・テルマ・スキルマギステル 闇夜切り裂く一条の光 わが手に宿りて敵を喰らえ 白き雷」

 

 ネギの放った呪文は煙を裂き、男の子に突き刺さり電撃を与える。

 

 「かっ、なかなかの一撃や。防御用の札全部おじゃんや」

 

 男の子の帽子はずれ落ちその髪の中から耳がのぞける。

 

 「! 狗族!」

 

 獣特有の加速力と速度でネギに接近し、そのまま接近戦を仕掛ける。

 アスナもそれに反応し攻撃するがどの攻撃もはじかれてしまう。

 

 「はは、どや、西洋魔術師。お前らは接近戦では役立たずやからな」

 

 ネギは攻撃を喰らうが、それでも慌てずに状況を判断すし、念話を使う。

 

 [アスナさん、聞こえますか? 聞こえたらそのままうなずいてください]

 

 ネギはアスナがうなずくのを確認すると今練った即席の策を話し、すぐ体を動けるようにしてもらう。それと同時にカモとちび刹那にも。

 

 「はっ、やられっぱなしか。西洋魔術師」

 

 振りの大きい一撃に合わせネギは後ろに跳び、杖を構える。

 

 「なんや?杖術のつもりか?」

 

 ネギは杖の先端を男の子にむけ、手を自身の頭より上に置き薙刀のように、いや、もっと近い形は棒高跳びの選手のように杖を持っている。

 

 「なんやしらんがいくで!」

 

 男の子はネギの重心の落とし方などから素人と判断しまっすぐに襲い掛かる。

 拳を振り上げ殴りかかろうとした瞬間。

 ネギが飛んだ(・・・・・・)

 いや、正確に言うととびかかってきた少年に合わせるように杖を地面につけ、自身の体を杖で支え、ジャンプした。棒高跳びが生まれたころのような飛び方で男の子を飛び越えた。

 

 「はあ!?」

 

 迎撃しようとするならまだしもいきなりこんな方法でよけられ、少年は動きを止めてしまう。

 

 「いまだ!!」

 

 カモが水の入ったペットボトルをなげ、ちび刹那の呪術により、水は霧となりネギたちの姿が見えなくなる。

 

 

 

 「作戦はうまくいったみたいね」

 

 アスナは飛んできたネギを抱え、全力であの場を逃走した。

 

 「ええ、しかしまたすぐに見つかるでしょう」

 

 ネギの言う言葉の通りすぐに見つかってしまうのは事実だ。

 今から刹那が助けにきても時間が圧倒的に間に合わない。

 

 「一種の賭けですが、もう一つ策はあります」

 

 ネギの言葉に全員が驚き、そして策を煮詰める。

 

 

 

 

 「みっけたー!って違う!?」

 

 突然現れた少年にのどかは驚く。

 

 「姉ちゃん、ダメやで。

 通行禁止の看板があったやろ」

 

 少年はのどかを一般人と判断し、対処する。

 

 「後で出してやっから、ちとここでおとなしくしててくれや」

 

 のどかは突然のことで何もできなかったがこの少年が自身の本に書かれていた。ネギの敵ということが分かった。

 だから彼女は勇気を出し、去ろうとする少年に問いかけた。

 

 「あ、あの。私の名前は宮崎のどか。貴方の名前は?」

 「おう、名前か? 名前を言われたら名乗り返すのが礼儀やしな。犬上 小太郎や」

 

 そう言い、小太郎は去っていった。 

 

 

 

 

 「はん、もう隠れんのか?」

 

 小太郎の前にネギたちが戦意を見せたたずんでいた。

 

 「いくわよ」

 

 ネギ策の第一段階はアスナによる特攻。

 しかしアスナはかわされる。もっともそれはネギの予想通りだったが。

 

 「オラ」

 

 ネギに接近した小太郎はネギの怒涛の連撃を与えていく。

 

 「西洋魔術師は呪文さえ唱えさせなければ怖くあらへん」

 

 その言葉通りネギはタコ殴りに会い、もしこれがボクシングならTKOと判断されるほどだ。

 

 「今よ、ネギ」

 

 小太郎の攻撃がわずかに大降りになった瞬間、アスナが叫ぶ。

 アスナに戦いの技術はないがけんかの経験は人一倍ある。あやかとしたけんかの経験が一瞬のすきをネギに教える。

 

 「契約執行一秒 ネギ・スプリングフィールド」

 

 わずかな大降りの一撃をそらし、ネギは自身の魔力供給を完了させる。

 一秒というわずかな時間を生かすためにネギは小太郎が回避行動へ移れないよう、空へ殴り飛ばす。

 

 「がっ!」

 

 わずかな呼気とともに小太郎は浮き上がり。

 

 「ラス・テルマ・スキルマギステル 闇夜切り裂く一条の光 我が手に宿りて敵を喰らえ 白き雷」

 

 小太郎の体に触れての零距離の一撃。

 その一撃を喰らった小太郎はもはや動けなかった。

 これがネギの策。技術はあっても経験の少ないネギと経験はあっても技術のないアスナの二人が力を合わせて初めて使える作戦。

 だが、小太郎にも意地がある。プライドがある。即席の策程度で負けるわけにはいかないのだ。

 故に、

 

 「まだや、こっからが本番や」

 

 獣化し、小太郎が襲い掛かってくる。

 ネギは認識出来ないほどの速度で迫ってくる小太郎に勘で反応しようとし、

 

 「左です先生-!」

 

 聞こえてきた声に反応し、避けれた。

 

 「右」

 「上」

 

 次々とのどかの手により、小太郎の攻撃方法を教えられネギは小太郎の攻撃を避けていく。

 そして、

 

 「ここから出るにはどうすればいいんですかー?」

 

 のどかのアーティファクトは読心術であり、この場において最大の攻撃になる。

 小太郎の考えを読みこの空間の解除方法すら知ることができるのだ。

 そうして、ネギたちはのどかに指示された鳥居に刻まれた呪を破壊することにより脱出に成功し、ちび刹那の術により小太郎を逆に閉じ込めることができたのだ。

 

 こうしてネギたちは小太郎の襲撃を退けることに成功したのだ。 




今回の題名

煽 煽ぐ。つまり、敵を作戦に乗らせたということです。
灯 誘蛾灯に吸い寄せられる蛾のように小太郎がネギの作戦に引き込まれていった様子です。

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