IS インフィニット・ストラトス 金と銀の瞳が見据えるモノ リメイクversion 作:フレイムバースト
「ん…んぅ…」
戻ってきた寮で無気力なまま過ごしているうちに眠っていたらしい。
学年別トーナメントは一般生徒は模擬戦を行って実技の成績に加算するという形で一応は行われるという通達があったらしい。
「…お風呂入ろう…」
少し遅くなっているだろうがいつもどおりなら入浴時間に間に合うだろう、そう思いながら、扉を開けバスローブと下着を片手に大浴場へと向かう。
やけに静かだが、多分あらかたの生徒はお風呂を終えてしまったのだろう、なら1人風呂を満喫するとしよう。
浴場の更衣室の扉を開け、ロッカーにバスローブと下着を置き、上着を脱いで突っ込んでおく。身に付けていた肌着を脱ぎ洗濯機に放り込む…そのままバスタオルで胸元を隠しながら浴場の扉を開く。
「え…?」
浴場の扉を開いた先にいたのは一夏くん…だったのだろうか。もしかしたら一夏くんに申し訳なさを感じすぎて私が幻覚を見ているだけなのかもしれない。そう思いながらもう一度浴場の扉を開けると────
「え…?」
「え゛…磨美…!?」
────間違いなく一夏くんがそこにいた
「…なんで一夏くんがここに…?」
「えっ、まさか磨美大浴場の話聞いてなかったのか…?」
一夏くんから大浴場の話と言われて思い出す。
一夏くんとシャルルくんが使うからと、女子の大浴場が使える時間が少し短くなったという事。
私は無気力で過ごすあまり、聞いた話すら忘れて、今までどおりの時間感覚で大浴場を使っていた
「あ…あわぁぁぁあああ!?」
そして私は思わず持っていたバスタオルで一夏くんの頭を簀巻にして視界を遮った。
水着姿で迫ったりしておきながら今更だが、何も着ていない姿を見られるのは流石に私も気持ちの整理がついてない状態では恥ずかしい。
「あっ、あっ…一夏くん、見た!?」
「見てない!何も見てない!…いやすごく大きかったのは見えたような…」
「わぁぁぁ!?」
一夏くんに大きかったと言われるだけでいつもとは違う恥ずかしさがこみ上げてくる。
「は、早めに済ませるから一夏くんしばらくそのままで!ごめんね!」
そういいながら私は大慌てで身体と髪の毛を洗い、まとめて全身についた泡を流した後再び一夏くんの方を見ると一夏くんが浴槽で伸びかけていた
「磨美…そろそろ外させてくれないとやばい…」
「い、一夏くんどれくらい入ってたの、逆上せかけてるし…」
一夏くんを浴槽から引っ張り出しながら脱衣所に戻り、近くの椅子に寝かせた後バスローブを羽織る。そして逆上せかけてる一夏くんにスポーツドリンクを渡しながら、隣に座る
「シャルが入ってきて、先に上がってったから軽く20分入ってたのか…わかんねえけど…」
「長風呂するのはいいけど、体に毒になっちゃ…って私のせいか…ごめんね一夏くん」
「次から気をつけてくれよ…」
「うん…」
しばしの沈黙。あまりに気まずい。裸をお互い見てしまったんだから仕方ないとは言え、かける言葉が出てこない。…だが、かける言葉が出てこないなら、話さなきゃいけない事を話せばいいと思い立ち私は思い切って自分のしていたことを一夏くんに尋ねることにした
「あ…一夏くん、少し話したいんだけどさ」
「どうしたんだよ、急に改まって…」
「あのね…私、一夏くんのためにって思っていろんなこと教えたりしてたと思うんだけど…一夏くんが最近シャルルくんにいろんなことしてもらってるのを見て、すごくモヤモヤしてたの」
「…それで、私はシャルルくん以上に一夏くんにもっといろんなことをしてあげようとしてたんだけど…」
「私だけが一夏くんを独り占めしたくて、他の子のこと、何にも考えてなかったの。…それに一夏くんの事を軽く見てた。」
「えっ、そんな風には感じた事なかったけど…」
「…今日一夏くんがラウラさんを助けたのを見て、いつの間にか一夏くんは強くなって、私が思ってたほど弱くないって…。ごめんね…一夏くん、私は私の自己満足のためだけに一夏くんを弱いと思ってた」
一夏くんはそれを聞いて顎に手を当てながら何か考えているようだった。
「…なあ磨美。いつかさ、サシでまた勝負しないか?」
「…えっ」
「磨美が俺を弱いって思ってたなら、俺は正面からぶつかって磨美に強くなったって示したい。磨美たちのおかげで強くなれたって証明したい」
「…もう一度、一夏くんと…」
「…だからさ、一緒に強くなろうぜ。磨美」
「うん、わかった。…私も強くなる、一夏くんに負けないようにね」