IS インフィニット・ストラトス 金と銀の瞳が見据えるモノ リメイクversion 作:フレイムバースト
「む、無駄話しかなかった…」
イタリアでの装備の受領後私は個人用飛行機の中でぐったりとうなだれていた。
新装備は間違いなく最高の出来なのだが、それを作る連中が気が狂ったかのように頼んでもいない新しい装備のテストとそれに関する無駄話しかしていないのだ。
せっかく家族に顔を見せようと思ったのに、それもできないままIS学園へ直行する高速チャーター機に乗る羽目になってしまった。家族に会わせてあげようという心遣いや土産を買わせるための余裕を作る時間を与える気はあの技術者共にはないと見るしかない。
「…まぁ、すっごいの作ったし情熱は認めるかなぁ…」
無駄話は確かに多かった。だが要望したものは私に合うように設計されていたし、ちゃんと彼らは仕事をこなしてはいたのだからそれには感謝しなくてはいけない。
「…つかれた…寝よう」
私はそのままIS学園まで一眠りすることにした。
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夢を見た。
私の周りが焦土と瓦礫の山になっている夢。まさに地獄の具現とも呼べるような光景。
私は赤い衣服を纏い、黄金の盃を持った美しい女性に抱かれ、そして七つの首を持つ竜の背に乗せられてその光景を見つめることしか出来なかったが、目の前で繰り広げられる破壊の光景にうっとりとしていた。
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時刻は日本時間午後八時、私はようやくIS学園に帰投した。
寮舎で織斑先生に頭を下げ、そのまま自室に向かっている途中で一夏くんと鉢合わせた。
「あ、一夏くん…」
「おかえり、磨美」
一夏くんに名前を呼ばれるだけで、イタリアにいた間、ずっと感じていた妙な虚しさが消え去り、そしてただ愛おしい気持ちが湧き上がる。ああ、許されるなら今すぐここで一夏くんを抱きしめたい。許されなくても一夏くんを抱きしめたい。もう、抑えきれない。
「一夏くん、ちょっとだけ、私のワガママに付き合って」
私はそう言うと、一夏くんの返事を待たずにその体に抱きついた。筋肉質なその体は抱きしめているだけで私の心を満たしていく。髪を撫でればシャワーでも浴びていたのか、少し湿り気を感じた。
「ちょ…磨美…苦しい」
「ごめんね、一夏くん。イタリアにいた間ずっと寂しかったから…」
一夏くんが苦しいと言えば私はすぐに離れ、そのまま人差し指を口元に持ってきて、内緒にしてね、とジェスチャーをし、そのまま自室に向かった
ああ、やっぱりイタリアよりIS学園(ㅤこㅤこㅤ)に居る方が私は充実している。そう思いながら自室のドアを開けると
「さー、ラウラちゃん、今日も楽しみましょうね〜」
「やめろ!これ以上私の純潔を汚さないでくれ!教官に言うぞ!」
「教官にありのままのことを言えるのかなー?磨美りんがいなくて寂しいからって私に抱かれてまんざらでもない顔してたくせに〜」
自室では、悪夢のような光景が広がっていた
ゴミで散らかった部屋、乱雑に置かれた教科書、乱れたベッド、その上にサっちーとラウラさんが激しい攻防を繰り広げていた。
「二人とも…」
私はボストンバッグを投げて帰ってきたことを告げながら二人の頭を掴み、そのままベッドに押し付ける。たった1日、私がいないだけで何故こうも散らかるのか。そして何故サっちーは裸でラウラさんに組みついているのか。
「私がいない間、随分好き勝手したみたいだね…」
「あっ…磨美りん…アハ、アハハハハ…」
「離してくれ、アーデルハイト!私はこの変態の被害者だ!」
サっちーは乾いた笑いを浮かべ、ラウラさんはじたばたとしながら私の腕から逃げようとしていた。
「今すぐ、この散らかった部屋を片付けなさーい!」
どうやら、私の周りには変人しか集まらないらしい。今回の本国への出向の結果一夏くんが私の唯一の癒しだと言うことを再認識した
新装備のお披露目はもうちょっと後なんじゃ。
あとサっちーとラウラにキレるシーンは脳内でEXCITEを流しながらお楽しみください