IS インフィニット・ストラトス 金と銀の瞳が見据えるモノ リメイクversion   作:フレイムバースト

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あかん、ぐだぐた……


後書きにおまけ付きです。


クラス対抗戦-乱入者-

アリーナの管制室では突如乱入してきた不明ISの対応策で慌しく声が飛び交っていた。

 

そんな中、織斑千冬は臨時の指揮をとり、各員に指示を行っていた。

 

「所属不明機に告ぐ、貴公の所属とISのコアナンバーを提示、後に武装解除せよ、さもなくば、こちらは貴公を強制排除する。繰り返す強制排除する」

 

所属不明機からの返答はなし。千冬は教員部隊に配備されたISの前で待機することを命じた

 

「無駄だ、まるで話が通じていない。……というより、こちらが攻撃をできないことを知っている」

 

先ほど渡されたタブレットにはアリーナの遮断シールドがレベル4に設定されていることを示していた。つまりこちらは逃げることも応戦することもできない。

さらに不幸なことに遮断シールドのレベル4は本来想定している使用状況は火災鎮火。隔壁で火災ブロックを遮断し、炎によって酸素の量を減らすことで炎の勢いを弱めるためのもの。それが何を意味するかというと、この状況が長引けば長引くほど、観客席にいる生徒たち、及び管制室の自身たちの命も危ない。

 

そんなことをしうる人物を千冬は1人知っていたが、確証が持てない以上なにも、語ることができなかった。

 

「山田先生。アリーナ内部にいる2人に戦闘許可を」

「えぇっ⁉︎織斑先生、自分で何を言っているかわかっているんです⁉︎」

「わかっているさ、わかっているとも……この状況が長引けば、ここにいる生徒、そして私たちも全滅だということもな」

「そ、それはそうですが……」

「守ってみせるさ、おまえたちも、生徒全員もな。責任は私が持つ。山田先生、2人に戦闘許可を」

「織斑先生…貴女という方は………」

山田真耶は少しのためらいのあと、眉間にしわを寄せながら所属不明機のすぐ近くに2人へプライベートチャンネルを繋いだ

 

「白式パイロットの織斑一夏くん、甲龍パイロットの凰鈴音さん。今からお2人へ大事な話をします。聞き逃しのないように。お二人には、そこにいる所属不明機と交戦して、いただきます」

 

山田麻耶は2人が所属不明機と交戦している間に教員部隊による生徒の救出作戦を実行、その後にアリーナ内部に突入して所属不明機に加勢する旨を伝えていく。

 

「いいですか、これは皆さんの命を守るための戦いです。気を引き締めて、あらゆるイレギュラーな事態を想定して所属不明機と交戦してください。いいですね……」

 

「2人からの返答は」

「緊急事態だからなりふり構っていられない、と了承してくれました」

「そうか……。ふむ……山田先生。アーデルハイトとマーキスにも連絡をとれ。あいつらの武装ならば、隔壁に穴を開けるていど余裕なはずだ」

 

「了解しました。」

 

織斑千冬はアリーナ内部にいる、自身の弟にすさまじい重荷を課してしまったことに対し苦虫を噛んだような表情で怒りながらも、その弟にかけることしかできない自身の立場を呪った。

 

──────────────────────────

 

「よしっ……。みんな離れたね?」

 

磨美はアリーナの観客席でISを装備し、目の前の隔壁に向けて燐光の漏れるバスターライフルを構えていた。

 

「……発射!」

 

バスターライフルから放たれた光は扉を貫き、さらにアリーナの外壁をも貫いたことで酸素の供給口を作り上げた。

 

ざわつく観客席もすぐに静かになり、安心からかへたり込む生徒の姿もあった

 

「よし、サッちー、いくよ」

「りょーかい。隔壁程度ならビームセイバーでぶったぎってあげるからねっ」

「みんなはここで先生がくるまで待機!」

 

観客席から脱出した2人は途中で教員部隊に合流し、隔壁を破壊する作業に取り掛かりはじめた

 

通路への隔壁は2人が破壊。観客席への隔壁は教員部隊が溶断し、解放された出口へと観客席の生徒を誘導する。

 

管制室の指示を受け、手際よく磨美とサフィはハッチに通じる隔壁を破壊した。が、そこで教員部隊から連絡が入る。

 

磨美とサフィを除く2名、一組の生徒が見当たらないという連絡は2人を焦らせた。一名はセシリア・ウォルコットだが、管制室が事態を把握し、セシリアに対しISを装備して待機するように命じた。もう1人は、篠ノ之箒。

 

指示を受け磨美はハッチの出撃口を閉じる隔壁に対しバスターライフルを放ち、隔壁を蒸発させると、独断でアリーナに突入し、内部にいる2人へと合流した

 

──────────────────────────

 

「一夏くん!鈴ちゃん!」

私はアリーナ内部に突入し、一夏くんと鈴ちゃんに合流した。目の前にいる異形の全身に装甲をまとったISは、私を感知したのかその頭をじっと私に向けている。

「磨美⁉︎いったいどこから……って避けろ!」

発射されたビームを避けながら、私は一夏くんと鈴ちゃんのそばに近寄った。2人とも、かなり消耗している様子で、一夏くんは雪片弐型の使用でかなりジリ貧のようだった

 

「……とりあえず、アリーナのハッチは開放したから、一夏くんたちはもう、下がっても大丈夫なはずだから……」

「……いや、下がるわけにはいかない。というより、あいつに勝てる道筋が見つかった」

「え…?」

「あー、磨美りん……なんか、こいつがね、あのヘンなのに対して、無人じゃないかって言ってんの。で、こいつは、無人なら勝ち筋はあるって言ってて……」

 

「無人……?無人じゃ、ISは動くはずがないのに……?」

 

「磨美りんは見てないからわからないけどアイツの動き、プログラムじみててさ……なんていうんだっけ、一夏」

「人の呼吸や、肩の動きが感じられないんだよ。ただ、アイツの中にあるなにかが、俺たちの動きに対応して、攻撃を繰り返してくるんだ……8回もな」

「8回も……?」

 

人間が複雑な行動を反復して行うと、多少の乱れが生じるものだが、一夏の言葉通り、異形のISにはそれがなかった

。複雑な行動を寸分狂わず実行し、さらにそれを対応する行動が来るたびに繰り返す。このようなことができるのはプログラムぐらいだ

 

「……一夏くんの予測は間違いないっていう確証はないけど、そのアイデアにかけてみるのも悪くないと思うよ」

「サンキュー、磨美。じゃあ、やってやるさ…」

一夏くんが武器を構え、突撃姿勢をとったその瞬間、アリーナの中継室から聞き馴染みのある声が聞こえた。そしてそこにいたISはその声の主に意識を向ける。

「一夏!」

「箒ちゃん…ちっ…救出部隊各員に報告します、行方不明の生徒をアリーナ中継室に発見。大至急向かってください。いつ所属不明機の攻撃が向くともわかりませ───────」

 

私が報告をしていると、所属不明機が腕のビーム砲を中継室を向けはじめる

 

「……!一夏くん、箒ちゃんは私に任せて!」

 

私はブースターを全力でふかし、そのまま中継室へと突撃し、ガラスを突き破りながら箒ちゃんを地面に押し倒した。その次の瞬間、私のISの真上を短時間であるがビームがかすめ、ビームが直撃した壁をみれば、そこは赤熱して溶けていた。アリーナ内部の不明機に意識を向けると一夏くんのが不明機の腕を切断。しかしカウンターをもらって吹き飛んでいた

 

「一夏くん!くっ、バスターライフル!」

 

私は咄嗟にバスターライフルを手に持つが発射までのラグがあり、先に青い光の矢が不明機を貫き、私のバスターライフルから放たれたビームが、不明機の頭をもいだ

 

「……今のは、セシリアさんか……ふうっ……」

 

私が押し倒したせいで伸びてしまった箒ちゃんを肩に担ごうとしたとき、私は不明機が再起動する瞬間と、一夏くんがそれに突っ込んでいくのを見てしまった

 

「なっ、あ……あれだけのダメージを受けて、再起動、だなんて……!」

 

私は呆然とし、そこにへたり込んでしまった。直後にショートするような音が聞こえ、覗きこむと、一夏くんが教員部隊に運ばれていくのがみえた

 

 

 




───────懲罰書

篠ノ之箒

避難指示を無視、命を顧みぬ行動により現場の混乱を招いたため、謹慎五日。謹慎明けに原稿5枚分の反省文の提出。

セシリア・ウォルコット

避難指示を無視。独断の行動により現場の混乱を招いた。ただし、不明機の無力化は彼女がいなければ成しえなかったという評価を受け、厳重注意処分に処す

磨美・アーデルハイト

作戦行動中に離脱し、小隊の作戦行動を乱した。しかし行方不明者の発見、及び救出作戦への協力を評価し、厳重注意処分に処す


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