どうやれば話が進むのか。
原作一巻すら終わってねぇ。
まぁいいか。
ってかサブタイトルが適当すぎるw
一層のこと数字だけでもいい気がしてきたw
というわけで、まぁ短いですがどうぞ。
無事に学園を脱出し、バスで移動すること数十分。
雅は窓の外を眺めながらなにやら物思いにふけっていた。
時折嬉しそうな表情で静かに笑みを漏らす。
実際、雅は今、歓喜の感情に満ち溢れていた。
全てが終わってしまった世界。
この先どんな未来が待っているのか誰にもわからない世界。
もしかしたら自分とまともに殺り合える人間が現れるかもしれない。
あるいはこれから生まれるかもしれない。
そう思わせる逸材が、すでにすぐそばにいる。
そう思うと、笑みを零さずにはいられなかったのだ。
だがしかし、そんな喜びに無粋にも横槍を入れるが声が車内に響いた。
「おいッ! おれたちはいったいどこに向かってんだよ! 安全な場所に隠れるんじゃねえのか!」
「僕たちは親を助けに町へ行く」
「はぁ? ふざけんなよ! なんでおれたちまで小室に付き合ってわざわざ危険かもしれねぇ町に行かなきゃいけねんだよ!お前らが勝手に行くって決めただけじゃねぇか」
孝の言葉にさらに声を荒げて怒鳴る男子生徒。
彼と共に乗って来たであろう後方の生徒たちからも「そうだ」などという同意の声が上がっているためか今にも孝に掴み掛りそうな勢いだ。
が、彼が一歩を踏み出したとき、不意に彼の顎下に刃が寸止めされる。
彼はまるで全身が硬直したかのように動きを止める。いや、止まってしまった。
そして、何とか横目で自分に刃を向ける存在を見つける。無論、それは雅の仕業だった。
不運なことに、彼が騒いでいたのは雅の座る座席のすぐ隣だったのだ。
「うるせぇよおまえ。人が気分良くしてる時に耳元でわめきやがって。気に入らねえなら下りればいいだろ?」
雅は座ったまま刃を顎下数ミリの位置で止め、睨み上げながら問う。
「う・・・あ、なななんだよ、き・・・斬島には、いって、ねぇ、だろ」
冷や汗を垂らしながら震える声で男子生徒は答える。
「おいおい、俺だって孝達と一緒に行くつもりなんだぜ? なら今のはおれに言ってるも同然ってことだろ? だいたい安全な場所なんてあるわけねぇし。いや、あったのにお前は、お前らはそこを捨ててきたんだろ? いまさら何言ってんだ?」
雅の発言を理解できないのか、後方にいる生徒たちは一様に首をかしげるようなしぐさを取った。
それに気付いた雅は「話にならないな」と、突き付けた刃を戻した。
そもそも雅はここにいる連中を少なくとも戦う意思がある連中だと思っていた。
もちろんあとから乗り込んだ連中も含めてだ。
これは結果論でしかないが、学園は雅が欲求を満たすためにかなりの数の奴らを斬殺している。
端から戦う意思がないものは学園に隠れていた方が圧倒的に生存率が上がるのはたしかだった。
連中はそこを抜けてまでバスへと乗ったはずにもかかわらず、安全な場所に隠れるべきだという。
これでは雅が呆れて興味をなくすのも無理はなかった。
一方で、刃から解放された男は尻餅をついて息を荒げている。
しかし徐々に呼吸が安定し、落ち着きを取り戻すと、もともとの性格ゆえか雅に対して怒りが込み上げてきた。
そして男はおそらくこの世で一番やってはいけないことをしようとしていた。
「斬島ぁぁ! てめぇいきなりなにしやがッ!? ぐはっ・・・!?」
男は雅に対して拳を振るう。
だがそれは麗の介入によって未遂に終わった。
麗が武器として代用していた棒が男の腹部にヒットする。
唖然とする一同をよそに、麗はうずくまって嗚咽を漏らす男をまるでゴミでも見るかのような目で見下ろした。
「ぐ、がは! ごほっ・・・。な、にしやがんだてめぇ」
「勘違いしないで。私はあんたを助けてあげたの。感謝こそすれ、恨まれる覚えはないわ」
ふん、と苛立ちを隠さぬ物言いで告げる麗。
「ど、どういことだよ麗?」
「そのまんまの意味よ孝。私が止めなければこいつは間違いなく死んでいた。雅に斬られてね」
「あ、あの、さすがにそこまではないんじゃないでしょうか~?」
死んでいた、と断言した麗に対して恐る恐る挙手してコータが問いかける。
「いや平野君。宮本君が言ったことは紛れもない事実だ。そうだろう? 斬島君」
冴子の問いにただ笑みで返した雅。
その表情を見た孝、コータ、沙耶、そしていつの間にか運転を中断してこちらを見ていた静香が、ここで初めて雅という人間に対して恐怖を覚える。
「いやー、見事なチームワークですね。ですが、こうしていざこざが起きるのも私の言葉の重要性を決定づけているといっても過言ではない。そう思いませんか? 斬島君」
静まり返った車内で眼鏡を掛けた男性教師と思われる男が演説さながらの口調で雅へと問いかけた。
「紫藤・・・」
そう呟いたのは雅ではなく、その教師に対して異様な殺気を込めて睨みつける麗だった。
これには雅も多少驚いた。
例え突発的な怒りによって出たものであっても、すでにこれだけの殺気を放てることに対しての称賛だった。
ただ同時に今の麗には不要なものだと雅は判断する。
よって、雅が取った行動は、教師に対する返答ではなく、麗の頬を軽くつまんで引っ張るということだった。
これにはさすがにこの場の全員が「は?」と口をそろえる。
「な、何するのよ雅!」
「おぉ悪い悪い、あまりにもいい殺気を放つもんだからついご褒美をあげたくなってな」
「ご、ご褒美って、これのどこがご褒美よ!?」
右頬抑えながら照れ隠しか、あるいは恥ずかしさか、もしくは怒りかはわからないが、赤面した麗が問い詰める。
「なんだ、不服か? じゃあこれならいいか?」
そういって雅はいきなり麗を抱き寄せた。
あまりのことに麗自身も言葉を失う。
しかし雅は何かを麗に耳打ちし、すぐに離れた。
「よし、ご褒美タイムは終了だな。いやぁなかなかいい感触だったぜ」
まるで自分へのご褒美ともとれる発言にすぐに怒りを見せると思いきや、麗はただその場に呆然と立ち尽くしていた。
その表情は先ほどまでとは変わって困惑気味だった。
原因は雅に耳元で、わざわざ自分にしか聞こえないようにささやかれた言葉。
その言葉が麗の脳内を埋め尽くす。
確かに麗は紫藤という教師を殺してやりたいほど恨んでいた。
自分の成績を不正に弄って留年させるだけでなく、愛する父親を今なお苦しめ続ける政治家の息子。
だがその事実を知っているのは麗を守って死んだ麗の恋人だった者だけ。
そしてその恋人が死んでしまった以上、自分の言葉を信じ、理解し、助けてくれる者はいない。
そう思っていたからこそ雅の言葉に困惑し、衝撃を受けていた。
それはもしかしたら、女心を鷲掴みにされた気分だったのかもしれない。
雅は麗に対してこう耳打ちしていたのだ。
「お前が望むなら俺がいつでも奴を斬ってやる。だからお前にその殺気は必要ない」
今の麗にとっておそらく、一番効果的な言葉だったのだろう。
いつしか麗の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた――
えっと、作者久しぶりに再開してるので正直どう進めるつもりだったか忘れております!
最後に出てきた紫藤教師もどう扱うかはっきり覚えていないので適当になるかもしれませんがご容赦を。というよりこの作品、雅と麗と冴子しか活躍しないんじゃなかろうかw
まぁ何でもいいですよね。
例によって更新は不定期ですのでご了承ください。