なんとまさかの2夜連続となりました(笑)
理由はですね、仕事があまりにも暇で、半分くらい仕事中にスマホで仕上げられたからです(笑)
ということで次回は期待しないでくださいw
それではどうぞ
雅が学園へ戻る一方で、夕刻に差し掛かった校内、その職員室にて世界の終わりから見事生き残り、始まりへと手をかけた生徒たちがいた。
「うそ・・・こんなのうそよ・・・」
設置されたテレビを見ていた女子生徒、宮本麗(みやもとれい)が怯えながら呟く。
「どうした、麗?」
麗に男子生徒、小室孝(こむろたかし)は心配そうに尋ねた。
二人は幼馴染みであり、現状少し複雑な関係でもあった。
そして孝の声をきっかけにこの場に居合わせる他の四人もテレビを見つめる。
テレビの内容は現在起きている非現実的な事象が日本のみならず、世界中で勃発していることを告げていた。
「ねえ孝? きっと元の平和な世界にーーー」
「なるわけないでしょ」
麗の言葉を遮り、無情にもそう告げるのは、学園きっての天才、高城沙耶(たかぎさや)だった。
「高城・・・そんな言い方ないだろ」
「パンデミックなのよ? 当然でしょ」
孝の言葉を聴いて尚、沙耶は断言した。
パンデミック。
俗にいう感染爆発である。
歴史上最も最悪なそれは主にヨーロッパで発生した黒死病が有名であり、その際はヨーロッパの三分の一が死んだとされている。
ただ沙耶は確信していた。
今起こっている事象が黒死病の非ではないことを。
「・・・とにかく、一先ず脱出よ! いつまでもこんなところにいられないわ」
「そうよね。幸い車の鍵は無事だし」
「全員を乗せられる車なのか?」
「う、それは・・・」
沙耶の言葉に賛同した学園の校医、鞠川静香(まりかわしずか)は、隣にいた三年生、毒島冴子(ぶすじまさえこ)によって言葉をつまらせる。
「学園所有のマイクロバスは? 鍵は壁にかけてありますけど」
窓際にいた男子生徒、平野コータが駐車場に止まっているバスを目に提案した。
「決まりね。問題はあそこまでたどり着けるかだけど・・・」
「チームだ! チームを組むのだ! そして生き残りは出来る限り拾っていこう」
場の空気が一瞬どんよりし始めたが、冴子の張り上げた声に皆気を引き締め、そして行動に移そうとした。
だがその時、職員室の扉がガラガラっと開かれる。
「「っ!!!!!!」」
一様に動きを止め扉の方を見て、孝、コータ、麗、冴子の四名は直ちに臨戦態勢を取った。
しかし入ってきた存在を目視し、ポカンと皆平等に固まるのだった。
学園へと舞い戻った雅は現在職員室の扉の前まで来ていた。
(お? やっぱり生き残ったやついるじゃねえか。立派立派♪)
中から聞こえてくる生きた人間の声を聞き、そんな感想を抱きながら職員室の扉を開け中へとはいる。
「ズルズル、チュルンッ・・・ん? どしたの?」
自分を見つめながら固まる六人を見て呑気に答える。
しかし皆が固まってしまうのも無理はない。
雅の様相、一見普通の制服を着ている男子生徒だ。
ただし、他が異常だった。
腰には大小2本の刀を携え、背には長細い筒上の袋を背負っている。
さらに雅の頭上にはスーパーやコンビニなどで見掛ける買い物かごが乗っており、中には食べ物や飲み物といったものが詰まっている。
極めつけに左手にはカップ麺、右手に割り箸と、こともあろうに悠々と食事をとっているのである。
これで思考が停止しない方がおかしいのだ。
「男は別に良いけどさ、美女、美少女四人に見つめられると流石に照れるんですけど?」
「「斬島(雅)(くん)!!!!!!」」
ようやく皆が反応する。
皆雅を知っているようだった。
もとより、気配を消して妄想に浸っていないときの雅は、学園で唯一、左目に眼帯をしていることもあり、とにかく目立つのだ。
さらに言えばこの場の四人は同級生であり、昨年同じクラスだったものもいる。
知っていてもおかしくわない。
そして同時に、雅もまた皆のことを知っている。
ここにいるメンバーは、雅が個人的に興味を抱いていた連中ばかりだ。
若干一名この場にいないことが気がかりだが、いつも行動を共にしているはずの者がこの場にいる以上、死んだのだと結論付けた。
「雅、お前も生きてたんだな。というかなんだよその格好」
「おいおい、孝、おれがあんな奴らに殺られるわけないだろ? ってか俺おかしな格好してるか?」
「あんたバカ? おかしいに決まってるでしょ! どうしたら今の状況で呑気にカップ麺なんか食べていられるのよ!」
「高城さん、あまり大きな声を出さない方が――」
「んーそれは問題ないと思うぞコータ。この階にいる奴らはほとんど残ってないしな。それと沙耶、俺は昼飯食い損ねたんだよ。カップ麺くらい食わせてくれてもいいだろ。ほら、お前にはケーキやるから」
そう言って頭上に手を伸ばし、かごの中からショートケーキを取り出し沙耶へと投げる。
「あ、ありがと・・・って違うわよ! あたしが言いたいのはどうしてそんなものをあんたが持っているかってことよ!」
「高城くん、少し落ち着きたまえ。それから斬島君、順を追って聞いてもいいだろうか?」
冴子の問いかけに軽く返事を返す。
「ではまず、君の腰にあるのは日本刀のようだが、いったいどこから持ち出してきたのだ?」
「家から」
「・・・ではそのかごの中の物は?」
「戻ってくる途中のコンビニからもらってきた」
「・・・先ほどこの階に奴らはいないと言っていたな? なぜだ?」
「全部斬り殺したから」
淡々と答える雅に、今一度皆の思考が停止する。
ただ「斬り殺した」というその言葉に一瞬だけ冴子が反応したのを雅は見逃さなかった。
そして皆はおそらくそんなことありえない、とでも思っていることだろう。
この場にいる一同は、雅という同じ学園の生徒は知っていても、雅が剣術を極めていることなどは誰一人として知らないのだから。
「おーい。それで? これからどうすんの? 脱出?」
「あ、ああ。すまない、我々はそのつもりだ。正直君の話が真実なら、行動を共にしてくれるとこちらとしても心強いのだが」
「いいよ。てか元々そのつもりだし、この中に守っておかないといけない女もいるし」
「それはよかった。ちなみに守りたい女というのが誰なのかは聞いてもいいかい?」
「んー言うと面倒そうだし、そいつの為にならないから言わない」
その言葉に女性陣はどこか安心した様に息を吐く。
まあいきなり男に「お前がおれの守りたい女だ」などという告白まがいなことを言われれば、今後の付き合い方が難しくなるわけで、ただ女としては嬉しくもありというなんとも複雑な感情を抱いていた。
その後、雅はバスでの脱出の話を聞き、発言する。
「運転は静香先生だよな?」
「そうよ~。免許持ってるの私だけだもん」
「んじゃ先生は俺と先にバスへ行こうか。それから沙耶もな。なるべくバスは近い方がいいだろ」
「先に行くって・・・どうやってだ、雅?」
「どうって、そこから飛び降りていくだけだろ?」
そう言って雅は窓を差す。
「はぁ!! 無理よ! 無理に決まってるでしょ! ここ二階よ!」
「大丈夫だって。ちゃんと下で受け止めてやるから」
「嫌よ! 絶対に嫌! 行くなら静香先生と2人で行きなさいよ」
「ええ~! 私も正直高いところはちょっと苦手なんだけど・・・」
「安心しろよ、静香先生。沙耶が来ないっていうなら先生はおぶってやるから」
「うう~、どうしても行かなきゃダメ?」
「ダメだな。静香先生は戦闘手段持ってないだろ? 同じ理由で沙耶も連れて行きたいんだが本人が嫌っていうならしょうがない」
「君自身は大丈夫なのか? いくら外にいる奴らが少なくなっているとはいえ、あまりにも危険すぎる気がするのだが」
「問題ない。なんならバスに着くまでここで見ていればいいさ。んじゃま静香先生、俺らは先にバスでのんびりしようぜ」
未だ飛び降りる決心のつかない静香を問答無用でおぶり、窓を開けて淵へと立つ。
「ああそうだ。冴子先輩、こいつ使っていいよ」
そう言って手に持ち替えた筒状の袋を冴子に投げ渡す。
「これは・・・。良いのか?」
「いいよ。一応予備で持ってきただけだし、必要なくなったら返してくれればいいから」
「では、ありがたく頂戴しておくよ」
雅が渡したのは、三本目の日本刀だった。
それを手にした冴子の表情が明らかに先ほどまでと変わったのを見届けた雅は、そのまま静かに飛び降りた。
そしてそこからの雅の活躍は、職員室から見守っていた一同を驚愕させるものだった・・・。
さて、いよいよ次回は雅の戦闘能力の一端を描写できるわけですが、正直呆気ないだろうなぁ(笑)
それと、原作を知らないかたにはネタバレになってしまうんですが、次回ちょっとしたいざこざで孝と麗が別行動になってしまうシーンが原作にはあるんですけど、そこ、孝のポジション雅に変えちゃってもいいよね?
正直雅をバスに残しても、あの教師とのやり取りしか書くことなくて、流れてきに殺っちゃいそうなんですよね~雅が。
と言うことで原作とは所々変える方向で行きますが、
雅とあの教師とのやり取りの方がいいというかたは作者までどうぞ。
あまりにも多ければ、なるべく殺さないような展開を考えますので(笑)
それではまた次回、さようなら。