魔法科SSシリーズ   作:魔法科SS

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劇中の数年後……という設定で。深雪×リーナの百合です。というかブラコン百合。
セックスに関係する会話が多いので、苦手な方はご注意を。

これは第2話と第3話のあいだに、会話の練習のためにVIP形式で書いてみたSSでした。
日付を確認してみたら2012年の2月(!)に書いたものでした。当時は文庫版でリーナが未登場でしたので、「来訪者編」が刊行されるまではお蔵入りにしてたんですね。


※こちらではpixivの投稿作品を転載しています
掲載元:http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2122591


深雪「リーナ! 夜のお勤めでは、ちゃんとお兄様を満足させているのでしょうね?」リーナ「……」

 

深雪「どうなの?」

リーナ「満足させてるわ」いらっ

深雪「本当かしら? ……まったく、お兄様と(しとね)を共にする者として、見た目だけが取り柄なことをわかってほしいところだわ」

リーナ「見た目だけ……」

深雪「だからあなたには……」くどくど

リーナ「反論しちゃ負けだわ、リーナ。ステイトじゃ絶世の美少女と鳴らした私を掴まえてよく言うわね!……とでも言い返したいところだけど、自分から可愛さをアピールするわけにはいかないし」

深雪「なにか言ったかしら」

リーナ「いいえ!」

深雪「とにかく、お兄様を喜ばせる努力は怠らないように。いいわね」

リーナ「そのことについてひとつ言いたいことがあるのだけど」

深雪「あら、なにかしら」

リーナ「どうして私が、いつもあなたの後じゃなきゃいけないの? どう見てもみっちり愛し合った後の相手じゃ、努力のしようもないわ! それに、眠りにつく前にベッドを追い出されるのもおかしいわ。タツヤの妻は私で、ミユキは妹じゃない!」

深雪「まだそんなこと言ってるの……。いい? お兄様がいちばん愛してる女性は誰?」

リーナ「……ミユキ」

深雪「初体験の相手は?」

リーナ「ミユキ」

深雪「お兄様にとっていちばん性的に興奮できる女性といえば誰かしら」

リーナ「ミユキ」

深雪「お兄様が目を覚ましたとき、最初に顔を見ておきたい人は?」

リーナ「ミユキでしょうね」

深雪「わかってるじゃない」

リーナ「でも! 法的には私が妻なのよ!? 義妹に寝室の優先権があるのはおかしいと言ってるの!」

深雪「あら、そんな理由で、多忙なお兄様の快適な睡眠時間を損なわせたいと言うのかしら」

リーナ「私と眠るのって、そんなにひどいの!?」ぐすっ

深雪「やだ、涙ぐまないでよ……。あくまで私と比較しての話なんだから。私は、お兄様に最高の一晩を過ごしてほしいだけなの。妻だと言うなら理解してほしいわ。ね、お義姉様?」

リーナ「う……可愛くお願いしてもムダなんだから。深雪にとっての優先順位はそうでしょうけど、亭主カンパクの時代はもう終わったのよ。妻として、私の立場ってものを主張させていただくわ」

深雪「ハァ、そこまで言われたら仕方ないわね。平和な家庭のためには妥協もしなければならないでしょう」

リーナ「やった! 屈辱の日々もさらばね」

深雪「朝まで私たちの横で眠ることを許してあげます」

リーナ「そういう方向じゃない!」

深雪「リーナにとっては大躍進じゃないかと思うのだけど……」

リーナ「そうだけど! なんというか、追い出されるよりもみじめな気分になる予想しか浮かばないわ」

深雪「リーナももうちょっと、お兄様と一緒に暮らせる喜びだけでも満足するべきよ」

リーナ「そんなことに幸福感を覚えるのはミユキだけだから! まぁ……でも実際、感謝すべき待遇であることは認めざるをえないわね。この結婚によって、あんなに複雑だったしがらみが全部解決するなんて思いもよらなかったから。今の私はとても自由。タツヤがいいパートナーなのも事実だし、満足していないと言えばウソになるわね」

深雪「リーナがお兄様に、それだけ恩を感じてくれていたら私も嬉しいわ」にっこり

リーナ「恩を、って強調されると早く忘れてしまいたい……」

深雪「でも正直に言うとね、私もリーナに子供が生まれるのは楽しみなの」

リーナ「そう、なの……? 初耳ね」

深雪「私だって、心の整理に時間かかったのよ。私もいつかお兄様の子供がほしい、と思ったことがあったわ。でもそれは自分がしなくてもいいことだと思えるようになったの。リーナ、私が認めたあなただからそう考えられたのよ」

リーナ「ミユキ……」じいん

深雪「おかげで、自分の気持ちにもはっきり気付くことができたわ。私が愛する人は、生涯でお兄様ただひとり。迷うことなく私の全てを捧げると」

リーナ「え? そうなら……」

深雪「だから、もし私が母親になったら……って考えちゃうとね。お兄様に向けるべき愛情を、子供にわり割かなきゃいけないのが不本意で不本意で」

リーナ「うぇ」

深雪「……もちろん、お兄様の血を引く子供なら、私にとっても宝だわ。でも自分が産むとなると、お兄様だけを愛していたい気持ちに抵抗があるのよね……」

リーナ「あーもうあーもう」

深雪「だからリーナとの間の子供なら、ちょうどいい距離感かなって。私、大事にしてあげられるわよ? ……なによ、デザートをお腹の限界まで詰め込んだみたいな顔して」

リーナ「おかしい! いや元々からおかしいんだけど! おかしい兄妹なのは私もワカってたツモリだったけど、あーもう!」

深雪「今日は変なリーナなのね」

リーナ「私は変じゃない!」

深雪「そう? 話は戻るけど、リーナに子供ができたら、私が産ませたんじゃないか……って気もちょっとするわね、ふふ」

リーナ「……え?」ぞくっ

深雪「私ともしてるんだから……ねぇ? 生物学的にはありえないけど、そんな気分も味わえるかもね」

リーナ「やだっ。ミユキっ! あなたそんな目で私を見てたワケ……!?」

深雪「リーナは征服欲をかきたてるタイプなのよ」

リーナ「確かに私がされる方だったけどっ! そんなこと考えないでよ! 生まれる子供とミユキは関係ないでしょう!」

深雪「気分だけでもいいじゃない。だって、お兄様と“血”は同じなのだし」

リーナ「この子の発想が気持ち悪い……。これさえ無ければ……なのに」

深雪「またなにか言った?」ぎゅう

リーナ「なにも言ってないです。あと前振りなしに抱きつかないでください」

深雪「だけどリーナって、お兄様よりも私の方が好きみたい……じゃない?」

リーナ「それ……自分で言う?」じと

深雪「否定はしないじゃない」

リーナ「うう。言葉にするとちょっと恥ずかしいけど、私にとって二人とも同じくらい好きだってことよ。どっちが上か……は本当に恥ずかしいから言わないけど。でもご覧の通り、私はタツヤに感謝や尊敬を感じていても、ミユキみたいにゾッコンってわけじゃないし。旦那さまが一番、ってタイプじゃないからミユキも側に置いてくれてるんだってワカってるし」

深雪「ふふ。そういうリーナだから、私も大好きよ。お兄様とは比べものにならないけど」

リーナ「いつも一言余計だと思う……」

深雪「あ、そろそろお兄様がお帰りになる時間だわ。じゃあ今日もわかってるわね? 二人でこの服に着替えて、玄関でお出迎えを……」

リーナ「えっ。またアレをやるの?! しかも、わざわざ新しいコスチュームまで用意して……! 日本の伝統文化か何か知らないけど、恥ずかしいやり取りは二人だけでしてくれないかしら」

深雪「もう、リーナ!」きっ

リーナ「な、何よ……」

深雪「妻なら妻らしくすること。私が妹らしくしているようによ。いい?」

リーナ「だからそれがおかしいの! 異常なの! ちょっと私の話も聞いて! あーダメダメ、わかった、わかったから! 着替えるから勝手に脱がさないでって! それにしてもミユキ、こんな格好になってホントに恥ずかしくないの……?」

深雪「いいのよ、リーナが可愛ければ」


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