内容自体は序盤はそんなに変わらないです。
「ーー所属不明艦隊に告ぐ。即座に機関を停止せよ。こちらの指示に従わない場合、貴艦隊を撃沈する!」
朦朧とした頭を振ってみれば、そこはコックピットの中だった。直前まで何をしていたのか、いまいちハッキリと思い出せない。つい癖で手元のミニパネルを確認すると、機体に大きな損傷はないようだった。
「こ、こは? ・・・・・・地球は、地球は無事なのか!?」
すこしだけ働くようになった思考の中で、最大の関心事であった地球の安否を確認する。全周型のモニターを見回せば、地球は変わらず美しい姿でそこに存在した。ここから見る限り粉塵が広がっている様子もない。
それだけを確認すると、再び意識を手放し、夢の世界へと旅立っていった。
全周型のモニターを覆い尽くさんばかりに佇む美しい星、地球。機体の右側に広がるその反対側には、彼を見守るように、白亜の巨艦が、佇んでいた。
@@@@@@@@@@@@@@@
機関を停止せよ。
その奇怪な艦隊は、そう要求していた。
どう思う、そう尋ねようとして、二度目の後悔に襲われる。
10分程前に気がついてみると、戦闘ブリッジにいたはずの自分はいつの間にか通常ブリッジの艦長席に座っていた。しかもブリッジには他に誰もいない。言いようのない不安に駆られて艦内放送で呼びかけてみても、誰も応答してはくれなかった。
一体、何がどうなっているのか分からない。
「ーー指示に従わない場合、貴艦隊を撃沈する!」
5分程前に現れたその艦隊は、機関停止を指示し続けていたが、ついに撃沈すると警告してきた。まだ警告射撃の一発も撃ってきてはいないので、いくらかの猶予はまだあろう。しかし、私に機関停止を要求してくるとは一体何者だろうか。ネオ・ジオンに対抗すべく広くエースや最新鋭MSを配属された精鋭部隊として、また鼻つまみ者の部隊として、この艦隊は敵味方を問わずその名を広く知らしめていると思ったのだが。
ともあれ、警告のランクが上がった以上、もはや残された時間は少ない。機関を停止するにせよ、しないにせよ、その前にやらねばならないことがあった。戦艦の数に不足のないことは確認できたが、MSの確認は未だ出来ていないのだ。
「周辺宙域の各パイロットに告ぐ。生存者は応答せよ。繰り返す、各パイロットは生存報告を急げ」
これで三度目の呼びかけである。ブリッジ要員が消えてしまっただけでも十分に謎だったが、加えてパイロットまでいないとなるともはや何が何だか分からない。
思わずこの10分間で一体何度目になるか分からないため息をつくと、諦めて艦長席の肘掛けの受話器をとり、Sound Onlyをコンソールで選択し、謎の艦隊の呼びかけに応答した。
「こちらは地球連邦軍外郭部隊ロンド・ベル艦隊指令、ブライト・ノア。貴艦の所属を明らかにされたし」