コツとかあるんでしょうか。
堕天使中枢組織
「・・・・・」
少年は少し辺りを見回し、部屋から出て行く。通路に出て歩き出す。すれ違う奴らは少年に目線も合わさず避けるようにすれ違う。たまに挨拶をしてくる者もいるが、必要最低限の返事だけをし、少年は自室に歩いていく。
「ん?帰ってたのか、
後ろのほうから話しかけられた。知っている声だったため、一方通行と呼ばれた少年は立ち止まり振り返る。
「・・・・ヴァーリか」
そこにいたのは銀髪碧眼の美少年が自分に向けて笑みを浮かべていた。
「相変わらずで何よりだよ」
ヴァーリと一方通行は並んで歩き出す。
「オマエも、相変わらず戦いばかりしてンだな」
ヴァーリはフッと笑いながら、
「勿論だ。戦いほど楽しいことはないよ」
一方通行は呆れたようにヴァーリを見る。
「別に否定する訳じゃねェけどよ、オマエ絶対早死にするぞ?」
「死ぬ時は誰かと戦って死にたいな。それも強いやつと」
ヴァーリはそこで更に好戦的な笑みを浮かべる。
「そう、例えばキミみたいな奴とかね」
「くっだらねェ。そンなに戦いてェンなら最近見つかった赤龍帝にでもケンカ売りにいけよ」
一方通行が言った赤龍帝というのは、
「生憎、今代の赤龍帝はまだ発展途上中でね。もう少し様子を見てからにするさ」
「確か、兵藤一誠だったか?」
「ああ、直に会うのはまだ先になりそうだ」
そして、2人は互いに話しながら歩き続ける。すると、一方通行の携帯が鳴る。取り出し電話に出る。
「なンだ?アザゼル」
『おう、度々すまんな一方通行。頼みたいことがあるんたけどよ、ヴァーリと一緒に俺の部屋まできてくれ」
アザゼルはそれだけ言って電話を切る。余程重要な要件らしい。一方通行は携帯をしまい、ヴァーリ方を見る。
「聞こえたか?」
「ああ、行くとしよう」
2人はそれだけを言い、アザゼルの元へ向かう。
「さァて、堕天使総督様は一体どンな要件なンだろォな」
「さあな、だが俺達を呼ぶぐらいだ。ろくなことじゃないのは確かだろう」
2人は互いに笑みを浮かべながらアザゼルの部屋に着く。ヴァーリがドアを開けて中に入ると、デスクに座り、豪華なローブを着ている堕天使総督アザゼルがこちらを見ていた。
「急に呼び出して悪いな。何分緊急事態なもんでよ」
「そンなことはわかってる。さっさと要件を話せ」
アザゼルは真剣な表情をし、ヴァーリと一方通行に話し出す。
「単刀直入に言うと先日、グリゴリの幹部コカビエルが教会からエクスカリバーを盗み出し、魔王の妹であるリアス・グレモリーが統治している駒王町に潜伏した」
一方通行とヴァーリは眉を寄せる。
「・・・・理由は?」
ヴァーリがアザゼルに問う。その問いに答えたのはアザゼルではなく一方通行だった。
「あの戦争狂のことだ、どォせリアス・グレモリーがいる町で暴れれば、兄の魔王サーゼクス・ルシファーが出てくる。そしてその妹のリアス・グレモリーを殺せば戦争が起こせるみたいな考えなンだろォよ」
吐き捨てるように一方通行は答える。アザゼルはその通りだと言わんばかりに首肯し、改めてヴァーリと一方通行を見る。
「天使、悪魔、堕天使の3大勢力が和平を結ぼうとしている今、戦争は絶対に避けなければならない。お前達には駒王町に行き、コカビエルを連れ戻してきて欲しい」
「面倒臭ェな。魔王の妹なンだからコカビエル程度軽くぶっ殺せンだろ」
一方通行の問いにアザゼルが首を横に振りながら答える。
「はっきり言って、無理だ。確かにリアス・グレモリーとその眷属悪魔達はあの年にしては強い方だろう。教会からも派遣されているエクスカリバー使いがいる。だが、コカビエルには敵わないだろうな。お前らにとってはコカビエル程度で済む話だが、古の大戦を生き残った彼奴は間違いなく強者だ。増援に魔王を呼んだとしても、到着する前に殺されているのがオチだろうな」
黙って聞いていたヴァーリは口を開き確認をする。
「つまり俺達は駒王町に行き、リアス・グレモリーとその眷属悪魔達が交戦している所に向かい、コカビエルを回収して来ればいいんだな?」
ヴァーリがそう言うと、アザゼルは首を振り首肯する。
「そんなわけで、今から行ってきてくれ。それと、ついでにコカビエルについているはぐれエクソシストのフリード・セルゼンにも聞きたいことがある」
「チッ面倒臭ェ。先に行け、ヴァーリ。俺は少しやることがある。別にお前1人でも問題ねェだろ」
一方通行は面倒臭そうに顔をしかめ、部屋から出て行く。そして、ヴァーリも少しアザゼルと話した後、自身も部屋から出て駒王町に向かう準備を始める。
アザゼルの部屋から出た一方通行は携帯を取り出し、何処かえとかける。数秒のコールの後、ガチャリという音がする。どうやら出たようだ。
『もしもし、一方通行?何の用?』
向こうから聞こえてきたのは女の声だ。と言っても別に深い関係があるわけでもない。一方通行は単刀直入に要件を話す。
「情報が欲しい。リアス・グレモリーの眷属悪魔だ」
『・・・えらく急ね。まあ、細かい事情は聞かないことにするわ。えーと、少し待ってね、すぐ探すから」
電話の向こうではガサゴソという紙をめくったり引っ張り出している音が聞こえる。1分程待つと再び声が聞こえてくる。
『ごめんね、慌ただしくて、えーと、グレモリー眷属のことよね?まずは女王の姫島朱乃。堕天使バラキエルの娘ね。彼女のことは貴方も知っているでしょ?』
「あァ、詳しくは聞いてねェがな」
『彼女はバラキエルを恨んでいるようね」
「他人の事情だ。俺にできることなンざ何もねェよ」
「そうかしら?貴方でも出来ることもあると思うわよ。・・・あの時、私を暗闇の底から助けてくれたように・・・・」
「あァ?なンか言ったか?」
『なんでもないわよ・・・次は騎士、木場裕斗。聖剣計画の生き残りで神器は
「聖剣計画?」
聞きなれない単語に一方通行は眉を寄せる。
『聖剣計画っていうのは教会関係者が人工的にエクスカリバーを使える者を生み出そうとした計画のことよ。でも被験者は全員聖剣に適応できなかった。だから教会は被験者を全員処分したの。でも木場裕斗はその中で唯一の生き残り。多分エクスカリバーに対しての憎しみは相当の物ね』
「その計画の責任者は?」
『バルパー・ガリレイ。皆殺しの大司教と呼ばれた男よ。』
「アイツか・・・」
その名は聞いたことがある。自分の目的の為なら手段を選ばない男だ。コカビエルと一緒にいたという情報があったため、恐らくバルパーもエクスカリバー強奪に関与しているのだろう。
『次は戦車、塔城小猫。彼女は人間からの転生悪魔じゃなくて猫の妖怪。猫又からの転生悪魔ね。でもあることから猫又の力を使うのを怖がっているみたい。ちなみに、彼女の本名は白音。どこかで聞いたことない?』
(白音・・・・?あのはぐれ悪魔の確か・・・黒歌って奴がそンなこと言ってなかったか・・・?)
確かそうだ。恐らくあの黒猫の妹だろう。色々あって昔、黒歌という猫又のはぐれ悪魔を助けた際に、そんな話をした覚えがある。
だが、今はそんなこと関係ない。
「まァイイ。次だ」
『はいはい、えーと、次は僧侶。アーシア・アルジェント。元シスターで・・・へぇ。治癒系の神器所有者だそうよ。かなりレアね・・・あと、もう一人僧侶がいるわ。名前はギャスパー・ヴラディ。これに関してはあまり情報が少ないわね・・・神器は停止世界の邪眼。これまたレアな神器保有者ね』
「ヴラディってのは確か吸血鬼の名門だったな・・・それに神器保有者ってことはハーフか。吸血鬼ってのは純血重視する種族だ。大方、家を追い出されて逃げていた所をリアス・グレモリーに助けられたってとこじゃねェのか?」
『そこまでなら私でも分かるわよ。だけど、それだけじゃない、ギャスパー・ヴラディには他にも秘密が隠されている・・・』
「・・・それも何処かの情報か?」
『いいえ、女の勘よ』
「・・・・・」
一方通行は黙ってしまった。
『・・・次よ。兵士は1人、ああ、これは貴方も知ってるんじゃない?』
「赤龍帝、兵藤一誠か」
『ええ、それにしても今代の赤龍帝は弱すぎない?魔法陣で転移しようとしても魔力が足りないのよ?悪魔なら子供でもできるっていうのに』
「ヴァーリはこれからに期待するとか言ってたがな」
『望み薄ね・・・。後、彼は相当な変態みたいよ。彼が通っている駒王学園でも女子から嫌われてるらしいし』
「・・・同情するぜ・・・ヴァーリに」
『本当にね・・・・さて、これでざっくりとした眷属の情報は以上よ。更に詳しく聞きたなら連絡して頂戴』
「悪ィな」
『いいのよ。貴方には仮があるし・・・』
「そォか。何かあったら連絡する。じゃあな」
それだけ言って一方通行は電話を切る。これで大体のことは掴めた。一方通行は再び紙を一枚取り出し、何かを呟く。光が彼を包み込み彼を戦場へと運ぶ。
場所は駒王町。駒王学園。ここでは現在、コカビエルとリアス・グレモリーの眷属悪魔。そして教会から派遣されたエクスカリバー使いのゼノヴィアという人間が死闘を繰り広げていた。
一方通行の予想通り、コカビエルはリアス・グレモリーの根城である駒王学園を中心として暴れ、再び戦争を起こす予定だった。
リアス・グレモリーの眷属である兵藤一誠、塔城子猫、そして駒王学園の生徒会長。支取蒼那こと、もう一人の魔王の妹。ソーナ・シトリー。彼女の眷属である匙元士郎と共に、教会から派遣されたゼノヴィアともう一人、兵藤一誠の幼馴染でもある紫藤イリナらにエクスカリバー回収に協力したいと申し出た。彼女らは最悪エクスカリバーの核さえあれば問題無い為、ドラゴンの力を借りるということで協力を受け入れた。そして、エクスカリバーに強い憎しみを抱いている木場裕斗と共にエクスカリバー破壊として行動し始めた。
その結果、紫藤イリナがコカビエルによりエクスカリバーを奪われ、戦闘不能に陥る。盗まれたエクスカリバーはこれで4本。コカビエルに協力しているバルパー・ガリレイはこの4本のエクスカリバーを一つにし、フリードに渡した。さらに4本のエクスカリバーが一つになったことで術式が発動し、駒王町が崩壊の危機に瀕している。解除する為にはコカビエルを倒すしかない。木場裕斗はフリードと戦い、自分の持つ神器。魔剣創造を禁手という神器の覚醒状態へと昇華させる。
そしてその力。
だが、コカビエルはバルパーを最初から捨て駒と割り切っていた。コカビエルはバルパーを殺し、その場にいる全員に聖書の神は死んだことを告げる。
元シスターであるアーシア、教会のゼノヴィアはその場に崩れ落ち心が挫けそうになる。
「俺は1人でも戦争を始める、これを機に!お前達の首を土産に!我ら堕天使こそが最強だと魔王サーゼクスにも、ミカエルにも見せ付けてやる‼︎」
だが、赤龍帝。兵藤一誠はそんなことでは挫けない。
彼は立ち上がり、コカビエルへと立ち向かう。
「ふざけんな‼︎お前の勝手な言い分で俺の町を、俺の仲間を、部長を、アーシアを殺されてたまるか‼︎俺はハーレム王になるんだぜ‼︎こんな所で死んでたまるか‼︎」
理由はどうであれ、彼の力が。兵藤一誠の。赤龍帝の力が湧き上がる。赤龍帝の力は持ち主の力を十秒ごとに倍加させる。
コカビエルは目をひくつかさせながら尋ねる。
「・・・なんだ・・・お前は何者だ?」
一誠は胸を張って堂々と答える。
「俺はリアス・グレモリー様の兵士‼︎兵藤一誠だ‼︎覚えとけ‼︎コカビエル!俺はエロと熱血で生きる赤龍帝だ‼︎」
先程までの絶望感が嘘のように吹き飛ぶ。全員の目に光が戻り、再び闘志が湧き上がる。全員の気持ちが一つになった。その時。
「ふふふ、面白いな」
一誠ってエロくなければかなりイケメンですよね。
どうしてああなったのでしょうか?