紙束。使い道がほとんどない、あるいはまともに機能しないカードの俗称であり「カードではないただの紙」という蔑称。
デュエルモンスターズは圧倒的なまでに強いカード、それを際立たせるコンボ。シナジーが存在する。それを守らずにデッキを組む行為は自殺行為と同じ意味でありデュエリストならば余りにも嘗めた行為だった‥‥‥‥‥‥
海馬ランド前にあるカードショップ。
その店の店長である男はため息を付いていた。今日はデュエルアカデミアの実技試験があると言う事で朝早くから大量のお客さんがカードを買い漁っていった。繁盛するのは有り難いがテスト前にカードを買ってデッキを弄るのは不味い。
特に最後に買いに来たオドオドとした小柄な坊主は買ったパックから低レベルのモンスターしか出なかったらしく泣きながら商品を置いて走りさってしまうと言う事も合ったほどだ。
既に店内に人影は無く閑散としている。時間的にはデュエルアカデミアの実技試験は始まっているだろう。どうにか今年も受かって欲しいものだ‥‥‥
毎年と同じ事を考えながら店内に散乱しているパックの空袋を片付け様と腰を椅子からあげようとした時だった。
「すいません」
不意に上から声が掛けられて腰を抜かしそうになるのをこらえる。目の前にはいつの間に入ってきたのだろうか170後半はありそうな室内でも目深に帽子を被った男が立っていた。
「い、いらっしゃいませ。ご、ご注文は?」
突然の登場に驚きを隠せなかったからか声にも震えが出てしまう。
「デュエルモンスターズのパックを8つ下さい」
やれやれ、また客かと苦笑いしそうになる自分の商売人としてどうなのか解らない考えを感じながらデュエルモンスターズの棚をみる。
今日は朝から飛ぶようにカードが売れた為、明らかにパックの数が少ない。
「すいません、7パックしかありませんが良いですか?」
すると帽子の青年は明らかに落胆した表情を浮かべた。
「‥‥‥‥そうですか」
段々と不憫になってきたがどうしようも無い。
あきらめて帰って貰おうと考えたがふと、視界の端に先程捨てられたばかりのカードが目にはいる。どうせ、捨てられたカードで低ステータスのゴミカード‥‥‥‥
「あの、このカードならタダでいいですよ?」
そう言って帽子の男に渡すと驚いた様な顔でお礼を言ってきた。
その後、7パックを買って出ていく際に男は此方を振り替えって礼をしてはっきりとこう言った。
「これでデッキが組めますよ」
店長は耳を疑い冗談と受け取った。
何故ならデュエルモンスターズとはカードを自分で選び、考えたデッキを組まないと勝負以前の問題だからだ。デッキの軸となるカードは最大枚数積んで闘うのは当たり前だし、パックと言うのは運の要素が高いとは言え確実に寄せ集め。なんのコンボも無く、戦略も無い盲打の様なデッキなんぞ回せる筈は無い。
まさかあの男はデュエルアカデミアの受験生なのだろうか?そんな考えが過るが鼻で笑う。デュエルアカデミアの入学試験はデュエルエリートだけが通り抜ける事の出来る狭き門。あんな素人がもし、あの紙束で勝つことが出来たとするなら‥‥‥‥‥‥
「決闘王にも勝てるんじゃ無いだろうか‥‥‥‥‥‥」
そんな店長の呟きを聞くものは誰一人居なかった。
俺は昔からデュエルモンスターズが好きだったが勝つことは出来なかった。必死にデッキを考え、コンボを考え、知り合いのデッキを見て参考にしたりもしたが何故か全てが裏目に出た。
その弱さっぷりと言ったら家の近くにあるカードショップの星形の奇抜なヘアスタイルのお兄さん(何故か異様にデュエルモンスターズが強かった。時々テレビで似たようなヘアスタイルを見かけるので流行りなのだろうか)が匙を投げた程だった。
とにかく原因は解らないが俺はデッキを組むととにかく裏目裏目にでてデュエルモンスターズで勝った経験はなかったのだ。
しかし、諦めずカードショップで何時も通り星のお兄さんとデュエルを始めた時だった。
(あっ‥‥‥‥これ今さっき買ったパックのカードだ)
手札にはブルーポーション、謎の手なんて言うバニラモンスターがこんにちわしていたのだ。間違えてデッキでは無く、寄せ集めのカードを使っていた。
まぁ、いいかとデュエルを始めたら何故かそのデュエルで初勝利を納める事になった。
驚いたさ。ああ、驚いたね。
お兄さんもポカーンとしてる顔が印象的だった。お兄さん曰く精霊がどうたらこうたら聞かされたが宗教勧誘かと思い聞き流した。
つまり、俺は適当に作ったデッキで闘えばある程度勝負になるらしい。自分の好きなカードが使えないのは辛いがお兄さん曰くこの世に使えないカードは無いらしいので頑張って見たいと思う。
そして、今俺はデュエルアカデミアの入学試験会場に来たのだがデッキを揃えるのに時間がかかり遅れてしまった。その性で試験をあわや受けさせて貰えない事になりそうだったんだがどうやら話が着いたらしい。
「我々、デュエルアカデミアにドロップアウトボーイは二人も要らないノーネ。今から遅れてきた二人にデュエルさせて勝った方を試験合格にしてあげるノーネ」
金髪の長身の男が最高責任者らしく、そいつが大声で俺を見ながらしゃべっている。問答無用で失格にされてもおかしくない状況でこれはかなりの温情と言えるだろう。しかし、負けたら入学出来ないのか‥‥‥‥‥‥まぁ、負けたら潔く諦めよう。
俺は知り合いから譲って貰った旧式のデュエルディスクを左手に装着し、今さっき完成したデッキをセットする。
どうか、回りますように‥‥‥‥‥‥祈りながらデュエルフィールドに上がる。
観客席には受験を終えたであろう生徒達が座っている。
既に対戦者である、受験生がフィールドに立っていた。その受験生は入学する事が出来ないかもしれないこの場面で心からの笑みを浮かべて話しかけくる。
「おっ! あんたが俺の相手か。俺は遊城十代。よろしくな!」
明るくて、気の良さそうな奴だ。
「小波だ。よろしく頼む。お互いに悔いの無いようにな」
「ああ、わかってるさ! 早速始めようぜ!」
遊城がデュエルディスクを構え、俺もデュエルディスクを構える。
「「決闘(デュエル)!」」
遊城LP4000
小波LP4000
デュエルディスクに表示された先行は遊城の方だ。
「行くぜ! 俺のターン、ドロー!」
遊城が気合いを入れてドローする。
さて、どんなデッキが飛び出して来るだろうか‥‥‥‥
「俺は攻撃表示でE・HEROスパークマンを召喚!」
E・HEROスパークマン
通常モンスター星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400
様々な武器を使いこなす、光の戦士のE・HERO。
聖なる輝きスパークフラッシュが悪の退路を断つ。
遊城のフィールドにアメリカンコミックのヒーローの様な姿をしたモンスターが現れる。なるほど‥‥‥‥【HERO】デッキか。【HERO】は戦士族の下級モンスターと幅広いサポートカード、そして融合により強力なモンスターを召喚するデッキだったな。昔組んで融合が一枚も来なくてジリ貧で負けた思い出がある。
「さらに俺はカードを二枚伏せてターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー」
カードを引いても解る統一感の無さだな。手札にあるカードは見事な迄にバラバラ。曰く、紙束って奴だがやってやれない事は無い。
「俺は手札から成金ゴブリンを発動!」
フィールドに恰幅の良いゴブリンが現れ、壷からカードを一枚俺の方へ渡し遊城の方へ
金をばらまく。
成金ゴブリン
通常魔法
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
その後、相手は1000ライフポイント回復する。
「俺は効果でカードを一枚ドローし、相手は1000ポイントライフを得る」
遊城LP4000→5000
「へへっ、サンキューな!コナミ!」
このカードは完全に強欲な壷が主流の今時使う人も少ないカードの一つだな。
デメリット無しで2ドローが馬鹿げてるだけか。
とりあえず今のドローで召喚出来るモンスターが来て良かった。
しかし、ピンポイントにこいつが来るとはな。
「俺もE・HEROスパークマンを攻撃表示で召喚する」
『トァッ!』
掛け声と共に俺の頭上から飛び降りる様に登場する俺のスパークマン。
「おっ! コナミもHERO使いなのか! くぅ~ワクワクしてきたぜ!」
遊城が興奮するかの様に早とちりしているが俺のデッキに入っているHEROはスパークマンだけである。
「さらに俺はスパークマンに装備魔法伝説の剣を装備! これによりスパークマンの攻守は300アップする!」
伝説の剣
装備魔法
戦士族のみ装備可能。
装備モンスター1体の攻撃力と守備力は300ポイントアップする。
攻1600/守1400→攻1900/守1700
スパークマンが目の前に突き刺さる巨大な剣を片手で振るう姿はまさしく物語の中のヒーロー‥‥‥‥には見えないな。色物過ぎる。
『で、伝説の剣‥‥‥‥だと?』
『あの、微妙過ぎる上がり幅の装備魔法を採用してるのか。ドロップアウトはこれだからな』
外野が煩いな。俺も出来るならデーモンの斧が積みたいね。
「これでお前のスパークマンの攻撃力は越えた。 さらに俺は魔法カード『名推理』を発動する」
ターバン巻いた老人が不意に現れ空中に虫眼鏡を翳すと俺の回りに1から12までの数字が浮かぶ。
「さあ、この中の数字を一つ選べ」
「‥‥‥‥どんな効果かは解らないが、俺は4を選ぶぜ!」
「数字が選択された事により名推理の効果が起動する」
俺の声と同時にデッキトップのカードが捲られて行く。
「名推理は俺のデッキからカードを一枚づつ捲りモンスター以外のカードを墓地に送り、モンスターが捲られた時にそのモンスターが相手の選択したレベル以外の時に特殊召喚できる!」
名推理
通常魔法
相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。
通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキからカードをめくる。
出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。
違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、それ以外のめくったカードは全て墓地へ送る。
「でも、運が悪かったな! 俺もHEROを使ってるから解るけどE・HEROは殆どのカードがレベル4だぜ!」
ニヒヒと、くったなく笑う遊城を尻目に数枚の魔法・罠カードを墓地に送った後俺のデッキトップにモンスターが姿を現す。
「出たモンスターはレベル5モンスター『モリンフェン』! よってモリンフェン様を特殊召喚!」
『オオオオン!』
光輝くエフェクトの中からその悪魔は姿を現す。
鮫の様な肌。
ギラギラとした赤い目。
そして、魂を刈り取る形をした長い爪。
その全容から見て取れる恐ろしさは十分にモリンフェンの強さを表していた。
「いっ!? E・HEROじゃないのか!? 」
今さら気づいても遅い。
モリンフェン様の前に膝をついて命乞いでもするんだな!
フハハハハハ‥‥‥‥はぁ。
モリンフェン
通常モンスター
星5/闇属性/悪魔族/攻1550/守1300
長い腕とかぎづめが特徴の奇妙な姿をした悪魔。
そうこのモリンフェン様攻撃力がなんとスパークマンに劣るのだ。星5の上級の癖に。
『なんだ!? あのクズカードは!?』
『まさか入学試験であんなカードを使う奴が居るなんてな』
『モリンフェン様キター!』
にわかに騒がしくなる客席の反応は何時も通りである。
「畜生め! バトルだ! スパークマンでスパークマンを攻撃! 『スパークフラッシュ斬』!」
『トゥ!ヘァ!』
スパークマンはスタイリッシュに動きながら電光を纏う剣で自分の分身を切り裂く。
遊城LP5000→4700
「スパークマンが‥‥‥‥‥だがヒーロはそんなに簡単にはやられたりなんかしないぜ! 罠カード『ヒーロー・シグナル』発動!」
爆発したスパークマンの位置からスポットライトがドームの天井に写しだされる。
ヒーロー・シグナル
通常罠
自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動する事ができる。
自分の手札またはデッキから「E・HERO」という名のついたレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。
「ヒーローの意志はまた、新たなヒーローへと受け継がれる! 俺はデッキから『E・HEROクレイマン』を守備表示で特殊召喚!」
ドームの天井に写し出されたスポットライトから大きな影が落ちる。
ドスン!という音と共に大きな壁が現れる。
E・HEROクレイマン
通常モンスター
星4/地属性/戦士族/攻 800/守2000
粘土でできた頑丈な体を持つE・HERO。
体をはって、仲間のE・HEROを守り抜く。
なるほど、これは硬い壁だ。
かぁー、辛いわー。モリンフェン様は1550しか火力無いから辛いわー。
「命拾いしたな‥‥‥‥俺はカードを三枚伏せてターンエンドだ」
手札も無くなりやることも無いので無駄に格好を着けてターンエンドする。
「俺のターンだ! ドロー! よしっ! コナミお前にマイフェイバリットカードを見せてやるよ! 俺は手札から融合を発動!」
何でピンポイントにそれを引いてしまうん?
融合
通常魔法
自分の手札・フィールドから、
融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
融合はHEROの主軸を担うカード。つまりかなり不味い。
「手札のE・HEROフェザーマンとE ・HEROバーストレディを融合! 現れろマイフェイバリットカード! 『E ・HEROフレイム・ウイングマン』!」
E・HEROフレイム・ウイングマン
融合・効果モンスター
星6/風属性/戦士族/攻2100/守1200
「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO バーストレディ」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
赤と緑の配色の映えるモンスターが降り立つ。
「いくぜ! コナミ! フレイム・ウィングマンでスパークマンを攻撃! 『フレイムシュート』!」
ああ、炎に巻き込まれていくスパークマン=サン。オタッシャデー!
しかし、この程度では終わらないんだよなぁ‥‥‥‥‥‥
「更にフレイム・ウィングマンの効果により、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える」
ジャンプして間合いを詰めたフレイム・ウィングマンが右手のドラゴンから焔を俺に打ち出す。
あまりのソリッドビジョンのリアリティに頭を抱えそうな程だったが醜態を晒すのは恥ずかしいので真顔で耐えることにした。だが涙が出そうな程怖いなこれ。
小波LP4000→1900
一気にライフが削れたが、何とかなるさ。
俺は『四枚に増えた』手札を眺める。
「あり? 何で手札が?」
ようやく遊城も気づいたようだな。
「俺はお前の攻撃宣言時にこのカードを発動していた」
俺のフィールドには、一枚の永続罠が存在していた。
ラッキーパンチ
永続罠
1ターンに1度、相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
コイントスを3回行い、3回とも表だった場合、
自分はデッキからカードを3枚ドローする。
3回とも裏だった場合、このカードを破壊する。
また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊された場合、
自分は6000ライフポイントを失う。
「そして、このカードの賭けに勝ったって訳だ」
既に俺は窮地に立っている。ラッキーパンチが破壊されれば俺のLPは消し飛んで何も残らない。
まぁ、モリンフェン様をフレイム・ウィングマン破壊されてクレイマンにダイレクトアタックされたら終わりだから、変わらないがな!
「楽しくなってきたぜ! 俺はターンエンドだ!」
「俺のターンドロー。俺は手札から魔法カード『カード・フリッパー』を発動! 手札のカードを一枚墓地に送り、相手フィールド上のモンスターの表示形式を入れ換える」
上空から現れた糸が遊城のモンスターに絡み付き強制的に表示形式を変更させる。
カード・フリッパー
通常魔法
手札を1枚墓地へ送って発動する。
相手フィールド上に存在する全てのモンスターの表示形式を変更する。
「げっ! クレイマンが攻撃表示に!」
クレイマン守備力2000→攻撃力800 フレイム・ウィングマン攻撃力2100→守備力1200
「行くぞ。バトルだ。モリンフェン様でクレイマンに攻撃!『テラー・ネイル』!」
『オボロロロロロ!』
一ターン生き残ったのが奇跡だったがモリンフェンが活躍してやがる、どうなってんだ。
「それを通す訳にはいかないな! 罠発動! 『ヒーローバリア』!」
ヒーローバリア
通常罠
自分フィールド上に「E・HERO」と名のついたモンスターが
表側表示で存在する場合、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。
『空気読めよ!モリンフェン様の活躍の時やぞ!』
さっきから観客が一人煩いな。
「甘いな、遊城! モリンフェンはその上をはるかに駆け抜ける! 速攻魔法『ダブル・アップ・チャンス』発動!」
ダブル・アップ・チャンス
速攻魔法
モンスターの攻撃が無効になった時、
そのモンスター1体を選択して発動できる。
このバトルフェイズ中、
選択したモンスターはもう1度だけ攻撃できる。
その場合、選択したモンスターはダメージステップの間、攻撃力が倍になる。
「ダブル・アップ・チャンスは攻撃を無効にされた時のみ発動できる速攻魔法! 攻撃力を倍にしてもう一度攻撃出来る!」
『ギョオオオオオ!』
モリンフェンに力が集まり姿が大きくなっていく。
モリンフェン攻撃力1550→3100
なんと伝説のブルーアイズ越えましたよ。
あのモリンフェンが。
「消し飛べ‥‥‥‥『退廃のテラーストリーム』!」
モリンフェン様の体が光輝き突進する。
『ヴアオアオア!』
ビームは出なかったみたいですね。
「うわぁぁぁ!?」
クレイマンを破壊された勢いで後ろに押し出される遊城。あれ?ソリッドビジョンだよな?
遊城LP4700→2400
とにかくライフは削った!
「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」
「コナミ、スゲー強いな! 俺はこんなに楽しいデュエルは初めてだ! ドロー! まずはフレイム・ウィングマンを攻撃表示に変更する! そしてバトルだ! フレイム・ウィングマンでモリンフェンに攻撃!『フレイムシュート』!」
この攻撃が通れば俺は負ける、ならば防ぐまでよ!
「俺は罠カード『ハーフorストップ』を発動する!」
ズモモモ‥‥‥‥‥‥と言う地響きと共に斧が二本現れる。
ハーフorストップ
通常罠
相手ターンのバトルフェイズ時のみ発動する事ができる。
相手は以下の効果から1つを選択して適用する。
●バトルフェイズ終了時まで、自分フィールド上に存在する全てのモンスターの攻撃力は半分になる。
●バトルフェイズを終了する。
「お前は二つの効果の内どちらかを選ばなければならない。フレイム・ウィングマンの攻撃力を半分にするか、バトルフェイズを終了するかだ。どちらを選ぶ?」
まぁ、十中八九ストップを選ぶだろ「ハーフを選択するぜ!」 why?
銀の斧がフレイム・ウィングマンに投擲され攻撃力が半減する。
フレイム・ウィングマン攻撃力2100→1050
しかし、なぜ?あの攻撃力じゃ何も出来ない。モリンフェン様の返り討ちが関の山だぞ?
それぐらい解ってる筈じゃ「俺は速攻魔法『収縮』を発動! 対策は当然モリンフェンだ!」解っとる!対策とってたわ!
収縮
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターの元々の攻撃力はエンドフェイズ時まで半分になる。モリンフェン攻撃力1550→775
何て微妙なステータス!
「食らえ!」
再度俺はモリンフェンと共に焔に包まれる。
目がチカチカして来そうだ。
小波LP1900→75
こんな数値見たことが無いんですがそれは。
「俺はターンエンドだ」
そろそろ本格的に不味くなってきた。
次のドローに全てが掛かってる。
「俺の‥‥‥‥ターンドロー!」
引いたカードは‥‥‥‥‥行けるか?
失敗したら死ぬな。
「俺は魔法カード『未来への思い』を発動!」
『未来への思い』
通常魔法
自分の墓地のレベルが異なるモンスター3体を選択して発動できる。
選択したモンスター3体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は0になり、効果は無効化される。
その後、自分が?????召喚を行っていない場合、このターンのエンドフェイズ時に自分は4000ライフポイントを失う。
また、このカードを発動するターン、
自分は?????召喚以外の特殊召喚ができない。
「未来への思いは墓地から違うレベルのモンスターを三体、効果を無効化して特殊召喚する。俺は墓地の『モリンフェン』『E・HEROスパークマン』『ギゴバイト』を甦らせる」
三つのガラス瓶が割れ三体のモンスターが姿を現す。
『ギゴバイト』はカード・フリッパーの時に墓地へと送ったカードだ。
ギゴバイト
通常モンスター
星1/水属性/爬虫類族/攻 350/守 300
今はまだおだやかな心を持っているが、邪悪な心に染まる運命を背負っている…。
「だが俺はエンドフェイズに4000のライフを失う。更に」
E・HEROスパークマン攻撃力0
モリンフェン攻撃力0
ギゴバイト攻撃力0
「特殊召喚されたモンスターの攻撃力は0になる」
「それじゃあ、俺のフレイム・ウィングマンは倒せないぜ?」
そんな事は解ってる。
「ならば俺は装備魔法『進化する人類』をモリンフェンに装備する」
進化する人類
装備魔法
自分のライフポイントが相手より少ない場合、
装備モンスターの元々の攻撃力は2400になる。
自分のライフポイントが相手より多い場合、
装備モンスターの元々の攻撃力は1000になる。
「これによってモリンフェンの攻撃力は2400になる」
モリンフェン攻撃力0→2400
『ヤッダァバァァ!』
モリンフェンは羽が消え体が小さくなり二足歩行の気持ち悪い何かへと変化した。
「フレイム・ウィングマンの攻撃力を越えた!?」
まだだ。まだ終わらんよ!
「俺はギゴバイトに『幸運の鉄斧』を装備!」
幸運の鉄斧
装備魔法
装備モンスターの攻撃力は500アップする。フィールドに表側表示で存在するこのカードが
相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。
自分はデッキから1枚ドローする。
ギゴバイト攻撃力0→500
準備は整った!
「バトル! モリンフェンでフレイム・ウィングマンに攻撃! 『退廃のテラーストリーム』!」
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァ!』
フレイム・ウィングマンをタコ殴りにしていくモリンフェン。
なんともシュールだ。
遊城LP2400→2100
「更にギゴバイトでダイレクトアタック! 『幸運の一撃』!」
『テエー!』
攻撃が遊城に入る前に発動させて貰う!
「俺は墓地のスキルサクセサーを発動する。これによりギゴバイトの攻撃力は上昇する」
スキルサクセサー
通常罠
自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで400ポイントアップする。
また、墓地のこのカードをゲームから除外し、
自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択した自分のモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで800ポイントアップする。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できず、
自分のターンにのみ発動できる。
「墓地から罠を発動だって!?」
ギゴバイトの体にオーラが纏う。
ギゴバイト攻撃力500→1300
遊城LP2100→800
「止めだ。俺は罠カード『破壊指輪』を発動!」
破壊指輪
通常罠
自分フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊し、
お互いに1000ポイントダメージを受ける。
「破壊指輪は俺のフィールドのモンスターを一体破壊し、お互いに1000のダメージを与えるカードだ。俺はモリンフェンを選択する」
「ちょ、ちょっと待て! 俺達のライフは‥‥‥‥‥‥」
遊城LP800
小波LP75
「爆発せよ!モリンフェン!」
『グボボボ!』
ッボン!と言う音と共にお互いのライフが0になる。
「引き‥‥‥‥‥分けか」
ふむ、この場合入学試験はどうなるんだろうか?
「ええ!? 納得いかねー! なぁ、コナミ! もう一回デュエルしようぜ!」
遊城は試験の結果より勝敗が気になるのか‥‥‥‥‥‥面白い奴だ。
とりあえず、話を聞いて家に帰って寝よう。慣れない事をした性か体が重い。
もし、この場に霊感の強いものがいたら腰を抜かしただろう。一人の男の後ろに列を成すようにして奇妙な風貌の化け物が続いていたのだから。
一方、二人のデュエルを見ていた観客達。
「ははは! あの一番君とその相手の彼はすごいな! 俺もまだまだと言う事かな」
優等生は気を引き締め、
「あの子たち面白いわね。そう思わない?」
「あの、帽子の男」
「どうしたの? 亮?」
「‥‥‥‥‥‥いや、何でもないさ」
クイーンは何も気付かず、カイザーは男のデッキの特異性に気付き初めていた。
しかし、当の小波たちはそんな注目は露知らず後日、家にデュエルアカデミアの合格通知が届き物語は舞台をデュエルアカデミアへと移す。
完全に趣味でやってしまいました。
あんまりなボンコツ決闘者なので『なってない!』
と思う方はどんどん感想よろしくお願いします