バカとテストと召喚獣~新たな始まり~   作:時斗

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第46話、更新致します。
ですが、本編に入る前に……、今更では御座いますが、ここでこの作品のスタンスを改めて、ハッキリさせておきたいと思います。
この二次創作は、お読み頂ければお分かりになるかと思いますが、ある理由により原作のギャグをシリアスにかえているところがあります。
原作主人公の性格に、本作品の出来事があって、その体験によって今の性格に落ち着いたという仮定で書いている為、どうしても原作と同じような付き合い方が出来ない点が出てきてしまいました。その結果、一部原作キャラとの関係が、損なわれている部分もあります。
自分と致しましては、原作をリスペクトし、出来るだけ原作の素晴らしさを表現できればと思っているのですが、私の文章力が、表現力が悪く、原作の魅力をお伝えできておりません事は、本当に申し訳なく思っております。

暫く更新の期間が空き、再度この作品に向き合った際に、消失していたプロットを記憶を頼りに再構築致しました。その時に、この物語の道筋、最終章の大筋とエピローグの部分は大体完成致しました。
その場面では、原作キャラのメイン、サブといったキャラ、FFF団の面々に関しても活躍の舞台があります。

ですので、この作品をアンチヘイトとしてお楽しみ頂いている方に対しての、ご期待には添えないかと思います。本当に申し訳御座いません。
それでもよろしければ、どうかお楽しみ頂ければ幸いです。


第46話 それぞれの思い (番外5-3)

 

 

「やれやれ……、先生に俺を売っておいて、何しに来たのかと思えば……」

「そんな風に言わないでよ……、そもそも、高橋先生から逃げた勇人が悪いんでしょ……?」

 

 

 清涼祭の開催まで、あと2日……。どの学年、クラスも準備に追われている中、彼を探してCクラスまでやってきた僕に言った言葉がそれである。

 

 

「……正直、姫路には助かった……。おかげで俺は、先生の個別授業が有耶無耶になってくれたからな……。尤も……、その理由には閉口させられたが……」

「…………まぁ、あまり被害は出なかったみたいだけどね……」

 

 

 姫路さんの料理を食べてしまった生徒を迅速に吐き出させ、事なきを得たと聞いている。アレを少量摂取しただけでこれだ……。彼女の料理が原因で『繰り返し』た事もある僕からしてみても、あんな殺人料理は他に見たことが無い……。

 

 

「まぁ、それはいいとして……、何故それとなくクラスを見てて欲しいって言うんだ?」

「それが……」

 

 

 僕は先日、学園長から聞いた事を話す。今まで聞いた事の無い『黒金の腕輪』の件と、それを2-Cの誰かが持っているかもしれない、という事を……。

 

 

「ふん……、『黒金の腕輪』ね……」

「…………ムッツリーニも、まだ誰かは特定できていないみたいだし……」

 

 

 僕の意見を聞いて、軽く息をつく勇人。自分達のクラスに、そんな人間がいるという事を信じたくないのだろう……。

 

 

「だが、持っていたとしても……、それを使う気が無い……、て事は考えられないか?」

「勿論その可能性もあるよ?でも……、普通、そんな物が手に入ったら、周りに言わないかな?それを隠し持っているって事が……、正直怖いんだ……」

 

 

 召喚獣の力は、僕達人間よりも強い……。それも、その召喚獣の管理をしている学園長でもわからないという『腕輪』。それが召喚フィールドを形成できるだけでなく……、僕や先生達の召喚獣のように、物理干渉能力を持っている可能性だってある。そんな物が、人知れず誰かに渡っている……、それがとても、怖い。

 

 

「……お前の話はわかった」

「じゃあ……」

「一応、気にはかけておく……。ある程度の事情を話して、真琴には伝えておくから、女子に関してはアイツに任せて、男子は俺の方で見ておこう。それとなくトオル達にも協力を呼びかけておく。……流石にアイツらが持っているってのはないだろうからな……」

「それは勇人に任せるよ。本当に有難う!」

 

 

 まぁ勇人がそう言うなら大丈夫だろう。『以前』に、勇人達と交流を持った時に、黒崎君や野口君達の事も、曖昧ながらも覚えているし……。とりあえずはCクラスは彼に任せておけば大丈夫……、そう思っていた僕に勇人は、

 

 

「礼を言うのはまだ早いぜ、明久。代わりにお前には、俺を手伝って貰う」

「…………え?」

「俺が『ラ・ペディス』でアルバイトをしているのは知っているだろう?今回、Dクラスの出し物が、『~ラ・ぺディス臨時出張店~』という事で、美春にも手伝うように言われているんだが、俺のクラスの出し物もあるもんで、ずっと手伝う事は出来ない……。さらには大会にも出場しなくてはならなくなってな?……圧倒的に俺の身体が足りないって訳だ」

「なんで大会まで……」

 

 

 そんなに掛け持ちしていたら、確かに身体が持たないだろう……。でも、それなら何で大会にまで出場しないといけないのだろうか。その疑問に勇人は、

 

 

「…………戻ってこない先生の部屋から出る際に、真琴と約束したからだ……」

 

 

 ……成程。それに関しては……、僕にも責任の一端があると感じないでもない。それにしても……、やっぱり神崎さんには頭が上がらないみたいだな……。僕の周りにいる女性は、どうしてこんなにも強いんだろう……。

 

 

「で……?僕に、何をしろと?」

 

 

 そんな僕の言葉を聞き、ニヤリと笑みをみせた勇人は…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「冗――談じゃありませんっ!!何で美春がこんな豚野郎とっ!!」

 

 

 開口一番、そんな事を言う彼女らしい言葉に僕は苦笑する。

 

 

「仕方ないだろ?俺だって自分のクラスの都合もある。手伝うつもりではあるが、毎度毎度、こっちには来られないんだ……。まぁ、安心しろ。コイツ、料理は一通り出来るらしいし……、俺の代わりは十分勤まるだろうよ」

「美春はそんな事を聞いているんじゃありません!!なんでこんな汚らわしい豚野郎をDクラスに入れて……!あろう事か、美春と同じ空間に居させようとするんですか!?」

 

 

 わお……これはかなり嫌われているなぁ……。他人事のように、そんな事を思う僕。彼女が僕を嫌っているのは毎度の事なので、別に気にはしないけど……。

 

 

「……勇人?彼女もこう言っているんだしさ……、僕には難しいと思うんだけど……?」

「悪いが、お前に拒否権はない。まぁ、ごちゃごちゃ言ってないで……、一度コイツの腕を見る意味も含めて、はじめるぞ。メニューの方はだいたい完成させたんだろ?」

「だから……っ!!何で美春が……ッ!!」

 

 

 なおも抵抗する清水さんに、勇人は小声で、

 

 

「…………お袋さんに、お前が盗撮している事をバラすぞ……」

「!?」

 

 

 その言葉を聞き、固まる清水さん。

 

 

「俺が知らないとでも思ったか?まぁ……本格的にやばそうになってきたら、どのみち伝えるつもりではあったが……。なんなら、お前の大好きなお姉様に教えた方がいいか?」

「………………仕方ありません」

 

 

 そう言うと無言で僕に対し、付いて来いというジェスチャーをする。そして、メニューをとり、それを差し出してきた。

 

 

「……えっと、これを作ってみろ……て事かな?」

 

 

 コクンと頷く彼女。どうやら、口もききたくないというアピールらしい。

 

 

(…………まぁ、いいか……)

 

 

 そう思い直し、僕はそのメニューを取り、調理を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん、木下じゃない……。どうしたのよ?ひとりだけで教室にいるなんて……」

 

 

 ワシがFクラスでひとり、課題をやっておった時、教室のドアを開けて戻ってきた級友でもある島田が、そう聞いてきた。

 

 

「おお、島田よ。戻ったんじゃな。……昼間はワシもCクラスで演劇の打ち合わせをしておったのでのぅ。その時、Fクラスで出ておった課題を、今やっておったのじゃ」

「ああ、そういう事ね……」

 

 

 そう言って島田も自分の席に戻ると、ワシと同じように置いてあった課題を手に取る。因みに……、他のメンバーのほとんどは、サボったり逃げ出したりして西村教諭に捕まり……、今も補習室におる筈じゃ。

 

 

「島田もどうしたのじゃ?お主も出ておったようじゃが……」

「私も木下と同じようなものよ……。昼間は召喚大会の手続きとかで……、Dクラスに行ったりとかしててね……」

 

 

 溜息をつきながら、課題を解き始める島田を見て、

 

 

(フム……、明久がいなければ、普通の女子生徒なんじゃがのう……)

 

 

 そんな感想を抱く。今、こうしてワシといる時は、今のような印象なのに、そこに明久が関わると豹変してしまうのだ。ワシは最初、それを愛情表現の一種かと思っておったのじゃが……。ふむ……いい機会かもしれん。

 

 

「のう、島田よ……」

「ん……?何よ、木下……」

「お主、明久の事をどう思っておるのじゃ?」

「憎いわ」

 

 

 即答。……一辺の迷いも無く、そう言い切る島田。

 

 

「……他の感情は……?」

「そうね……、関節という関節を全部外さなきゃいけないかもしれないわね……」

 

 

 ………………本気、のようじゃのう……。

 

 

「……なんでそんな事を聞くのよ、木下……」

「……いやのう……、ワシは最初、島田が明久に暴力を振るうのは愛情の裏返しかと思ったんじゃが……」

 

 

 これはダメそうじゃ……、とそう諦めながらワシが言うと、島田の動きが止まる。……ん、なんじゃ?

 

 

「……島田?」

「そ……そんな訳ないでしょ!?な、何言ってるのよ、木下は……っ!!」

 

 

 ……ん?んん??……コレは本当に、そうなのじゃろうか……?

 

 

「……もしかすると、本当なのじゃろうか?島田は、明久を……」

「ち……違うって言ってるでしょ!?」

「……そんな顔を真っ赤にさせながら言っても……、説得力が無いのじゃが……」

「う、五月蝿いわねっ!!」

 

 

 これは間違いなさそうじゃ……。ワシは深い溜息をつく。そして……、

 

 

「……島田よ、もしお主が明久の事が好きなら……、態度を改める事じゃ」

「だ……だから違うって!」

「島田」

 

 

 ワシは否定する島田に力強く言葉を発する。

 

 

「……真面目な話なのじゃ。島田よ、お主は明久から苦手意識を持たれておる。……お主が触れると、鳥肌が立つくらいにはの……」

「!?」

 

 

 ワシの言葉を聞き、ビクッとする島田。……そう、ワシはあの時……、エキシビジョンマッチの後、島田に触れられていた明久の全身にうっすらと鳥肌が立っていたのを見逃してはいなかった。

 

 

「……お主がいくら愛情表現の裏返しで明久に詰め寄っておったとしても、今の明久には逆効果じゃ。それでは距離は縮まるどころか……開く一方じゃと思うのじゃがのぅ……」

「そ……そんな……」

 

 

 ガクッとその場に崩れ落ちる島田。……少し可哀想じゃとも思うが、事実ではあるし、もし明久が島田を完全に拒絶しておれば……、ワシは島田がどう思っていようとも近づけるつもりはない。じゃが……、明久の心は、島田に苦手意識は持っておっても、完全に拒絶はしておらんようにも感じられた。

 

 

「…………なんとなく、わかってはいたのよ……。あの日……、吉井が泣いているのを見た、あの時から……」

 

 

 ポツリポツリとそう呟くように、その出来事の事を話す島田。明久がラブレターを貰った時の騒動で、明久が涙を流したらしい事を聞き、

 

 

「……そんな事がのぅ……」

「……だから、私は……吉井との立ち位置が……わからなくなったのよ……」

 

 

 ……そうじゃったのか……、島田も、色々と考えておったのじゃのう……。これならばと思い、ワシは言う事にする。

 

 

「ワシも立場上、お主だけを応援する事はできん……。姉上はもとより……、明久に想いを寄せておる知人は結構多いのでな……。じゃから……、お主が行動を改めるというのであれば……、少なくとも今の状況は改善できるよう取り計らう事も吝かではない……」

「木下……」

 

 

 その言葉を聞き、島田はワシにすがるように見上げてくる。ワシは一息つき、続けた。

 

 

「……ワシに言えるのはそれだけじゃ。まぁ……、とりあえず島田の心の内を知る事が出来たのはよかったのじゃ。もし……、島田が心から明久を憎んでおったのなら……、ワシは排除する事を考えておったのでな……」

「き、木下……、見かけによらず怖い事言うわね……」

「今のワシにとっては……、明久が第一じゃからのう……。だから、島田よ……。本当に明久への行動を改善する気があるのであれば、ワシに言え……。上手く、取り計らうからのぅ……」

「……わかったわよ………………お願い、するわ……」

 

 

 小声ではあるが、はっきりとそう言葉にする島田。はてさて、どうなっていくのか……、それは島田と……、そして明久次第じゃがのう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………だいたい、わかりましたわ……。貴方の腕は……」

 

 

 すごく嫌そうに、そう話す清水さん。因みに、勇人は演劇の練習という事で、既に自分の教室に戻っている。

 

 

「……不本意ではありますが、貴方の料理の腕はわかりました……。まぁ……、ブレンドと聞いて、アイスコーヒーとホットコーヒーをブレンドしたりしようとする所は閉口せざるを得ませんが……」

 

 

 僕の料理の腕は何とか認めてくれたようだ……。ブレンドについては……、コーヒーという事は知っていたけれど……、何を混ぜるかはわからなかったのだから、仕方が無い。

 

 

「本当に、不本意ですが……、彼の後釜をお願いする事にします……。いくらなんでも、美春だけでは賄いきれませんので……」

 

 

 事務的に、そう言ってくる清水さんに、僕は苦笑いを浮かべるしかない。

 

 

「わかった……。勇人が入れない時は……僕が手伝いに来るよ……」

「……わかったのなら、もう結構です。さっさと出て行ってください」

 

 

 相変わらずの変わらない態度に、僕は肩をすくめる。といったところで、これ以上話をする事も無いだろう。そう思い、僕は教室を後にしようとして、

 

 

「…………清水さんは……、僕の何が気に入らないの……?」

 

 

 出て行こうとして、つい気になった事を聞いてしまう。……何回『繰り返し』ても、清水さんとの関係は変わらない……。彼女はいつも、僕の事を『豚野郎』と罵って憚らない……。だから僕は、ずっと気になっていた事を、彼女に聞く。

 

 

「…………よくそんな言葉が吐けますね……。流石は豚野郎です……」

 

 

 今まで押さえていたのだろう、低い声で、そう僕の言葉に反応した。

 

 

「豚野郎、ね……。豚、と言うよりは馬に近いかもしれないよ……?僕は、馬鹿だからね……」

「貴方を馬と比べるのは、馬に失礼です」

「そ……そこまで言うんだ!?」

 

 

 これはまた……、どうしょうもないな……、そう思い直し、僕は今度こそ教室を出ようとする。

 

 

「……わかったよ……、じゃあ当日に……」

「…………お姉様の事、貴方はどう思っているんです?」

 

 

 出て行こうとした時、今度は彼女の方からそう問いかけてくる。

 

 

「島田さん……、の事……?」

「……貴方はいつもお姉様の事を蔑ろにして……、貶めて……!もし、お姉様をDクラスに呼べるものならば、すぐにでも来て頂きたいのに……っ!あんな、汚らわしいFクラスに居て頂くくらいならっ!!」

「…………」

 

 

 彼女の、清水さんの感情が溢れ出す……。

 

 

「お姉様は……、あんなに素敵で……、優しくて……、面倒見が良くて……、とても魅力的なお姉様なのに……っ!」

「…………そうだね、彼女は……、本当に魅力的だと思うよ……」

 

 

(――ウチは、アキのことが好きです。一年生の時から、今までずっと――)

 

 

 もういつの事だったか……、記憶も曖昧ではあるけれど、彼女からそう言われた憶えがある……。まだ彼女が苦手になる前……、もしかしたら、こんな風に『繰り返す』前の事だったのかもしれない……。今の状況に陥って……、そして今回でも、疎遠になってしまった僕のかつての友人……。今ではもう、何を考えているのかもわからない彼女だけれど……。

 僕のそんな言葉を聞いて、清水さんは怒りをむき出しに、

 

 

「貴方が言いますの!?それを……っ!!いつもいつも、お姉様を貶めて……、評判を下げさせている張本人の貴方が……っ!!」

「……それは誤解だよ……。確かに、僕が彼女の事を避けているかもしれないけれど……、決して貶めた事はない……っ!!」

 

 

 仮にも昔は……、以前は美波と、名前を呼び合う程の間柄だったのだから……!

 

 

「何を白々しく……!!」

「僕みたいなバカにだって、言っていい嘘と悪い嘘くらいわかるつもりだ!!人を傷つける嘘なんて、僕が一番嫌いなものなんだ!!そんな嘘を……、僕がつけるわけないだろっ!!」

 

 

 その言葉に、清水さんの動きが止まる。

 

 

「清水さんが言ったように、彼女は……、暴力を振るうところはあるけれど……、基本的には他人の事を気遣ってくれるし……、妹さん思いのところも、優しいところもある……。僕だって、そんな彼女はとても魅力的だと思うよ!!」

「こ……この……!」

「……島田さんの意思が何処にあるのか、それは僕にもわからない……。どうして彼女は……いつも僕が死にそうになる程の暴力を振るってくるのか……、殺したいほど僕が憎いのか……、それは、僕にもわからない……。だから、僕は……、島田さんを避けているんだ……。彼女の事が、わからなくなってしまったから……」

 

 

 そして、静寂が訪れる……。その沈黙が暫く続き、数分経過したかと思ったその時、

 

 

「…………もういいです」

 

 

 ポツリと、清水さんはそう口にした。

 

 

「……わかりましたから、もう出て行っていいです」

「…………わかったよ。悪かったね……、時間を取らせちゃって……」

「…………」

 

 

 反応しない清水さんにそう言って、僕はDクラスをあとにする。

 ……久しぶりに考えた島田さんの事……。だけど、それは……、僕の島田さんに対する、偽らざる気持ち……。

 

 

(アキッ!)

 

 

 そう僕を呼ぶ島田さん、美波の顔が浮かんだ気がしていた。いつの日か、彼女とも笑い会える日が、果たしてやってくるのだろうか……。

 

 

 

 




とある時の明久の体験(5) 『~観察処分者(バカ)と勉強と科学の申し子~3』



「だから、ここはそうじゃない……!」
「ああ!そうか……」


 Cクラスの教室にて。僕は現在、高橋君たちに数学の勉強を見てもらっている。


「それにしても……、吉井、お前って本当にバカだな……」
「ああ……、正直ここまでバカだとは思わなかった……」


 そう言ってくるのは、勇人の友人でもあるらしい、黒崎トオル君と野口一心君だ。


「バカバカって……。確かに僕は少しバカかもしれないけど……」
「吉井。中学生の内容もわからないお前が言っても、説得力がねぇぞ……」


 溜息をつきながら、そう言ってくる高橋君。…………クッ、ぐうの音も出ないとはこの事か。


「……勇人。貴方もあまり他人の事は言えないと思いますけど……」


 僕をフォローするかのように、高橋君を嗜めてくれたのは、彼と一緒に僕の勉強を教えてくれていた神崎さんだ。


「……高橋先生が言っていましたよ……。もっと他の教科も勉強しておくようにと……」
「……何故お前は、そこで俺を貶めるような事を言うんだ……」


 苦虫を噛み殺したかのように、高橋君がそう言った。そこに……。


「ま、確かに高橋は、日本史の成績は悪かったよなぁ……」
「ああ、世界史の成績もめちゃくちゃ低かったんじゃないか?」
「……お前らなぁ」


 ここぞとばかりに、そう畳み掛けてくる黒崎君たちに、今度は高橋君が押し黙る。


「あ、僕、日本史には、自信があるんだ!何時も勉強を見てもらっている高橋君に、今度は僕が教えてあげるよ!」
「お前に教えてもらうなんて、縁起でもねぇ!」


 失礼な。


「へぇ~、日本史なら何点くらいとれるんだ?吉井」
「ん……、400点近くはとれると思うんだけど……」
「400!?それって、コイツの化学並じゃねえか!?」


 うーん……、でも、流石に高橋君の化学にはかなわないかな。400点と500点とでは、また偉い差があるから……。


「…………どうせ嘘じゃないの?そんな点が取れるなら、Fクラスの訳がないじゃない……」


 そう溜息をつきながら会話に加わってきたのは、このCクラスの代表でもある小山さんだ。


「……いえ、本当みたいですよ。現に、吉井君の日本史の点数は今、400点を越えているみたいですし……」
「マジか……。すげえじゃん、吉井」


 神崎さんがそう言うと、皆も信じたようだ。僕の信頼度が低いのは仕方ないにしても……、彼女の信頼度はこのクラスにおいて、とても高いものであると伺える。


「でも……、ありがとね、皆……」


 僕が今、こうして一時的にではあるがCクラスで勉強させて貰っているのも、正直、神崎さんや、ここにいる皆のおかげだ……。流石に、小山さんを始め、最初は反対したみたいだが、結局は神崎さんがそれらを説得してくれたみたいで、今ではこうやって受け入れられている。……勿論、担任であった布施先生や西村先生を説得してくれた高橋先生の力もあるだろうけれど。


「……まぁ、いいわよ。神崎さんがそう言うんだし、別に私たちも迷惑かけられている訳じゃないしね……」
「ああ、最初は吉井なんて……と思ったけど、別に悪い奴って訳でもねえし……」
「むしろ、面白いバカだって思ってるぜ」


 ありがとう、小山さん。ありがとう、野口君。黒崎君、キミとは一度、話し合う必要があるのかもしれない。そんな風に思った時、バンッと、Cクラスの扉が開かれた。


「Fクラス代表の坂本だ。ここに吉井明久はいるか?」


 そう言って、雄二達が教室に入ってきた。





「……ようするに、吉井君を連れて帰りたい……。そう言う事?」
「そうだ……。そもそも、コイツはFクラスの人間だ……。それが、このCクラスにいるっていうのはおかしいだろ?」


 小山さんにそう言う雄二。……雄二の他には、秀吉に姫路さん、それに島田さんか……。


「おかしい、ね……。まぁ、私も最初はそう思っていたんだけど……」
「だが、今では俺たちは勿論、代表も吉井がここに居る事は認めている。別におかしいって訳じゃないぜ?」
「ああ、それにこの事は俺たちだけで決めた訳でもない……。担任の布施センも、この事は認めてんだ……。おかしいのは、今頃そんな事を言ってくるお前らだろ?」


 雄二の言葉に、黒崎君や野口君も反論する。


「もう、吉井君がこの教室にやってきて、もう少しで1ヶ月になるわ……。確かにおかしいと思うなら、もう少し早く言ってくるべきだったんじゃない、坂本君?」
「それはそうかもしれんが……、明久は元々Fクラスの人間じゃ!Fクラスにいる事が自然な事だと思うんじゃが?」
「そうです!それなのに他のクラスにいるなんて……、すごく不自然ですっ!!」


 今度は、秀吉と姫路さんがそう答える。……今回、僕は雄二や秀吉は勿論、Fクラスの皆とは、ほとんど接点を持っていない。雄二の試召戦争の誘いも断り、ひたすらに補習室で、西村先生監修の下、勉強に励んでいたのだ。……今回、『繰り返す』のを覚悟して、僕は皆と関わらずに自身の学力のレベルアップだけを考えて行動していたから……。


「……貴方達のおっしゃる事も尤もですが……、彼自身がここにいる事を望んでいるという事を忘れないで下さい」


 そう言って出てきたのは、神崎さんだ。


「……彼は元より、Fクラスには行かず、補習室で過ごしていたと聞きました。吉井君とはふとした事で知り合ったのですが……、今では彼はCクラスの級友だと私は思っています」
「詭弁よ!吉井は、私たちFクラスのクラスメイトなのよ!!それが、どうしてCクラスの人間のように扱われているのよ!?」
「同感だな。神崎とやら……、例えば試召戦争となったら、明久はFクラスの人間なんだ。その意味、わかっているのか?」


 神崎さんの言葉を受けて、島田さんと雄二がそう言ってくる。特に、雄二の言葉は……、


「その言葉……、なんか私たちに試召戦争を仕掛けるって言ってるように聞こえるけど……?」
「それは気のせいだな。俺の言った事は『例えば』の話にすぎない……。まぁ、もしFクラスと試召戦争になったら、明久とは敵同士になる筈だ。そんな奴を、この教室に置いておけるのか?」
「それは……」


 それを受けて、流石に小山さんも考えている様子だった。……雄二の意見も、一理ある。確かに……、もしもFクラスとCクラスで試召戦争となれば、僕はFクラスの人間……。仮に試召戦争に関わらなくても、Cクラスの教室にいる訳にはいかない……。そして、雄二は……、僕がCクラスを出なければ、暗に試召戦争を仕掛けるという事を匂わしている……。


「それに、お前らCクラスはバイトやら何やらで、基本的には試召戦争には消極的なんだろ?そんな事に時間をとられていてもいいのか?」
「……こう言っているけど、どうしたものかしらね、高橋君?」
「……当然却下。だって、必要ねえだろ?」


 小山さんに話を向けられて、今まで黙っていた高橋君が、そこで会話に加わった。


「……お前らの話を聞いていたが、要するに吉井が必要なんだろ?次はどこに試召戦争を仕掛けるつもりかは知らないが……」


 ……僕も噂でしか聞いていないけど、雄二たちは僕が断った後に、試召戦争をDクラスとBクラスに仕掛けている。Dクラスとの試召戦争には勝ったらしいけど、その後のBクラスとの勝負には引き分けたという事も……。


「大方、『観察処分者』の吉井の召喚獣の力を利用したいってところか……。吉井は観察処分者の責務で、召喚獣を扱う機会も多い。その力でBクラスと再戦しようって考えじゃないのか?」
「……場合によっては、相手がCクラスになるかもしれないけどな?で、結局のところ、お前らの最終的な結論はどうなんだ?」
「それは、吉井が決める事だ。もし、吉井がFクラスに戻りたければ、引きとめはしねえし、Cクラスにいたければ、いればいい……」


 そして、高橋君は僕の方を見る。


「お前が決めろ、吉井。自分がどうしたいかは、な……」


 自分で決めろか……。それならば、もう決まっている。……雄二達には悪いけど……。


「……僕は、ここにいたい……」
「……それが、お前の答えか……」


 僕の答えを聞き、雄二が僕を見ながら、そう呟く。


「ちょっ!?吉井!?アンタ、何を言って……」
「へっ、そういう事だ。吉井がこういう以上、もうお前らの言い分はないってことだよな!」
「そうそう!仮に戦争が起きたとしても、Fクラスなんて返り討ちにするだけだし……」
「……では仮に……、お主らは試召戦争を仕掛けられても、いいと言うのじゃな……?」


 野口君の言葉を受けて、確認といった感じで秀吉は尋ねてくる……。ただ、秀吉には悪いけど……、もしそうなったとしても、僕は今回は、Fクラスの為に……、いや、雄二達の為には戦えない。試召戦争になったら、速やかに補習室に行くまでだ。


「そうね……、Cクラス(ウチ)の実質的な中心人物である、高橋君と神崎さんが認めている以上、もし試召戦争になってもそれは変わらないわね……」
「そうか……」


 雄二はずっと僕の様子を見ていたようだったが、そこで初めて溜息を吐き、


「……お前らの話はわかった。実際、断られる事も考えていたしな。見てのとおりだ、お前ら。もう……、ここには用はねぇ……」


 そう秀吉達に告げ、引き上げるよう促す。そして教室を出て行く際に、


「邪魔したな……、もうここには来ねぇよ……、吉井(・・)……」
「あ……」


 雄二はそんな他人行儀の言葉を残し、秀吉達を纏めてCクラスを出て行った。


「……思ったよりあっさりと引き下がったな。もう少し言ってくるかと思ったが……」
「……雄二達には一度はっきり断っていたんだ。だから……、今のは僕がどう思っているかの最終確認だったと思う……」


 ……吉井(・・)、か……。まるで……、初対面の時みたいだ……。実際に、『今回』彼らと交わる道は、断たれたんだろう……。覚悟はしていた事だけど……。


「まあ、アイツらが納得したんならいいじゃねぇか。もう来ねぇって言うんだし……」
「そうね……。あの様子なら、ウチに試召戦争を仕掛けても来ないでしょ」
「仕掛けてきても返り討ちにするだけだしな。高橋と神崎さんがいれば問題ないしよ」


 そう、Cクラスには彼らがいる……。飛び抜けた実力を誇る2人……、実質Aクラスにも匹敵する高橋君たちがいれば……、雄二達が攻めてきても遅れをとる事はないだろう……。尤も、彼らは試召戦争にほとんど興味がないところはあるけどね……。


「……安心して下さい、吉井君。私たちは、貴方を放り出すなんて事はしませんから」
「そうだな、ここまで関わった以上は、途中で、はいさよならっていうのも目覚めが悪い……」
「高橋君……、神崎さん……」


 2人の思いに感謝する僕。特に高橋君なんて、物凄く僕を敵対視していたというのに……。


「せめてお前の数学を高校生並にしねえといけないしな……」
「それは……!ゴメン……」
「ホント、お前よく高校に入れたよなぁ……」
「まぁ、他の教科は得意なモノもあるみたいだし?高橋と似たようなものじゃね?」
「コイツと一緒にするな!」


 ……まぁ、今でこそ日本史に関しては自信がついてきたけれど……。本当に、最初僕はどうやって文月学園(ココ)に入学できたんだろう……?


「……大分脱線しましたが……、とりあえず、再開しましょう。時間もあまり無い事ですし」
「……そうだな。せめて、今日中にソレは終わらせろよ、吉井」
「…………善処します?」
「「何故疑問系なんだ、お前は!?」」


 黒崎君達にも手伝って貰いながら、僕は勉強を再開する。なんのかんのと言いながら、意外にも面倒見のある小山さんも加わり、和気藹々としながら交流を深めていく……。今回、僕が捨てた雄二達との交流の代わりに得た、Cクラスの人たちとの交わり……。自分の立ち居地が変わると、こんな繋がりも出来るものなのかと、僕は改めて実感するのだった。










「今日はお前に、俺のとっておきを見せてやるよ、明久」
「ん……?とっておきって?」


 彼らと交流をとる様になって、はや数ヶ月……。勉強を見て貰ったり、彼のバイトを一緒に手伝ったり……。そうしている内に、いつの間にか彼らを名前で呼び合うようになっていたある日、一通り勉強はすんでこれからどうするかなと思っていた矢先、勇人からそう言ってくる。


「……あら?アレを見せるんですか、勇人?」


 珍しいですね、と一緒にいた真琴さんが、そう呟く。…………アレって?


「ふん……、この前の試験で少しは日本史の点数が上がったんでな……。まぁ、いい機会だ」
「……フフッ、そういう事にしておきましょう」
「……何か含みがあるな……。まあいい、真琴。洋子姉さんに化学室の使用許可を貰って来てくれ」
「……わかりました。じゃあ、先に行っていて下さい」


 勇人の弁解に微笑みを浮かべながら、彼女は一足先に教室を出て行く。化学室?勇人は一体何を見せるつもりなんだろう……。


「多分見たら驚くと思うぜ……。因みに、見せるのはお前で3人目だ」
「へぇ……。それは楽しみだね」


 勇人が化学を得意としているのは知っていたけれど……、そこまで言うものに少し興味を覚える。


「ここまで勿体つけてたいした物じゃなかったら、恥ずかしいよ、勇人?」
「言ってろ……。さぁ、行くぞ……」


 そう言って僕達は化学室へと向かう。そこには先に行って事情を話していた真琴さんと……、高橋女史が待っていた。


「まさか、勇人君がアレを他人に見せるなんて珍しいですね……。どういう心境の変化ですか?」
「……洋子姉さんまで真琴と同じことを言わないでくれ。……まぁ、気が変わったって事だよ」


 頭をガシガシ掻きながら、ぶっきら棒に言う勇人。……もしかしたら照れ臭いのかもしれない。


「……お待たせしました、明久君……。勇人、これを……」


 真琴さんが小箱のような物を持って勇人に渡す。一見すると鍵も掛かっているようだけど……。


「……随分、厳重に管理されているね」
「それは、そうですよ吉井君……。偶然とはいえ、彼が作り出したソレは、ノーベル賞ものの画期的なものなのですから」


 ノ、ノーベル賞!?それって、確か凄いものなんじゃ……。


「これが、俺が偶然、生み出した未来合金『無抵抗アルミニウム』合金だ!」


 勇人が小箱の鍵を開ける……。そこには……、


「…………なに、コレ?」
「……だから言ったろう?未来合金だと……」


 ちょっと僕が想像していた物と違ったので、ついそんな感想をついてしまう。なんていうか……、


「……ごめんごめん。ちょっと思ったよりもショボかったっていうか……」


 だって、未来合金っていっても……、欠片くらいの物なんだもん。


「……まぁ、お前ならそんな反応をとるような気もしていた。だが、コレがもし量産できるようになれば凄い事になるんだぞ……」


 そう言って勇人は、これがいかに凄い合金かを僕に話す。そして、僕がたどり着いた感想は……、


「……ごめん。ちょっと何言ってるのかわからない」
「……俺の説明した時間を返せ。全く、少しはお前も化学の点数、取れるようになってきたんだろうに……」


 溜息をつきながら答える勇人。確かに、彼の言うとおり、彼や真琴さんから教えて貰った結果、化学と物理に関しては、見違える程点数をとれるようになってきた。


「まあね……、だけど勇人の説明は難しすぎるよ……。せいぜい僕が聞き取れたのは、常温で超伝導とか熱にも強いだとか……。だから、普通のアルミニウムとかと違って、鍋とかにも使えるんだな位しか……」
「そうだな……って、俺の画期的な合金をそんな物に使うな!?」
「……流石ですね、明久君……。勇人の合金を、ソレ呼ばわりするなんてっ!」
「笑ってる場合じゃありませんよ、神崎さん……。ハァ……、勇人君のこの合金がいかに凄いか解るように、これからの個人授業の時間を増やさないといけませんね……」
「それは勘弁して下さい!」


 ただでさえ、最近は補習室にまで来て、教えてきたりするのに!西村先生が同情するような目で僕を見てきたのは本当に初めての経験だよ……。


「でも……、ありがとう、勇人。この合金が、いかに凄いかっていうのはわかったよ。ただ、よかったの?これは、真琴さんと、高橋先生との秘密みたいな物だったんじゃないの?」
「今まではな……。お前には色々手伝ってもらっているって事もあるし、この合金を完成させるには俺1人の力ではダメなんだ……」


 そう言うと、勇人は静かに語り出す。


「コレと同じものを作るには、いくつか超えなければならないハードルがある……。本当にこの合金はある種の偶然というか、作り出せたのが奇跡みたいなものだ。それを……お前にも手伝って貰いたい。今までどおりな……」
「僕で手伝える事があるなら任せてよ……。だけど僕が言いたいのは……、高橋先生はともかく、真琴さん以外の人に教えちゃってよかったの?」


 彼らがどれだけお互いを想いあっているか、それはこの数ヶ月でとてもよくわかった。雄二と霧島さんの関係に似ていると思ったけれど……、勇人の方は、既に真琴さんを受け入れているし、真琴さんも控えめではあるが、勇人に愛情表現をしている。


「……いいんですよ、明久君。勇人が認めた、貴方になら……」
「でも、僕は……」
「最初が最初だからな……。確かに俺もお前をよく思っていなかったし、こんな風な間柄になるとも思わなかったが……。他人の為に熱く、一生懸命になれるお前だから……、話してもいいって思ったんだ」
「勇人……」


 僕をまっすぐに見て、そう言ってくる勇人。僕は目を瞑り、彼らとのこれまでの事を思い起こす……。
 高橋先生との個人授業の最中、歓迎されない彼との出会い。それから観察処分者の責務の大切さを学び、真琴さんと出会って……、Cクラスの皆と交流が始まった。……その代わりに雄二達との繋がりが無くなってしまったけれど……、今日までの充実した日々……。ただ淡々と勉強する事に比べると、とても楽しいと思う毎日だった。
 そこまで考えて、僕は目を開き、彼を正面から見る。


「……わかったよ。約束する。君がそれを完成させるまで、僕は君を手伝う……。『約束』するよ!」
「そうか……。有難う、明久!お前の気持ちは嬉しく思うぞ。絶対、俺達で完成させる!」
「……私も忘れて貰っては困りますよ?二人とも……!」
「ええ、他ならぬ勇人君の作り出した合金です。是非とも完成させなくてはなりませんから……!」





 こうして、勇人たちと約束する僕……。僕はこの時、それを守れるって思っていたんだ……。



 ………………自分の置かれている状況を忘れて……。



 忘れてしまう程、僕は彼らとの関係に、馴染んでいたのかもしれない、甘えていたのかもしれない……。



 だけど……、僕がその『約束』を守る事は出来ない……。少なくとも……、ここにいる『僕』は……。



 ……僕は気付かなかった。……いや、気付かない振りをしていた。……自分の腕輪が、既に『限界』を示すほど、激しく光輝いていたという事に……。



 勇人たちとの別れが……、もう目前に迫っていた……。






とある時の明久の体験(5) 『~観察処分者(バカ)と勉強と科学の申し子~3』 終



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