召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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七十三話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

仕事帰り→図書館帰り→喫茶店帰り→そして夕食の材料を買いにスーパーっぽい所に来ている

 

のだが

 

 

「イクスに任せて良かったのか」

 

 

シロが店に入れないので俺と外で待つ事に・・・まぁ人化すれば別だが、こんな事で魔力を使う必要は無いよな

 

大体そうすると肉の並ぶコーナーでうるさい

 

見た目は十代後半の癖して中身は全然子供だから周りの目がな

 

 

「まぁもう子供でもないし任せて大丈夫か」

 

「ガウ」

 

「・・・うん、なに言ってるか分かんねぇな」

 

「ガウッ?!」

 

 

足痛い

 

服どころか食い込んでいる気が・・・気だけじゃないな

 

 

「いやいや、あのなー。俺はキャロじゃあるまいし、動物の言葉が分かるスキルなんて持って無いって」

 

 

ん? いやキャロも言葉が分かる訳じゃないんだっけ?

 

気持ちが分かるんだっけ

 

 

「ガゥゥ」

 

「まぁ何でも良いけどさ」

 

「秋春様ぁ~」

 

「終わったみたいだな。少し遅かったか? ほら、重いだろ?」

 

 

手を差し出すと袋をサッと遠くに引かれた

 

 

「全然平気です!」

 

 

結構重いと思うんだが?

 

取り合えず荷物を持たせるのも何かアレなので持つ事にしたのだが

 

 

「大丈夫ですよ、秋春様に持たせる訳にはいきません」

 

「・・・それは信用出来ないって事か? 卵でも入ってるとか」

 

「い、いえいえ! このくらいの雑用は私がします」

 

 

このくらいの雑用とか本当に王様だったのか? コイツ

 

って言うか普通に考えて、見た目が少女のイクスに余り持たせ続けるのも悪いよな

 

 

「いや俺が持つって」

 

「私が持ちます」

 

「俺が」

 

「私が」

 

「俺」

 

「私」

 

 

・・・此処まで来たら、最早持たずに家に着くのは男の名折れ!

 

 

「イクス、イクス」

 

「何ですか?」

 

「お前は俺の娘だよな?」

 

「はい、当然です。あなたは私の大切なお父様です」

 

「あ、お父様って久しぶりに聞いた」

 

「ふにゃっ」

 

 

可愛らしいイクスの声とグシャッと何かが潰れる音が聞こえた

 

 

「おいおい、やっぱり無理してたんなら言えよなー」

 

 

作戦成功

 

こう見えて。と言うか見たままなのだがイクスは基本恥ずかしがりやな性格、ならそこを突けば簡単に攻略可能

 

まぁ買い物袋を落とすとは思ってなかったけど・・・中身は無事か?

 

あー・・・うん、まぁ無事かな

 

 

「ひ、卑怯ですよっ! 秋春様!」

 

「それが貴方の父親です」

 

「うぅぅ」

 

 

此処で暴力に訴えない所が、今まで出会った人達とは違う所だよなー

 

キャロとかこの時点でフリード取り出すかシロを差し向けるかキックかますかしそうだもんな

 

 

「・・・ひっ、うぇ、せっ、っかく秋春さまのむすめとしてお役にたとうと」

 

 

と言いたい所だったが女の子の泣きは最大の暴力だと知らしめてくれるのがイクスです

 

ってやべぇ~

 

 

「すみませんでした!」

 

「い、いえ、私がわるいんです」

 

「・・・シロ、チェンジ」

 

 

シロに助けを求めようとしたら無視された

 

さっきの言葉通じねぇってのをまだ怒っているのか?

 

ともかくイクスは俺を悪くないと言っているが周りはそうは思わない

 

 

「は、半分ずつ持とう!」

 

「・・・流石秋春様。とても良い案です」

 

「そ、そうか」

 

 

何か恥ずかしい思いをしたがイクスはかなり納得したようだった




まだ父と呼ぶのに慣れないイクスでした

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