前回のあらすじ
マリアージュが結界を壊さない内に脱出の為の作戦立て→逃げ道無し→幼女が冥王と判明→だけど操主としての力を渡す気無し→交渉しだいではいけると思うが時間が無い
整理するか
まずは目の前の幼女はこれで千年と存在している王様。屍兵器のマリアージュのコアを生産できて操主の事を知っている人物
誰かが調べた伝承では悪王だが事実は真逆らしい、誰かさんは調べてはいたが表面の事しか知らなかったようだ
「交渉をしよう、冥王」
「する気は有りません」
「まぁそう言うな。もしこの場を抜けれたら操主の権限を渡す・・・なんて魅力的だろ?」
「・・・何を考えて」
「最初から俺はマリアージュから逃げて外に出る為にお前を呼び起こしたんだ、不思議でも無いだろう?」
イクスの視線が鋭く突き刺さる
小さくても王、威厳は有りか。こっちも特典スキルの統率力が無ければ圧倒されてたかも知れない
「その言葉に嘘偽りは有りませんね?」
「無いね、嘘なんて付く必要性が無い。それにお前は平和が好きなようだが俺も平和や平穏ってのは好きでね、いまの世の中の空の色を知っているか?」
「灰色じゃないのですか?」
定期的に目覚めているだろうけどやっぱり何処も戦場だったみたいだな、疑り深いのも納得がいく
「ふふ、正解は外で確認しようぜ」
「・・・分かりました、信じます。操主様」
「今に思ったが何でお前、王様なのに命令権が別にあるんだ?」
「王は開戦の狼煙を上げる者ですが戦場で戦う者では有りません、故に指揮権や命令権は戦場の兵士や騎士に有ります。王は城で構え下の戦場をただ見守り殺しの罪を一手に担うしか出来ないのです」
・・・真面目だなー
今更にやっぱり王様なんだなーと思う
「さ! 始めようか!」
「はい、宜しくお願いします」
◇◇◇◇◇◇
「ずぶ濡れだな」
「ですね」
あの後、マリージュを退ける事には成功したのだが初歩的な事を忘れていた
あの遺跡が海底だと言う事に・・・
死ぬかと思った、主にイクスが
俺はバリアジャケットのおかげで、水圧等もある程度平気だし、酸素ボンベも持ち運びタイプのせいぜい三十分も持たないのを所持していたから良かったがイクスはそれらの準備無し
苦労した
「報告は明日にするか」
シロはそう言えばエリシアに預けているんだっけ? キャロも六課の女性寮だろうし今日は一人もしくはイクスとの二人か
「操主様」
「ん? あーそうだったね・・・えーっとメンドイな、なるほど操主の力は本人の魔力と別の力で動いてるのか。流石オーバーテクノロジー」
渡すのはそれ程、難しくなかった
一定のキーワードさえ言えば、あとは勝手にトンデモ魔法科学が如何にかしてくれる
管理局に報告したら歩くロストロギア認定だな
「約束は果たされました。では・・・」
「ちょっっっと待った、お前は何処にトンズラしようとしてる」
「トンズラ? 逃げると言う意味でしたら、それは間違いです。私は静かに眠るだけです」
「何処で? まさか俺がお前をその辺で野垂れ死ぬのを許容するとは思ってないよな?」
「あなたには関係無いです。一時は協力しましたがこれまでです」
仕方ない、俺が放置したとかイチャモン付けられるのは嫌だし
「誘拐しよう」
「はい?」
「さぁ帰ろう!」
「ちょ! 降ろして! 降ろして下さい! 私は生きていてはいけない存在なんです!」
「暴れるな。ただでさえ、こっちも濡れて体力無いんだから」
「だから! 見捨ててくれて結構と・・・」
だからと言いたいのはこっちだ
濡れた状態で更に海底からの無理な脱出。かなり衰弱した幼女を放り出して帰ったとなったら、管理局員とかの前に人間としてのモラルが問われるだろうが
ま、それでも誘拐は言い過ぎたか。この場合は、無理やり幼女を連れ出しているのだから・・・やっぱり誘拐だな
小さくても王様なイクスヴェリアです