召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百九十七話~side シャッハ~

ザンクトヒルデ初等科

 

先生方の話だと過激な行動をしていた生徒達も落ち着いてきているとの話だったのですが、誰かに背中を押されるように突如として暴動的活動が起きてしまいました

 

こうならない様に日々努力をしていたのですが、私もまだまだ勉強不足と言う事ですね

 

 

「そこまでです!」

 

 

結界破壊に思いのほか時間を取られてしまいましたが、如何にか決着がついてしまう前に割り込めた様です。双方ともに限界寸前と言ったところでしょうか

 

 

「そこの! 魔法の発動を止めろ!」

 

 

騎士カリーノが教室に踏み込んだ瞬間に一人の生徒を指差しで威圧します

 

身の丈ほど大きく本人さえも覆うような大剣をすぐ構えたと言う事はそれだけの事態だと感じたのでしょう。私は場の雰囲気に飲まれてしまったと言うのに、これが場数の差ですね

 

 

「チッ」

 

 

舌打ちが聞こえると僅かな景色の移動と遅れて痛みを認識した

 

これは・・・教室の壁際まで弾き出されたみたいですが、まるで見えない巨人の拳に殴られた気分です

 

 

「シャンテ、無事ですか?」

 

 

返事はありませんか

 

いまの一撃でシャンテの意識を刈り取るとは。未熟とは言え見習いの中では一番と言っても過言では無いのですけど

 

 

「シスターシャンテは大丈夫そうか?」

 

「意識は無いようですけど、大丈夫でしょう。それより、いまのは?」

 

「魔力弾の一種だ。前に恩師が使ってるのを見た事がある・・・まぁ恩師が使ってもこれ程の威力は出ていなかったが」

 

 

つまりは雨水さんから教わった魔法と言う訳ですか。ミッドともベルカとも違うようでしたが・・・それに、如何やら一回限定のようです。今しがた、その魔法を発動させた生徒は気を失って近くの生徒に抱えられている

 

 

「警戒を解くな、シスターシャッハ」

 

 

まるで牽制するかのように大剣を投げつけ、アインハルトさんのもとへと一気に近づく。しかし、アインハルトさんを抱えた瞬間、まるで先程の見えない魔法を受けたかのように弾き飛ばされて戻ってきました

 

 

「とりあえず回収だな」

 

「ちょ! あれはあの子の魔法では無かったのですか?!」

 

「ん? 誰もそんな事は言っていない、あれは自爆魔法。理論はミッド式やベルカ式と区分けする必要も無い程の初歩的な魔力弾の応用に過ぎない・・・だからこそ教えてもらえば誰でも使える」

 

「つまり」

 

「おそらくいま残ってる生徒は全員使えるのだろうな」

 

 

一人一回きりとは言え数で勝る以上は十分に使える魔法ですね

 

追い詰められた彼女達がどれだけ計算で動いているのかは分かりませんが、乱発されれば私も騎士カリーノも無事では済まない

 

 

「シスターシャッハはアインハルトとシスターシャンテを抱えて離脱してもらえるか? さっきのでアインハルトも意識を失ったようだから丁度良い」

 

「何を言ってるんですか?! 幾ら副団長とは言え貴方一人で対処できる事態ではありません!」

 

「大丈夫だ。私だけなら対処できる魔法を知っている」

 

 

騎士カリーノが近くにあった椅子を掴み投げつけると何かに当たり、その余波が大きな風を生む

 

私には分かりませんが、如何やら騎士カリーノには自爆魔法と言われる魔法の発動が分かっているように思える

 

 

「・・・分かりました。しかし、二人を教会に預け次第、私もすぐに戻ってきますからね」

 

「それでいい」

 

 

そもそも私達の目的は生徒との戦闘ではありません。ならば、対処法を心得ている騎士カリーノに任せた方が安全に事を済ませれると思われます

 

この映像をカリムが見ていてくれれば言いのですが

 

戻ってきたときにすぐに対処できるように。それでいて全力で二人を安全な場所に運ぶ為に私は使い慣れた移動魔法に最大の魔力を注いだ


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