無限書庫
これじゃない。これでもない。こんなじゃない
いままでの歴史で日の目を見た物、そうでない物、一緒くたにごちゃ混ぜにとにかく記録している全てのロストロギアを一から調べる
途方も無い様に聞こえる作業だけど、たぶんとっても大事なことだから。頑張っています
「やっぱり第一級指定ロストロギアの閲覧許可も貰おうかな」
もし閲覧許可が下りたとして、それも合わせたら単純計算でどれくらい掛かるだろう。と、そんなことを思いながら時計を見る
あ、もう結構経ってるよ
放課後にリオやコロナと別れて、アインハルトさんとも会わずに急いで来たけど、結局何の収穫も得られそうに無い
にゃあ、骨折り損なの
「まぁ、あきパパだもん。損でもやらなきゃだよね」
この頑張りはたぶんあきパパには知られないと思う。だから、お姉ちゃんみたいに褒めてもらえることもないし、遅くまで外にいたことを怒られる可能性だってある
でも
それでもしなきゃ
レヴィさんの来訪で気付けたほんの小さな切っ掛けでわたしは此処にいる
「閲覧許可はこれが終わってから取るから、先にウルに連絡入れてお願いことからしようか。ね、クリス」
よぉし!
リミッターのせいで使える魔力には限りがあるけど、いざとなったらリミッターなんて解除しちゃう勢いで魔法の出力を高めていく
「まずは考察」
そもそもあきパパは何を体内に宿しているのか
答えはロストロギア
これは間違いない。あの感覚は確かにわたしやお姉ちゃんと同質のモノだった
「最初の違和感はルールーのところに行った時だけど」
普通に考えたらそれはおかしいはず。わたしやお姉ちゃん、それにキャロやシロだって、ロストロギアを察知できないほど感覚は鈍くない
むしろ鋭いほう
なのに、はっきり違和感を感じたのは、あの旅行のお風呂でだった
思わずクローン技術が頭の端を過ぎったけど、それは無いとすぐに確信する。自分のパパが分からない娘じゃないもんね!
「旅行に行って、あのお風呂までの間に何かがあったってこと?」
その間にレヴィさんに出会って、ロストロギアを体内に宿さないといけない程の事件に巻き込まれた・・・ちょっと無理あるよね
レヴィさんの口振りではウルが関わってるらしいけど
「ウル」
スカリエッティと同じ愉快犯なタイプの学者。もし、あきパパに何かをして、成功してしまっているならば、危険があろうとも黙っているはずが無い
まだ実験の最中って可能性もある
「にゃぁぅぅ」
ウル。ウル。ウル
なんだか泣いている時の擬音みたい・・・なんて。やばいこれは脱線しそうな流れの思考だよ
「そうだ! レヴィさんが少なからず関わってるだろうから、レヴィさんを洗ってみよう!」
思いついたら即行動!
いき込んで調べてみると、こっちはあっさり出てきた。閲覧制限は掛かっているものの、記録にあったから検索かけたらすぐでした
「闇の書の事件の重要参考人なんだ」
なのはママの名前もある
だったら、なのはママに聞いてみるのもありなのかな
八神指令に聞いた方が手っ取り早いかも
「ん?」
とりあえず、なのはママに聞いてみようと考えていると、クリスが目の前まで浮かんできて誰からかの通信が来ていると教えてくれる
「繋いで」
「繋がった。遅くまで大変だね、探し物は捗ってる?」
ユーノ司書長からの通信だった
「はい、半分以上は終わった感じです」
「ん~それなら帰りは僕が送るから、もう少し調べる?」
「はい! ありがとうございます!」
「書庫の宣伝の時は随分とお世話になったからね」
あ、そう言えばユーノ司書長も闇の書事件に関わった人の一人だったはずなの
「ユーノ司書長」
「ん?」
「闇の書の事件で気になる項目があるんですけど、聞いてもいいですか?」
「いいよ。でも、僕よりなのはの方が詳しいと思うけど?」
「なのはママにも聞こうと思ってます」
ちょっと不思議そうな顔をしたユーノ司書長だったけど、すぐに分かったと了承してくれた
「で? なにが聞きたいの?」
「闇の書のマテリアルの話。特にレヴィさんについてなんですけど」
「・・・。」
あれ?
何か反応がおかしいの
「マ、マテリアルのレヴィさん・・・なんですけど」
「えっと、さ。闇の書のマテリアルって? 守護騎士のみんなの事かな?」
「いやいやいや! この記録の人です!」
すぐにユーノ司書長の端末に事件資料を送る
「あ、そうそう。闇の書の事件の後にこんな事件があったんだった・・・でも、なんでこんな重要なことを」
忘れてたの?
事件の大部分が秘匿されるほどの大事件だったみたいなのに
「ごめんね、思い出した思い出した」
「・・・レヴィさんのことで」
「それが・・・思い出したんだけど、ちょっと記憶が曖昧で・・・あの時は確かお姉さん二人が・・・お姉さん?」
忘れてた。みたいだけど、ユーノ司書長は資料を見ながら、しきりに首を傾げている。そんなに記憶との違いがあったのかな
これだけの事件だと秘匿のために情報操作が行われるのは当たり前だけど、そう言うので疑問を持っている風には見えないんだよね
もっと根底がズレてるみたいな
「そうそう、なのはと同い年くらいの女の子が三人。あれ? 四人だったのかな。一緒に共闘もしたはずなんだけどなぁ」
記憶操作の魔法を施されてる?
うん、可能性はあるかも。ユーノ司書長の性格的にこんな風になるのは絶対おかしいと思うし、何よりさっきからユーノ司書長の記憶には暈されている様な印象がある
消したりしないのは長期間にかけて気付かせない為。一定期間の記憶が無くなってたら、違和感や既視感で気付かれちゃうもんね
「ユーノ司書長。その二人のお姉さんの特徴とかって覚えてます?」
「え? う~ん。それが、ぼんやりとしか覚えて無いんだよね。言葉にできる感じじゃなくて・・・ごめんね、力になれそうにないかな」
「ぜんぜんです、話を聞けて良かったの!」
申し訳なさそうなユーノ司書長に九割の人を騙せる笑顔で答えます
「そう? それなら良かった。あ、そろそろ時間だね。雨水に連絡してから戻ってくるよ、それまで頑張って」
「は~い」
返事はしてみたけど、これ以上の進展は望めそうに無いので、わたしは記憶封鎖を掛けられてそうな候補を絞りながら資料を元に戻すことにしました