召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百四十六話~side カリム~

定時報告と覇王インクヴァルトさんのデバイスについて

 

えぇと、たしかこんな感じでシャッハにお願いにお願いを重ねて、今日は雨水さんを呼んでもらってます。予定ではそろそろ来る頃なのだけれど、待ち遠しいわ

 

 

「カリム。絶対に粗相の無いようにですよ」

 

「わ、分かってる! もぉシャッハは心配性なんだから」

 

「貴方は、まだ分かってないようですね! 彼は階級こそ低いですが、その影響力や計り知れない所にまで及んでいるんですよ!」

 

 

そう言う考えは好きじゃないんだけどなぁ

 

 

「だいたい貴方は、どうして雨水さん相手にはいつもの真面目なモードになれないのですか!」

 

「いやぁあはは」

 

 

シャッハが教会を思う気持ちは分かるし、現にシャッハの言っている事も強ち間違いじゃない

 

でも、彼は自分にそれ程の影響力があるなんて、これっぽっちも思ってないみたいだし。なにより、そう言う待遇は嫌いみたい

 

 

「まぁまぁ落ち着いて、ね? あ、そう言えばヴィヴィオさんが来たのよね?」

 

「・・・はい」

 

「なんで私の所に通してくれないの?」

 

「今回は騎士団へのお礼が主でしたから。登校中と言う事も考慮して、こちらに時間を割いてもらう訳にはいかないと判断したまでです」

 

 

不満そうに頬を膨らませて睨んでみたけど、シャッハの睨みには勝てませんでした

 

シャッハこわい

 

空になったカップに美味しい紅茶が注がれると同時にドアが叩かれた

 

 

「どうぞ」

 

「ザンクトヒルデ魔法学院、生徒相談役、雨水一等陸士。ただいま参りました」

 

「久しぶりです!」

 

「お久しぶりです、どうぞこちらに」

 

 

二人はいつも通り形式上の挨拶を一通り済ませます

 

長いのよね、あれ・・・そしてようやく雨水さんは私に話しだしました

 

 

「今回はすみません。アインハルトちゃんのデバイスのことで、ヴィヴィオが教会や騎士団の皆さんにだいぶ無理を言ったみたいで」

 

「いえいえ、騎士団の皆さんもヴィヴィオさんに頼られて嬉しそうでしたのでお気になさらず」

 

 

大の大人が揃って小さい女の子に頭が上がらないのですから、あれを本局の方が見れば卒倒するのでしょうね

 

 

「まぁ正直なところを言ってしまえば、騎士団の皆さんには悪いですけど、ヴィヴィオをあまり甘やかさないで欲しいんですよね」

 

「ふふ、それに関しては大丈夫じゃないかしら? ヴィヴィオさん。緊急の時以外は騎士団には頼ってないみたいですし」

 

「今回のは明らかに私欲じゃないですか?」

 

「アインハルトさんは覇王イングヴァルトの子孫です。つまりは今回の事例は古代ベルカ王家血統のデバイス申請となる訳で、これは立派に教会の管轄なのですよ? もし、雨水さんが管理局側に申請を出していたら、一悶着起きていた事柄です」

 

 

それを考えればヴィヴィオさんの選択は最善の選択と言えます

 

管理局と教会の悶着なんて仕事が増えなくて良かったわ

 

 

「てっきり早くアインハルトちゃんにプレゼントしたいだけかと思ってましたが」

 

「それもあるのでしょうけどね。あ、こう言う時を表す言葉があるんですよね! あの鳥の話!」

 

「はい?」

 

 

・・・あれ? 違った? はやてから教えてもらった、雨水さん達の故郷の言葉だったと思うのだけれど

 

 

「ほ、ほら、二度お得みたいな」

 

「一挙両得ですか?」

 

「いっきょりょーとく?」

 

「ん、いや・・・鳥って事は、一石二鳥の方ですかね。八神二佐から教えてもらったんですか?」

 

「そう、それ! あそこの言語って何か深いところがあって好きなの。それに、一部では結構注目されている次元世界なんです。過去に何度も、高ランク魔導師が生まれている世界なので・・・確率で言えば極稀って言う程度ですが」

 

 

なのはさんの故郷でもあるし、フェイトさんも住んでいた時期があったらしい。なにより、雨水さんの故郷でもある

 

 

「それは前々から言われてますよね。いま活躍している人で言うと、高町一尉だったり、八神二佐だったり。今後も期待のエースが誕生するかもですね」

 

「ふふ、そう考えると何だか楽しみですよね」

 

「ええ」

 

 

例えの中に雨水さん自身は入ってなかったけれど、雨水さんもその二人に負けないくらい貢献をしてもらってると私は思っている。本人に言ったらそんな事ないですって言われちゃうかしら?

 

 

「雨水一士、そろそろお時間が」

 

「そろそろですか」

 

「え、もうなの?! もうちょっと~」

 

 

こう言う会談が私のゆっくりできる唯一時間って言っても良いくらいなのにぃ

 

 

「では、今後ともイクスやヴィヴィオをお願いします」

 

「はい。喜んで、うちのカリムが今後もご迷惑を掛けると思いますが、その時は遠慮なく私に言って下さい」

 

「はい」

 

「はい。じゃなーい! 二人とも! 締めようとしない! そして、シャッハ。シスターさんが拳を握らない!」

 

「・・・これは失礼。雨水一士を待つ生徒が沢山居るのですから、そう長くは滞在出来る訳が無いでしょう」

 

 

言い分は分かるけど、分かるけど!

 

 

「ぅぅ、また来てくださいね」

 

「イクスの検診がありますから、近いうちに伺います」

 

「そうですね。前の二回とも、何か予定があったのか来れなかったみたいですから。今回は長くなるって伝えておいて」

 

「分かりまし・・・ん? 前の二回? 前回と更にその前もって事ですか? 俺には確かに用事が入ってましたけど、イクスが一人で来ているはずですよ?」

 

「え? いえ、イクスさんから、とても急な用事で次に回して欲しいと・・・ねぇ? シャッハ」

 

 

シャッハに聞いてその時の報告を見てもらうと、雨水さんの端末からの了承と共にイクスさんからの断りが来ている事が確認できた

 

 

「騎士カリム、シスターシャッハ。この報告データもらっていいですか?」

 

「はい」

 

「ど、どうぞ」

 

「ありがとうございます。それでは、必ず連れてきますので、また近いうちにお会いしましょう」

 

 

とても良い笑顔で帰っていく雨水さんを見て、私とシャッハは次の検診時のイクスさんの機嫌を取る方法を話し合う事にしました


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