召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百四十五話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

端末に入っている通信の確認→珍しくハリーちゃんから通信→大会に向けての練習を見て欲しいとの事→見れるかは分からないけど、一度会いに行こうと思う→キャロの予定も大丈夫らしい

 

後を追ってリビングに入ると、イクス以外は既に朝食を食べ始めていた

 

 

「待った?」

 

「いえ、お父様と一緒に食べないと意味が無いですから」

 

「ありがとう、イクス」

 

 

イクスを撫でてから椅子に座ると、代わるように咳き込みながらヴィヴィオが立ち上がった

 

 

「むぐッ! イ、イクス、おねえちゃん! そ、そんなことないんだよ! 朝食はそれ自体に様々な意味を持つ行為だけど、別に誰かと摂るなんて事には意味は無いんだもん!」

 

「では、貴方は一人で向こうに行って食べなさい」

 

「にゃにおー!」

 

 

朝から楽しそうに言い合いをし始めた二人。それを横目にレヴィに視線を移すが、レヴィは気付く様子も無くキャロの作った朝食を夢中で食べている

 

 

 

「二人とも、朝ご飯の途中で喧嘩は駄目だよ」

 

「は~い」

 

「すみません、お父様」

 

「あ、そうだ。あきパパ、まだレヴィさんの紹介してもらってないよ?」

 

 

正直面倒だな。そもそもレヴィの紹介をするって事は、連鎖的に時間遡行やルーテシアちゃんの所での無かった事になっている一件も掘り起こさないといけなくなる可能性がある訳で

 

なんて考えないでもないんだけど、さっきキャロから注意されたばかりだからなぁ

 

 

「そうだな。名前は聞いているみたいだけど、一応、この子はレヴィ・ザ・スラッシャー。ちょっと特殊な知り合いで・・・いまの扱いは次元漂流者って事になってる。うん、目下キャロに帰る方法を捜索してもらってる最中だね」

 

「小さい頃の知り合いだったりする?」

 

「ん? いや、俺とレヴィちゃんが知り合った時期は最近だよ。ね、レヴィ?」

 

 

ご飯に夢中になっていたレヴィも流石に呼ばれれば気付き、顔を上げて皆の視線に驚く

 

 

「わっ、なんか注目されてる!」

 

「いまレヴィの自己紹介していたところだよ」

 

「僕、レヴィです! 何日かお世話になるから、よろしくね! んーっと・・・さっきちびっ子達とはお話したよね?」

 

「一通りは聞いちゃいました」

 

「うん、じゃあそれだけ!」

 

 

どうやら俺が降りてくる間にある程度の自己紹介は済んだらしい

 

一通り。って辺りが少し気になるが

 

何処まで話したかをそれとなく聞いておこう

 

 

「あ、レヴィ。今日はどうする? ミッドで遊ぶならミッドのお金渡すけど?」

 

「ホント?! やったぁ! もらうもらうっ!」

 

「そう、それなら、デバイス持ってるよね。それに俺とキャロの端末の連絡先を送っておくから」

 

「分かった~! ・・・あ、でもちょっと待った!」

 

「ん?」

 

「あはは、今日はキャロとお出かけだった」

 

 

キャロに視線に向けると、肯定する様に首を縦に振って口を開いた

 

 

「次元漂流者ですから。局に一回行ってもらって、その後はフェイトさんに会いに行こうと思ってます」

 

「フェイトさんに?」

 

「はい。これだけそっくりな訳ですし、フェイトさんも知ってるかなって思い連絡していたんですよ」

 

 

まぁフェイトさんをモデルにしたらしいから、そっくりなのは当たり前だよな

 

考えてみれば連絡するのも自然な流れか

 

 

「フェイトさんから返事は?」

 

「それが・・・珍しく要領を得ない返事だったんですよ」

 

 

要領を得ない返事・・・まったく知らなければ、知らないと言うだろうから記憶封鎖が解けきっていないのかも知れない

 

 

「フェイトさん自身も不思議な感じみたいでしたので、とにかく会いに行きますって伝えてます」

 

「そうなんだ」

 

「はい」

 

 

ご馳走様。と朝食を終えるヴィヴィオの声が聞こえた

 

まだ半分ほど残っていると思っていたんだけど、気付けば食べ終わっていたみたい

 

 

「よしっ」

 

 

食器を片付けたヴィヴィオは鞄を手に持って、いまにも出ようとしている

 

 

「もう行くのか?」

 

「ふぇ? うん、ちょっと教会に寄ってから学院に行くつもりだから」

 

「アインハルトちゃんのデバイスか」

 

「そう! どんなプレゼントの仕方が良いかな? あきパパのせいで当初の予定からはズレちゃったけど・・・にゃはは、まぁそれは登校中に考えますかな!」

 

 

傍から見ても完全に脳内がアインハルトちゃん一色になってるって事が分かるな。まさか、学院でもこんな感じになっているんだろうか

 

今度リオちゃんやコロナちゃんに聞いておかないと

 

 

「そのにやけ顔が収まってから行くようにね」

 

「は~い、いってきまーす」

 

 

元気よく返事を返したヴィヴィオだが、結局は緩んだままの表情で出て行った

 

遅れて十数分後。朝食を食べ終わった俺とイクスは、キャロとレヴィに見送られながら家を出た


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