前回のあらすじ
目が覚めると何故かヴィヴィオ達が→二人とも二度寝に来たらしい→あとから来たらしいヴィヴィオがイクスを押し退ける形で寝ていたようだ
二人が着替えと準備の為に出て行ったところで、俺も着替え始める。とは言っても着替えなんて数分あれば終わってしまうので、端末に届いているメールの確認をしておく事にした
「やっぱり騎士カリムから来てる」
ヴィヴィオが言うには、アインハルトちゃんのデバイスの申請を教会に頼んだらしい。で、それとついでに定時報告も済ませる為に話を聞かせて欲しいとのこと
ん? 珍しい事にハリーちゃんからも映像付きで入っていた
「大会も近いし、それ関係かな?」
まだ急ぐ時間でも無いし、確認してから降りるか
そう思って映像を再生してみる
「雨水さん、久しぶりです! ちょいとまー、なんて言うか相談なんっすけど。いま大会に向けて特訓中なんですよ。なんで、少しだけコーチしてくれません? あ、その、父さんも会いたがってるんで、返事だけでもお願いします・・・えと、それじゃ!」
「コーチねぇ」
いまレヴィちゃんの事があるから無理だけど、久しぶりに会いには行きたい。タイミングの良い事にキャロもこっちに滞在してるからな
「よし、スケジュールに入れとくか」
あとはいつも通り、ウルからの意味の分からない連絡や、チンクやルーテシアちゃんからの近況報告、アギトからはシロの事と取り組んでいる仕事の報告。全員そこそこ長い文面で送ってくる為、全部を読んでいたら思ったより時間が掛かってしまった
「返す時間は・・・微妙だな」
かと言って返信しないと拗ねる子ばかりだからなぁ
ウルは基本自分の言いたい事だけ言えれば良いタイプなので、むしろ返信した内容を読まない事が多々有るんだけど
まだ間に合うかと思い、それぞれに返す内容を考えていると、ノック短めに部屋の扉を開けられた
「秋春。皆はもう降りてきてますよ」
「キャロ、ごめんごめん。ちょっといつものでさ」
「あぁ・・・アギト達は元気?」
「元気みたい。あ、珍しい事にハリーちゃんからも通信が入っててさ」
「ハリーちゃんから? トライベッカさんからの用事とかですか?」
「ん? いや、用事だったのはハリーちゃん本人なんだけど・・・あ、今度時間空いてる?」
先ほどの映像通信の内容を簡単に説明する
すると、キャロはケリュケイオンと二三往復会話のやり取りをして顔を上げた
「オッケーです。ルネの話だと少しなら空いてるみたいなので、合わせて次元渡航の申請を出しておきますね。秋春の予定は大丈夫ですか?」
「俺ならいつでも合わせれるよ」
「あはっ、久しぶりに保護隊の皆に会えますね!」
「嬉しそうだな」
「もちろんです。あそこは第二の故郷と言っても過言では在りませんから。ささ、朝ご飯が冷めてしまいます。降りましょう」
「了解」
嬉しそうに階段を降りるキャロの後ろ姿に成長しても変わらない懐かしさを感じた
「あ、キャロ」
「ん? なんですか?」
「ヴィヴィオ達にレヴィのこと適当に説明してくれた?」
「は? なんでですか。それはお父さんの秋春の役目でしょうが」
「・・・。」
「なんでそんなに面倒そうなんですかっ!」
「いや、キャロが説明した方が二人も追及しないだろ?」
ヴィヴィオもイクスも俺が関わっていると変に勘繰るところがある
「確かに二人とも何があったのか、などの心配はするでしょうが。もう、駄目ですよ。ったく、秋春は昔からすぐに面倒だって顔に出すんですから・・・絶対二人から聞かれた時にそんな顔したら駄目ですからね!」
顔に手を伸ばそうとしたキャロだったが二段ほど下に居たため届かず、ちょっとだけ不満そうに俺の胸を小突いた
「な、なんですか」
「くくっ、いや、キャロは昔から可愛いね」
「もぅ。秋春は・・・なんでそう・・・まったく・・・人の気も知らないで」
「キャロ?」
最後の数段を跳ばして降りたキャロは俺の方を振り返らずにリビングに戻っていった