召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百二十八話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

出勤するとシャンテちゃんの待ち伏せに会う→教会へ→騎士カリムが登場→旅行の土産話を待ち侘びていたらしい

 

まったく、教会の代表として公に出てる時は凄く真面目そうなんだけど。なんで俺と会う時はあんなに抜けた状態の時が多いんだろうか

 

・・・ん? と言うか抜けた状態しか見てないよな

 

 

「ただいま」

 

「お疲れ様です。お父様」

 

 

仕事を終えて家に帰ると、俺の帰りを待ち伏せていたかのようにイクスが玄関に正座していた

 

いや、本当にずっと待っていた可能性もあるんだけど

 

 

「一人?」

 

「いいえ。ヴィヴィオとルシエさんと・・・えと、誰でしたっけ。まぁ、が居ます」

 

「キャロが居るのか、なら一緒に居るのはルネッサちゃんかな」

 

 

かも知れません。と思い出すのも面倒なのか、イクスは気にする様子も無く俺の荷物を預かる

 

 

「しかし、この時間に居るのは珍しいな」

 

「お仕事でちょっと遠い世界に行くので、その前に一度休みに来たそうです」

 

「なるほど。って事は、いまは部屋で寝てるのか」

 

「はい」

 

 

何処の次元世界に行くのかは知らないが、他次元世界は殆どが普段とは違う環境な為に、体に思わぬ負担が掛かってる事が多い

 

なので、その前に十分な休息を取るのはよくある事なのだ

 

 

「あ、えと、あと付き添いはリビングに居座っています」

 

 

ふと思い出した様に眉を潜めてイクスは嫌気を隠さずにハッキリ言う

 

見たいテレビの邪魔でもされたのか? いつも無関心なのに今日に限っては過剰反応しているように見えた

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

着替え終えてリビングに降りてみると、予想通りルネッサちゃんが端末をいじりながら寛いでいた

 

 

「いらっしゃい、ルネッサちゃん」

 

「あ、お疲れ様です」

 

 

近づきながら声を掛けると、ルネッサちゃんは端末を閉じて振り向く

 

わざわざ閉じると言う事は仕事の関係かな

 

 

「イクスから聞いたけど、また長期の任務なんだって? しかも他次元世界での」

 

「はい。あまり連続してはルシエ執務官の体にも負担が掛かるので、引き受けたくは無いのですが」

 

「無茶してるんだ」

 

「はい」

 

 

フェイトさんを目指すのが悪いとは言わないけど、隠れて無茶する事が多くなってきたのは褒められる事じゃない

 

今度フェイトさんからもキツく言ってもらおう

 

 

「目に余るようなら連絡をくれ」

 

「そうします・・・雨水一士」

 

「なんだ?」

 

「長期任務の為に可愛い子のエネルギーを補充したいのですが」

 

 

至極真面目な顔をして駄目な事を言っているルネッサちゃん

 

手の動きが何か怪しい

 

これでも補佐官としては優秀なんだけど・・・ホントに、これが無ければ完璧なんだよなぁ

 

 

「はぁ・・・ま、ルネッサちゃんにはキャロが世話になってるからな。好きなだけ補充していくといいよ」

 

「本当ですか? では、イクスちゃんの頬をぷにぷにさせて下さい」

 

 

ルネッサちゃんが立ち上がると存在を無視してボーっとしていたイクスが危険を察知したのか、俺の後ろに隠れて全力で首を横に振り出す

 

 

「はは、嫌われたな」

 

「なかなかにショックです。どうにも、私は子供に好かれ難い気がします。どうしたら雨水一士みたいになれますかね?」

 

「みたいにって・・・子供に接する仕事をしている以上は、嫌われ易い体質では無いと思うが・・・別に好かれ易くも無いぞ?」

 

 

確かにイクスやヴィヴィオは俺を好いてくれてるみたいだけど・・・別に今まで会った子が全員がそうだった訳じゃない

 

 

「ご冗談を。と言うより、可愛らしい子を膝に乗せながら言う言葉では無いと思います」

 

「いや、これはイクスだから出来る事であって・・・はぁ、そうだな。あえてアドバイスするなら、表情じゃないか? 子供相手なんだから、もっと柔らかい感じで」

 

「それは難しい注文ですね・・・どうですか? イクスちゃん」

 

 

きっと感情を余り揺らさないルネッサちゃんなりの柔らかい笑顔

 

俺からはノーコメントにさせてもらおう

 

 

「お父様。この場合は、素直な気持ちを言っても良いのでしょうか?」

 

「あぁーうん。良いよ」

 

「気持ち悪いですね」

 

 

ルネッサちゃんは割りと本気で挑んでいたようで、イクスの戸惑った本音に目に見えてショックを受けシャワー上がりのヴィヴィオが心配するほど落ち込んでいた


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