召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百二十六話~side イクス~

家族旅行最終日

 

お父様とヴィヴィオとその他と共に来た旅行も、今日で最後です

 

私はお父様と居れれば幸せ。そう言う事で特に心残りは無いのですが、その他は違うらしく、それぞれ思い思いに自由行動をしているらしい

 

ちなみに私の今日の予定は帰る為の片付けです

 

 

「歯ブラシは使用した訳ですから、置いていく訳にはいかないですよね。しかし歯ブラシ程度なら家にある訳ですから捨てた方が効率が良いでしょうか」

 

 

悩みますね

 

まったくこんな時に・・・いえ、部屋の片付けをサボった馬鹿妹は捨て置きましょう

 

近頃の反抗が目立ちますが、こう何度もお父様の言い付けを破られると許せません

 

お仕置きが必要でしょうか?

 

 

「ノノ。貴方なら如何しますか?」

 

 

歯ブラシを咥えさせる

 

すると、一本だけ抜いて他をゴミ箱に捨てました

 

 

「ノノ? 意図が分からないのですが」

 

 

私のデバイスであるノノは、ヴィヴィオのクリスの様に意思表示をしないので困ります

 

いまもベットの脇にあるテーブルに留まっている

 

 

「意思表示機能を提案してみましょうか」

 

 

まぁ何と無くで分からない事も無いのですが

 

それでも、私以外の人にモノを伝える時は不便なはずです

 

 

「・・・あとでお父様に相談しましょう」

 

 

ええと、この資料は如何されるのでしょうか。恐らくはルーテシア・アルピーノから借り物だとは思いますが

 

問題は私が返しに行って良いか。ですね

 

 

「・・・。」

 

 

悩んでいると、丁度部屋の扉が開いてお父様が戻ってきました

 

 

「捗ってるか?」

 

「お父様! はい、順調です!」

 

「ほぉ、で、歯ブラシ片手に資料眺めて何してんだ?」

 

「いえ、その・・・どうしようかと思いまして」

 

「そうだな。歯ブラシは捨てて良いだろ。資料は、いまから返しに行って来るか・・・ありがとね」

 

 

そう言ってお父様は私の頭を撫でて資料を受け取って返しに行った

 

残された私は、自然と歯ブラシを握りしめて髪に残ったお父様の暖かさを感じる

 

・・・至福の時です

 

 

「さぁ、もう一踏ん張りです」

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

片付けも終わり、難なく帰りの時間までに間に合わせる事が出来ました

 

そして、とうとう旅行も終わりの時間です

 

 

「全員。見事に眠ってますね」

 

「疲れたんだろうよ。最後の日だからってハシャいでいたからな」

 

 

アルピーノ家の面々に別れを告げ、次元船に乗り込んだところまではまだ余韻もあってか元気だったんですが、三十分もしない内に一人また一人と眠っていった

 

 

「ああ、何と無く想像ができます」

 

「今年は濃い旅行だったな」

 

「ええ、新しい面々も加わったせいか騒がしくなりました」

 

 

特に今年はヴィヴィオの行動が不可解でしたね

 

こそこそと動き回っていたみたいですし

 

 

「リオちゃんと仲良くなったんだって?」

 

「仲良く。と言うには一方的ですが」

 

「嬉しそうに言ってたよ。イクス先輩に色々聞けたって・・・憧れの先輩らしいからね」

 

 

憧れ。ですか

 

私みたいな存在に憧れなんて抱かない方が良いと思うんですけどね

 

ヴィヴィオの友人だけに、あまり無碍には出来ません

 

 

「困ります」

 

「これを期に、クラスにも馴染めると良いだけどね」

 

 

お父様は心配そうな表情する

 

 

「が、頑張ってみます」

 

「本当?」

 

「はい、お父様にその様な顔はさせられません」

 

 

お父様は笑顔は似合います

 

あ、いえ、私は笑顔以外のお父様も当然好きですが。でも、やはり笑顔でいて欲しい

 

その方がお父様も私も幸せだと思うからです

 

 

「ふふっ、そうか」

 

「はい」

 

「ヴィヴィオと同じくらい友達を作れよ」

 

「・・・。」

 

 

えと、お父様?

 

流石にそれはハードルが高いです

 

 

「期待してるよ」

 

 

小さく笑うお父様は相変わらずいじわるでした


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