召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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三百二十一話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

二日目の夕食後→アインハルトちゃん達を尾行→見失う→ヴィヴィオと遭遇→なぜか外へ散歩に行く事になった

 

訓練室前

 

 

「おい、散歩はどうした」

 

「ん? 行かないよ、だって寒いもん」

 

 

それは部屋に上着を取りに行く前に俺が言った事なんだが

 

 

「はぁ」

 

 

上着を自室に取りに戻った俺らは、出口付近までは一応行った・・・が。しかし、ヴィヴィオが急に引き返し始めたのだ

 

そして何故か訓練室前まで来ている

 

 

「もしかして中では」

 

「うん、なのはママとアインハルトさんが戦ってるんじゃないかな?」

 

 

にゃはは。と調子良く笑う

 

そしてヴィヴィオはゴホンと咳払いを一回して俺を指した

 

 

「だいたい、あきパパが悪いんだよ? あんなバレバレな尾行してるから、なのはママが気付いちゃって警戒しちゃったんだよ?」

 

「ん? 高町一尉にバレてたのか」

 

「戦略の切り札って言われるくらい優秀な局員だし、一般局員の尾行くらい普通に気付くよ」

 

 

それも、そうだね

 

エースオブエースだしな

 

 

「ところで、なんで二人は戦ってるんだ?」

 

「仕組んだから?」

 

「仕組んだのか」

 

「うん」

 

 

ヴィヴィオが仕組んだのなら、それはもう面白いくらいに操られてるだろうな

 

とうぜん無自覚に

 

 

「理由は? アインハルトちゃん大好きのお前が態々負ける事が決まってるみたいな戦いさせるって事はそれなりの理由があるんだろ?」

 

「一番はデバイス用のデータ収集かな。あきパパに全部任せちゃうも悪いし、なによりデバイスは殆ど一生のパートナーだもん。ヴィヴィオも何か手出ししたい」

 

 

なるほど

 

高町一尉が選ばれた理由は、相手としても最適と言うのもあるだろうが、誘導が楽だったんだろうな

 

 

「二人はその事を知って戦ってるのか?」

 

「知らないはずだよ。全力とは言わなくても、本気では戦って欲しいし。アインハルトさんには悪いこと言っちゃったなぁ」

 

「あんまりアインハルトちゃんをいじめるなよ」

 

 

あの子は見た目以上に傷付き易い

 

そして一人で勝手に悪い方へ悪い方へと問題を悪化させるタイプだ

 

 

「ほえ? ・・・にゃはは、好きな子には悪戯するものだよっ。あきパパ」

 

 

言い分は、子供らしい事をしたがるヴィヴィオらしい。けど

 

 

「その子供像は間違ってないけど、最終的には嫌われるオチだぞ?」

 

 

意外にも知らなかったのか、ショックを受けた表情をしている

 

ヴィヴィオなら普通に予想出来そうなモノだが・・・らしさを追及して、そこを考えなかったのか?

 

 

「ど、どうしよ! あきパパ!」

 

「まぁ大丈夫だろ」

 

「ぜんぜん大丈夫じゃないよ!」

 

 

まぁヴィヴィオの悪戯は別に悪質な類でも無い

 

アインハルトちゃんも精々戸惑ってリアクションを取れずに固まるくらいだろう

 

 

「それより。モニター室で見れそうか?」

 

「あきパパはいつも話の逸らし方が露骨なの」

 

 

それよりじゃないもん。などと呟きながら隣のモニター室に入り、幾つかの機材を操作し始める

 

 

「はい、完了っと」

 

 

そして、一面に展開されたモニターには、ほぼ無傷の高町一尉と傷だらけで片膝を付くアインハルトちゃんが映っていた




一度出口付近に戻った理由は高町一尉の警戒を解く為です

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