家族旅行二日目
ヴィヴィオが脱衣所から逃げ出した後、私とお父様は夕食までの時間を部屋で過ごすことになりました
夕食まで二人っきりです
お父様の選んでくれた、ボトルジュースをコップに注いで喉を潤した
「美味しいです」
「そうだねぇ。ジュースにも拘るなんて、収集癖のあるルーテシアちゃんらしいよ」
テレビをつけるでも無く。ただ、静かにお父様とお話が出来る
幸せ過ぎて言葉に詰まりそうになります
「お父様」
「ん?」
「大好きです」
少し呆けたお父様はふんわりと笑って私の頭を撫でる
「まったく、どうせ話す事が思い付かなかったんだろ?」
「い、いえ。そう言う訳では」
「うんうん。好きなのが嘘だとは思ってないよ、俺もイクスの事は大好きだからね」
あ、ひゃう、ふにゃ
・・・もう言葉になりません
「そうだね。せっかくヴィヴィオが居ない事だし、ヴィヴィオの話でもしようか」
「はい」
「じゃあまず。姉しか知らないヴィヴィオの秘密」
私しか知らないヴィヴィオの秘密?
ん、あの子は隠し事が上手ですからね。お父様が知らない程の情報となるとかなり難しいのですが
「・・・お父様の端末のデータをクリスにコピーしている。とかですか?」
「そんな事してるのか」
「はい」
こう言うので良いみたいです
ヴィヴィオには少々悪い気が・・・まったくしませんね。赤裸々に精々話の種にでもさせてもらいましょう
「他はある?」
「本人は知られたくないようですが、ヴィヴィオは外泊時は別にして、家でのパジャマはお父様の服を使用しています」
もちろん発見し次第全て私が没収していますが
まったくもって許せません
「あぁそれで・・・しかしそれはイクスもだよな?」
「ち、違います。あれはヴィヴィオから取り上げた物で・・・」
「俺に返さないと意味無いだろ」
「はぅ」
それはそうなのですが。ヴィヴィオに、あきパパに抱っこされながら寝てるみたいで気持ちいいよ? と、そんな感じに誘惑されて同時に学年が上がるにつれて、一緒に寝たいとも言い難くなってしまったのもあり
言い訳にしかなりませんが・・・誘惑に負けました
「しかし意外と面白いな」
「え? はい」
先程の話については深く追求しないみたいです
今後はヴィヴィオの誘惑に負けない強い姉になれるように努力します
「あの、今度はお父様しか知らないようなヴィヴィオって」
「ん? 俺にしか? そうだねぇ。前にイクス宛てで手紙を書いた事があるって知ってる?」
「いえ、そんな事は」
そんな事があれば流石に忘れないと思うので、恐らくは無いと言えます
「学院の課題で、家族に手紙を送ろう。みたいな感じのがあってね、それでヴィヴィオはイクス宛で書いたんだけど」
「だけど、と言う事は何かあったのですか?」
「熱が入って、余りにも本音を書きすぎたらしくてね、処分したらしい。高町一尉の家で書いていたから俺もイクスも気付けなかった訳だよ」
なるほど。しかし、処分する程とはいったい何を書き連ねたのでしょうか・・・どうせ私の怒りを買う内容でしょうが
「高町一尉に伝え聞いた話では、憧れのお姉ちゃんとか、大好きなお姉ちゃんとか、まぁ普段は言わない恥ずかしい事を書いていたみたいだよ」
「それはそれで」
下手な悪口より質が悪いです
別に普段から似たような事を言われている気がしますが、普段はふざけた感じが混ざっていますからね
「嬉しい?」
「分かりません」
「そっか」
分かりませんが。それでも、お父様の表情を見て分かる事があります
きっと私は嬉しそうな顔をしている
裏でこっそり行動する事の多いヴィヴィオは秘密が多い子です