前回のあらすじ
部屋で就寝準備→シュテルちゃんがやって来る→何故か襲われかける→娘紹介→そして恐らくいつもの勘違いが発生している模様
思考停止中なシュテルちゃんを見ながら考える
まぁそうだよね。高町一尉を知ってる人からしたら、俺とは無いよな
「おーい、シュテルちゃん」
「あうあぅ」
「もしかしてショートしてんのか?」
誤解を解きたいが理解してくれる状態にシュテルちゃんがならないと意味が無い
落ち着かせる為に一定のテンポで背を叩く
「一応さ。たぶん勘違いをしているんだろうなぁって思うから、言っておくぞ? 俺と高町一尉は別に男女の仲って関係じゃないからな」
「孕ませておいてですか?」
「いやいや・・・もうちょっと、オブラートに包めないのか? まぁいいや。だいたい、この二人と俺は血の繋がりなんて無いんだよ。義理の娘」
なぜかキリッとした表情で冷静を装うが今更遅い
理性的なのか、感情的なのか。極端な二面性を持つ子みたいだね
「複雑なのですね」
「まぁな」
「義理、義理。そうですか、義理の娘でしたか・・・それならば納得です」
うんうん。と何度も納得したように頷いている
「ところでさ、少し気になる事を聞いても良いかな?」
さっきイクスとヴィヴィオを見せた時、ヴィヴィオの時だけ、反応が違っていた
「どうぞ」
「シュテルちゃん。もしかして、ヴィヴィオの事を知ってる?」
「はい。少しですが・・・とても明るい子でした」
やっぱりそうか
んー、例えば。色んな条件をクリアして、ヴィヴィオがシュテルちゃんと会っていたとして。その事を一言も喋らないのは何故だろうか
高町一尉とは機会が無かったで済んでも、ヴィヴィオでそれは無い
「明るい子ね」
だとすると、そのヴィヴィオは、俺の知るヴィヴィオと違った道を辿ったヴィヴィオの可能性が高い
「ええ、ナノハの様な真っ直ぐな瞳をしていたのも印象的です」
「デバイスは兎を模した人形だった?」
「え? あ、はい。そう言えば隣でふわふわ浮いていましたね」
デバイスはクリス
大きな変化は無いと考えるべきか
いや、まだ分からない
「ん~そうだねぇ・・・聖王の鎧って言う反則レアスキル使ってた?」
「いえ、それは見てません」
まぁでも、これはあえて使わなかった可能性もあるから判断材料にはならないか
ヴィヴィオをヴィヴィオと決定付けるモノ
溢れる才能くらいだろ
「・・・。」
「娘の事は気になりますか?」
いつの間にかに集中していたのか、シュテルちゃんが俺を覗き込んでいるのに気が付かなかった
・・・近い
「一応な」
「アキハルは娘想いの良き父親なのですね」
「・・・それは、どうだろうな」
どちかと言うと俺が気になっているのは、負い目からかも知れない
シュテルちゃんがヴィヴィオに抱いた印象は、明るい子と言うモノだった。しかし、俺の知るヴィヴィオだったら如何だろうか
明るいなんて、良い印象を持つだろうか・・・下手したら、真逆の印象になりかねない
「どう言う事ですか?」
恐らくヴィヴィオは違うと言うだろう
しかし。主に俺のせいで、ヴィヴィオの心の闇は広がったようなモノ
「ううん、何でも無い。ありがとう」
知らなくて良い事を知った。覚えなくて良い事を覚えた。気付かなくて良い事を気付いた
状況が悪かったとは言え、王に成った
それは否応無く、壮大な運命に巻き込んだ様なモノなんだろうな
「お役に立てて嬉しいです」
「うん。それじゃあ、お休み」
「はい。ゆっくりとした休息を」
部屋を出るシュテルちゃんの背中を見ながら思う
そう言えば、いったいシュテルちゃんは何の用で来たんだろうね
話に夢中になって本来の目的を忘れるシュテルちゃん