召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

302 / 414
三百一話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

なんやかんやで小さくなった→魔法が使える子供ボディ楽しい→ある程度スペックを確かめる→するとイクスが落ち込む→魔法に俺を盗られるとでも思ったのだろう

 

家族旅行三日目

 

小さくなった日の内には、結局ウルは見付からず。昨日の俺は、問題を先延ばしにして寝る事にしていた

 

 

「あ、おはよぉー、パパぁ」

 

「おい、俺の隣に居たのはイクスだったよな?」

 

「にゃはは」

 

 

目を覚まし、イクスが寝ていたはずの場所を見ると、何故かパジャマに着替えもせずに寝ていたと思われるヴィヴィオが居た

 

この子はイクスが怒るって分かる行動を妙に取りたがるよな

 

 

「寝ていたとは言え、イクスを退かすなんて凄いな」

 

「うん。ちょっとした魔法の組み合わせだよ」

 

 

乱れまくっている洋服を整えてあげると、両手を差し出してきた

 

 

「ん?」

 

「頑張ったご褒美なの」

 

 

さっぱり分からないが、ヴィヴィオを抱いて横になる

 

そして気持ち良さそうに目を瞑るヴィヴィオの頭を撫でた

 

ん、妙な違和感があると思ったら・・・いまは小さくなってるんだったな

 

 

「寝れば治るなんて簡単なモノじゃなかったか」

 

「そうだねぇ。昨日色々探ってみたけど、ウルの目的はあきパパを小さくする事じゃなくて、たぶん小さくした時に起こる現象だと思うんだよね」

 

「現象?」

 

「うん。例えばさぁー・・・あくまで仮定だよ? 後天的にレアスキルを取得する為のロストロギアを手に入れる方法として、移植する前まで肉体を戻して一時的に剥離させるとか。時間を戻したからって、ロストロギアが元の場所に戻ったり、ましてや消滅する訳じゃないから」

 

 

後天的レアスキル。もしかして特典スキルの事を言ってるのだろうか

 

まぁ観察眼が無いので確認は出来ないが、いまの俺は何故か特典スキルを全て失っている

 

でも、あれの大元はロストロギア扱いになるのか?

 

 

「なるほど、まぁ筋の通った仮定だな」

 

 

流石ヴィヴィオ。ウルの真意までは辿り付けなくても、一晩でここまで調べ上げるなんて相当な事だ

 

まずヴィヴィオ以外には不可能に近い

 

 

「でも、だとしたらさ。目的は達成された事になるんじゃないか? それなら、ウルの性格上、表に出てくるだろ」

 

「そこ。そこなんだよね、わたしも変だなぁって思ってるところだよ」

 

 

だよなぁ

 

ウルを知ってる人間なら、この状況で思う違和感は全員同じ所に向かうだろう

 

 

「スカリエッティなら分かるかもな」

 

「会うの難しいよ? いまのあきパパだと、条件も揃ってないし、申請通らないんじゃないかな?」

 

 

言葉を返そうとした時に扉から大きな打撃音が鳴った

 

まるで蹴ったみたいだ

 

 

「イクスお姉ちゃんかも」

 

「・・・イクスー、その扉は蹴破らなくても鍵で開くからなー」

 

 

沈黙の後。二度目の音が鳴って扉に皹が入る

 

あれ? イクスじゃなかったか?

 

確かにイクスには、この部屋の鍵を渡していたと思うんだけど・・・

 

 

「あ、イクスお姉ちゃんの持ってる鍵をすり替えたんだった」

 

「・・・。」

 

 

それが原因か

 

ヴィヴィオに視線を送ると、気まずそうに視線を逸らした

 

 

「ヴィヴィオのせいじゃないもん」

 

「いや、すり替えたんだろ?」

 

「だ、だって! イクスお姉ちゃんだけに渡したパパが悪いの!」

 

 

いや、お前は高町一尉の部屋の合鍵を持ってるから別に良いだろ

 

まったく子供っぽいのか大人っぽいのか

 

裏表がハッキリしていて激しい

 

 

「さて、覚悟しろよ。お前のお姉ちゃんは怒ると怖いぞ?」

 

「あうぅー」

 

 

助けを求めるヴィヴィオは反則的に可愛いと思う

 

が。時既に遅く、三度目で壊れた扉から現れたイクスが、慌てて布団の中に丸まったヴィヴィオを見つけたのは直ぐだった




ちなみにイクスは空き部屋に移動されてました

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。