召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二話~side キャロ~

わたしの村は古くから召喚魔法を継承していた小さな村でした

 

生まれた頃から力が強く、コントロールもろくに出来ないわたしは、みんなからは恐怖の対象で、何度目かの暴走をきっかけに村を出ることになりました

 

そしてすぐです。雨水さんに出会ったのは・・・とても変な人で、面白い人、良い人で

 

 

「ほんとうにであえてよかった」

 

「ちょ! キャロ?! そんなフラグめいたセリフは吐かないで!」

 

「ん?」

 

 

わたしは雨水さんに手を引かれ竜から逃げる

 

もっとわたしが召喚魔法を上手く使えてたらこんなのヘッチャラなのに

 

 

「あ! そだ!」

 

「どうしたんですか?!」

 

「特典があった!」

 

「とくてん?」

 

 

雨水さんはわたしを草むらに隠すと竜と向き合った

 

 

「さぁ! やってやんよ!」

 

 

・・・・。

 

あれ?

 

雨水さんは構えた状態でダラダラと冷や汗を流し始める

 

 

「使えねぇ」

 

「え?」

 

「が! しかしぃ! そこで諦める俺では無い!」

 

 

痺れを切らして竜が雨水さんを襲いそうになった瞬間、バッ!と手を前に突き出して竜を止める

 

 

「なにを」

 

「良いか! 竜よ!」

 

「グルゥ?」

 

「このお方を誰と心得る!」

 

「わたし?!」

 

 

雨水さんはわたしを竜の前に突き出すと、わたしを堂々と竜に紹介し始める

 

竜は当然こちらの言葉は分からないので首を傾げている

 

 

「このお方は村一番のお偉いさんの娘!」

 

「ちがいます」

 

「お前も竜の端くれならその意味が分かるだろ!」

 

「たぶんことばつうじてませんよ?」

 

 

と思ったのだけどビクッ! と竜は振るえ後ずさる

 

 

「キャロの村はお前ら竜の長と代々交流してきた村! ・・・たぶん」

 

「あ、それあってます」

 

 

長って言うか、この辺の守り神なんですけど

 

 

「だからお前! もしこの娘を襲おうものなら! お前らの長が黙ってないぞ!」

 

「あれ? それだと雨水さんが・・・」

 

「え?」

 

 

ほら、竜が雨水さんを照準付けちゃったよ

 

 

「あれぇ? なんでぇ?」

 

「さぁ?」

 

「竜! キャロに免じてこの場は譲ってやろう!」

 

「なんでえらそうなの?」

 

「グルゥグルゥ・・・ゥ?」

 

 

竜は少し考えれる仕草を見せると背を向けて歩き出した

 

 

「よっしゃー!」

 

「すごい? のかな?」

 

 

こうしてわたし達の危機は去った

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「さて! 今日は此処で寝よう」

 

 

竜に追われたせいで折角真っ直ぐ行っていた道も分からない状態になり夜も遅くなってしまったので洞窟で一晩過ごすことになった

 

 

「ふっふーん」

 

 

男の人と一緒

 

いやいや、そんなの村でもよくあった。うん、あったはず。・・・あったっけ?

 

 

「あーそうだー。キャロー」

 

「ひゃい!」

 

「なに慌ててんだ? ・・・まぁ良いけど、奥になんか湯が沸いてたからそこで体でも流してきたら?」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

行く? うん、お礼を言った以上は行かないと

 

私は奥に進んでお湯の沸いている小さな湖の淵に来る

 

後ろを振り返るとギリギリで雨水さんの背中が見える・・・つまり雨水さんからすれば後ろを振り向けばわたしが見える

 

 

「わたしはこども」

 

 

そう自分に言い聞かせて服を脱ぐと湯に浸かる

 

 

「湯加減どうだー?」

 

「キュクルゥ?」

 

「あひゃへいひゅい!?」

 

「なに言っているんだ?」

 

 

雨水さんがフリードを頭に乗っけた状態で洋服を畳んでおいた辺りに立ってわたしを見下ろしていた

 

 

「溺れてないか不安だったがどうやら足の付く程度の深さだったみたいだな」

 

 

わたしを心配してくれたらしい

 

 

「にしても」

 

 

雨水さんは目を凝らしてわたしの体をジックリと見る

 

 

「んー」

 

「なんですか?」

 

「怪我は無いみたいだ。森の中を走ったから擦り傷くらいは覚悟してたんだが」

 

「ええ?! そっちですか?!」

 

 

女の子としては少しは気を使って欲しかったです

 

 

「ん?」

 

 

雨水さんが完全にわたしを子供扱いしている事を肌身に感じました




さっそくチートかもな特典披露?!と思われましたがこの主人公!チートだけど早々楽してチートにさせる気はありません!

以上!

あ、誤字等ありましたらご指摘下さい

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