召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百九十五話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

後続組と合流→練習会開始→第一試合目はチーム的には勝利→休憩を挟み二試合目→真っ先にイクスと勝負→色々仕掛けるが通用せず

 

とりあえず散々イクスのやる気を上げたのが悪かったな

 

 

「まったく、重い」

 

 

とにかく不条理なまでに破壊された都市を見ながら上半身だけ起き上がった

 

そして俺の上で目を回す二人の娘を撫でる

 

 

「アギト、起きてるか?」

 

「うぅ、どうにか」

 

 

せっかくの死んだふり作戦も高町一尉のせいで台無しだな

 

おまけに魔力もイクスの攻撃を防ぐ事に精一杯で、僅かにしか残っていない。この上で子供三人を運ぶのは少し無理そうだ

 

 

「イクスの攻撃は出力制限のおかげで助かったけど・・・集束砲からは二人が庇ってくれたのかな」

 

 

盾扱いされた時は味方だろうが不意撃ってやろうかと思ったが

 

 

「ユニゾンアウト」

 

「のわっ、いきなり解除すんな! びっくりすんだろ!」

 

「ああ、悪い。ちょっとアインハルトちゃんの容態見てきてくれる? 結構威力高いの受けてたみたいだから」

 

「あー、へいへい」

 

 

偽装プログラムも解除しておこう

 

ノノのマスター権限は俺にあるので、ライフの表示改竄くらいは楽に操作できた

 

 

「どうだ?」

 

「んーちょっと痕が残ってる。来てくれ、アキハル」

 

 

二人をゆっくり退かしてアインハルトちゃんの所に向かった

 

上着を少し肌蹴させていて、心臓の丁度上辺りが赤く痕が残っている

 

 

「バリアジャケットを貫いての身体ダメージか」

 

 

非殺傷設定のレベルを組み直す必要があるな

 

 

「イクスのデバイス調整はもちろんとして、アインハルトちゃんもデバイスが必要だよな」

 

 

どうせ公式試合なら必須項目の一つだろうから丁度良い機会だ

 

 

「なぁアキハル。治癒魔法使うか? そのくらいの余力はあると思うけど・・・」

 

「いや、どうせキャロが助けに来るから待とうかな」

 

「分かった。アキハルがそう言うなら、あたしは従うまでだ」

 

 

試合状況は・・・高町一尉の広域殲滅魔法で敵味方問わずライフを全部持ってかれたみたいだね

 

まぁあれだけの規模の広域魔法で取捨選択が出来たら、それこそ化け物染みてるか

 

 

「咄嗟で聖王の鎧も展開できなかったのかねぇ」

 

「ん? でもアレって自動防御機能も無かったか?」

 

「聖王の鎧の自動防御は曖昧な判定でね」

 

 

悪意や害意と言った基準はあるのだが、イクスが例外になった事もあるので本人にしか分からない

 

 

「へぇそんなもんか」

 

 

過去、隣に寝ていただけなのに聖王の鎧の暴走に巻き込まれたこともあったしな

 

アインハルトちゃんを抱えて二人の近くに運ぶ

 

 

「なにしてんだ?」

 

「一箇所の方が楽だろ?」

 

「そっか」

 

 

全員大人モードは解けている

 

並べて見るとイクスの幼さが目立つな

 

ヴィヴィオには追い付かれてないが、時間の問題だろうと俺は思っている・・・イクスには秘密にしているつもりだ

 

 

「アキハルぅ。あんまジロジロ見るもんじゃねぇぞ」

 

 

何故かフルサイズになってジト目で睨まれていた

 

 

「燃費悪いぞ」

 

「うっせぇ! あたしだって見て欲しいんだ!」

 

「はぁ? ん、ああ、そう言う事か」

 

 

そうだよな

 

如何にも俺は魔導師じゃないからサボりがちになり易い

 

 

「そうだ! そう言う事だ!」

 

「メンテナンスな。シロに任せっきりだもんな、今度は俺も一緒に行くよ」

 

 

ついでにフルサイズの魔力効率についても話してみよう

 

料理をリインフォースツヴァイ空曹長としているみたいだから小さいと不便だよな

 

 

「・・・。」

 

「ん?」

 

 

何を馬鹿みたいな事を言っているのか。みたいな顔をされた

 

間違ってたか?

 

 

「ブチ殺すぞ? 前々から思ってたけど、ワザとだよな?」

 

「まったく理不尽じゃないか?」

 

「ルールーにアキハルが気絶した女の子を嘗め回すように見てたって言ってやる」

 

 

止めろ。経由してキャロに伝わる

 

 

「えと、ごめんなさい?」

 

「なにがだよぉ、アキハルは全然分かってない」

 

 

とにかく謝ろう作戦は失敗

 

なぜアギトが不機嫌なのかを考えてみる

 

 

「あ、ヤキモチか」

 

 

意外とあっさり答えまで辿り付いた

 

そうだよな、他の女の子を見ながら話されたら不快にも思うか

 

 

「ッ! あ・・・わ、悪いか! あたしだって女の子なんだ!」

 

 

反応から察するに当たりらしい

 

 

「そうだよな」

 

 

抱き寄せると暴れ始めるが、それも初めだけで直ぐに大人しくなった

 

 

「アキハル」

 

「ん?」

 

「ちょっと恥ずかしい」

 

「こうして欲しかったんじゃないのか?」

 

 

唸り声を上げるアギトはいつもの強気なアギトとは全く別の可愛らしさを孕んでいた




アギトは、いまでもリインとは仲良くしています

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