召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百九十一話~side イクス~

家族旅行二日目

 

お父様と起き、お父様と顔を洗い、お父様と朝食を食べ、お父様と朝の自然を堪能する

 

・・・ああ、旅行最高です

 

 

「ヴィヴィオ、結構張り切ってたな」

 

「そうですね、今回はアインハルト・ストラトスが一緒なので特別なのでしょう」

 

「そっかぁ」

 

 

やる気の無さそうに肩を落とす

 

今回の練習会は六名で構成されたチームをローテーション形式で回して戦うらしい

 

メンバーの入れ替えも行うそうなので、今日は殆ど練習会で一日を終えると思われます

 

 

「今頃ウォームアップかな」

 

「・・・チームは、お父様と一緒が良いです」

 

 

前回は高町なのはの振り分けで敵チームに入りましたから

 

嫌な記憶です

 

 

「バランス調整的には一緒になると困るだろ」

 

「では、私とお父様二人のチームなんて如何でしょう? 私が全て倒します」

 

「イクスが言うと出来そうだな」

 

 

暖かい手で私の頭を撫でる

 

脈動が強くなるのが分かる、顔が赤くなってないか心配です

 

 

「出来ます。お父様となら・・・」

 

 

そうだね。と言いながら背を伸ばすお父様は一度大きな欠伸をして、端末を取り出した

 

どうやら連絡が入っていたみたいです

 

 

「ヴィヴィオから音声メッセージか」

 

「あきパパにイクスお姉ちゃん! いつまでのんびりしてるの、もう準備バッチリだよ! とにかく早く来て!」

 

「・・・騒々しい子ですね」

 

 

やれやれ、もう少し落ち着いて喋るように言っておかないといけませんね

 

困った妹です

 

 

「待たせるのも悪いか」

 

「いえ、お父様の到着時間が集合時間です」

 

「俺はそんな横暴な人間じゃねぇよ」

 

 

横暴なお父様

 

それはそれで、とても魅力的だとは思います・・・しかし、優しいお父様には確かに縁遠い事かも知れません

 

 

「行こうか」

 

「はい!」

 

 

広大な土地に設立された都市型訓練場

 

以前、機動六課で使用された陸戦用空間シュミレーターも搭載されているらしい

 

一度に全域を把握できる訓練場では、最大規模だと、お父様に教えてもらったのが記憶に新しいことです

 

 

「アキハル!」

 

「ん? お、間に合ったか、アギト」

 

「おうともよ! アキハルの戦う所に、この烈火の剣精アギト様ありだ!」

 

 

虫のようにお父様の周囲を飛び回る

 

鬱陶しい

 

私が睨むと直ぐにお父様の後ろに隠れてしまった

 

 

「アギト、俺の勝算はお前に賭かってるんだからな」

 

「いまから打ち合わせするか?」

 

「そうだな、せめて子供組には負けないようにしないと」

 

 

子供組

 

その言葉の中には当然私も入っているのでしょうか?

 

 

「あ、そうそう、手を抜いたら怒るからな」

 

「ふにゃ?」

 

「まぁ俺もスキルアップは多少してきたつもりだからさ」

 

「はい、お父様の努力は余す事無く存じてます」

 

 

結果が出ずとも諦めず。誰にも知られない場所で、ただ強くなる為に訓練を続けていた

 

 

「つまりは、努力の成果を証明する相手にイクスは丁度良いって事かな・・・本気で相手してくれないと楽しめない」

 

 

変わり映えの無いはずの笑顔にゾクリと異様な感覚を覚えた

 

疼く疼く疼く

 

 

「イクス?」

 

 

これです

 

お父様は私の本気を軽く受け入れる

 

・・・全ての戦場を殲滅し、血で染め、絶望でしか終わらない力を楽しむ為に振るって欲しいと言ってくれる

 

 

「ひゃ、うにゃ、あ」

 

「ん?」

 

「はい! 今日限りにおいては、雨水イクス。全力を持って、秋春様のお相手をさせて頂きます!」

 

 

鎖と言う鎖が全て砕けた

 

 

「あれ? アギト、変なスイッチ押したかも」

 

「あたしに言われても困る」

 

「まぁ頑張るか」

 

 

恒例行事であった練習会

 

それはヴィヴィオ同様に、私にとっても特別になりそうです




イクスのやる気も十分! 練習会と言うレベルでは無くなってきそうです

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