召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百九十話~side キャロ~

家族旅行一日目

 

偶然とは本当に不思議なものです

 

さっきまで皆さんと一緒に温泉を堪能していたんですが、新設されたサウナって言うのが気になって入ってみることにしました

 

 

「秋春?」

 

 

すると、先約がいて、しかも秋春だった

 

 

「ん? おーキャロか」

 

 

何気なくいつも通り挨拶を交わしましたけど、わたしも秋春も身を隠してるものはタオルだけです

 

・・・恥ずかしいけど、動揺してない秋春を見るとムカついて平然とした態度を取ってしまった

 

 

「秋春は外の方は入りました?」

 

「まぁそれなりにね・・・あれ? キャロは水着じゃないんだな」

 

「はい? なぜ水着なんですか?」

 

「ん? さっき会ったヴィヴィオ達が水着だったからだけど?」

 

 

あ、そう言えばヴィヴィオは一度イクスを探しに一回出るって言ってたっけ

 

そのときに着て行ったのかな

 

 

「たぶん秋春に会う為じゃないですか?」

 

「・・・ああ、それで」

 

「会えました?」

 

「会えたよ。まぁでも、高町一尉やフェイトさんと一緒なんて、流石に目に毒だからね・・・色々あって逃げてきた」

 

 

逃げてきた

 

ふふ、秋春らしい理由ですね

 

 

「その言い方だとフェイトさん達に悪いですよっ」

 

「俺も男だからね・・・ってか、その割には嬉しそうな顔してるぞ」

 

「ふへ? だ、だって秋春と二人っきりなんて嬉しくない訳ないですよ」

 

「そう? ま、目の毒って意味ならキャロも一緒だけどな。最近ますますフェイトさんに似て来たな」

 

 

わたしから視線を逸らし恥ずかしそうに頬を掻いている

 

 

「そう、ですか?」

 

 

そんな顔をされたら、わたしまで恥ずかしくなって顔が赤くなってしまう

 

・・・えと、でも、秋春にそう言われるのは素直に嬉しいです

 

 

「あーそうだな。最近大丈夫か?」

 

「へ? なにがですか?」

 

「局の仕事だよ。ルネッサちゃんから聞いたけど、凶悪犯罪ばかりを担当してるんだって?」

 

「まぁ、はい」

 

 

大丈夫。とは言えないかも知れない

 

ルネに負担かけて心配かけて、優秀な補佐官がいたから、やってこれた事件も数々だと思っている

 

 

「また微妙な返事だねぇ。ま、どの程度無理してるかは分かるんだけどさ」

 

「分かる?」

 

 

首を傾げると、秋春は自分の瞳を指した

 

よく見ると薄く魔力光が張っているのが分かる

 

 

「こんなふうにね・・・いやぁイクスが嫉妬するのが納得できる大きさだね!」

 

「えい」

 

「ッんー!」

 

 

きっと秋春の見たモノは、いまのふざけた言葉から連想されるようなモノじゃない

 

顔は笑ってたけど、目が全然笑ってなかった

 

 

「まったく、秋春は相変わらずですね」

 

「あはは、相変わらずキャロは容赦が無い」

 

 

二人で笑い合った

 

そして秋春は立ち上がって背を延ばす

 

 

「さて、そろそろ出るな」

 

「もうですか?」

 

「ああ、イクスとヴィヴィオの様子が気になってきてね」

 

「ふふっ、お父さんは大変ですね」

 

「まぁな」

 

 

四苦八苦していた親子関係も、いまでは確りと板に付いていますね

 

本人は否定しそうですけど

 

 

「キャロ」

 

「ん? なんですか?」

 

「過労には気をつけろよ。フェイトさんを目指すのは良いけど、無理する所も真似するのは違うと思うぜ」

 

「・・・わかってますよ」

 

 

やっぱり見抜いていた訳ですか

 

 

「お節介だったかな」

 

「いいえ、秋春も無理はしないで下さいよ? わたし以上に危険に対して体を張る癖があるんですから」

 

「そうか? 俺は危険には逃げるが勝ちと思ってるんだけど」

 

 

この人は何度わたしを泣かせたか忘れたんですかね

 

所謂不幸な環境である子供の所に行った時は大体怪我をして帰ってくるくせに

 

 

「そうであって欲しいですね」

 

「・・・まぁ頑張るよ」

 

「はい」

 

 

残ったスポーツ飲料を飲み干した

 

はぁ・・・サウナどころではなかったです

 

 

「ドキドキ鳴りっぱなしですよ」

 

 

駄目ですね

 

火照り過ぎて如何にかなりそうです

 

少ししたらわたしも出ることにしましょう

 

 

「好きな人とサウナは危険ですね」

 

 

勉強になりました

 

今度はもっとハードルの低い事じゃないと体が持ちませんね




サウナの経験が無いので曖昧な表現でお送りしました

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