異世界旅行一日目
川で水斬りを行い、昼食を食べた後に、私はヴィヴィオさんを誘って外に出ていた
「アインハルトさん?」
・・・困りました
私はヴィヴィオさんの気を引く話題は持ち合わせていません
この身は覇王流だけに注いできた
故に娯楽の類は一切無知
「アインハルトさ~ん」
クラウスの話でも喜んでもらえると思いますが、あれは暗い話に繋がりかねない
「アインハルトさん!」
「ッ、はい」
「聞いてました?」
考える事に没頭しすぎていたみたいです
「すみません。少し考え事を・・・」
「にゃはは、いいよ。たぶんそーだろなぁ~って思ったもん」
くるりとその場で回って腰を低くし、上目遣いに笑顔で私を見上げる
なんて愛おしい
「お友達とのお話し中の所を連れ出してしまってすみません」
「ん? ぜんぜんです。アインハルトさんなら、どんな時でも大歓迎なの」
そう言ってもらえると助かります
「逆にごめんなさいなの。アインハルトさんを無理やり旅行に誘っちゃったよね」
「私もぜんぜんです。ヴィヴィオさんなら、如何なる時も歓迎ですから」
向かい合って微笑んだ
感情を抑える事に慣れてしまった私に、上手く笑顔ができているかとても不安です
「少し、話をしましょうか」
「うん!」
それから、私の事、ヴィヴィオさんの事、オリヴィエの事、クラウスの事、二人の知っている事を確かめるように話した
夕食の時間も近づいてきて、私たちは一旦戻る事にしました
語るには時間が全然足りませんでしたね
「ねぇねぇ雨水先生を参加させるには如何したら良いと思う?」
「あの人、基本面倒なの嫌いだしね。前回もかなり渋ってたよね」
「秋兄さんって何故か、なのはさんの事が苦手ですよね」
「今回は大丈夫だと思いますよ? あれで秋春も親馬鹿ですし」
宿泊している建物の入り口で、固まって相談している方々を見つけた
如何やら雨水先生を何かに誘うらしい
「えと、元フォワード隊の皆が集合してる?」
「ん? あ、ヴィヴィオにアインハルト! やっほ~外で遊んでたの?」
青髪で活発そうな方
えと、確かスバルさんでしたね
「どしたの? みんなで。あきパパの名前が出てたけど」
「うぅん。ほら、二日目に練習会あるでしょ? あれに雨水先生を如何やって参加させようかなって」
練習会
旅行に来る前に少し聞きましたね
強者と合間見えれる場。そこには、私の知らない強さがまだ多くあるらしい
「あ~、うんうん。あきパパって自分の事を低く考えて遠慮するもんね~」
「あっそれ分かる! 私とティアのコンビでも負けたのに弱い弱いって嫌味だよね!」
「誰でも勝てるはずなんだけど、何故か最後まで生き残ってるのが、あきパパだもんね」
誰でも勝てる。それは簡単に倒せると言う事なのに、最後まで生存している?
まだ雨水先生とは出会って日が浅い私には分からない言葉です
「うん! わたしも協力する!」
「ホント?! ヴィヴィオが居てくれたら鬼に金棒!」
「・・・で? どうするの?」
「んー普通に説得?」
それが妥当ですね
ヴィヴィオさんの話なら雨水先生も無碍には出来ないはず
「分かった! 行こう、アインハルトさん」
「ええ、私も雨水先生とは手合わせしたいですから」
前は邪魔が入りましたから
今度は流石に邪魔も入らないでしょうから、真っ向勝負、真剣勝負が出来る
私の覇王流が何処まで届くか
・・・いや違う、届かせるんだ。ヴィヴィオさんを守るために、彼女の父親くらい乗り越えて見せます!
練習会は目玉ですので対戦カードが悩み所です