召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百八十六話~side リオ~

異世界旅行一日目

 

あたし達は雨水先生の引率の下、川で遊び、お昼はみんなでバーベキューをした

 

 

「あ~も! 一日がはや~い!」

 

「そうだねぇ。でも、まだ夕方の食事まで時間あるよね」

 

 

いまは、ふかふかベットの上でコロナと寝転がっている

 

ちなみにヴィヴィオはアインハルトさんと何処か行っちゃった

 

 

「どうする?」

 

「リオは?」

 

「んー、ここ広いし・・・探検?」

 

「・・・ルーちゃんから聞いたけど、大きい書斎あるんだって」

 

「ホント?!」

 

 

ベルカの歴史に詳しいって言ってたから、やっぱりその系統の本がいっぱいあるのかな?

 

学院でベルカの事も教わるから少しだけど興味が有る

 

 

「うん、行く? 書斎の場所なら、たぶん覚えてるけど」

 

「行こう! レッツゴー!」

 

 

食事の時間までも近い訳じゃないけど、あんまり多くないからね

 

部屋を出て、十数分間

 

・・・分かってたけど広すぎだよ

 

 

「ひっろー!」

 

「ん? コロナにリオ?」

 

 

ルールーが脚立の上で何か本を探していた

 

 

「あ、おじゃましてまーす」

 

「ルーちゃん探し物?」

 

 

脚立から降りてくると、スカートの埃を軽く払ってテーブルを指差す

 

積み上げられた本の数々

 

 

「アインハルトに頼まれてね。オリヴィエとクラウスが出てくる物を一通り纏めてたんだ」

 

 

へぇーやっぱりアインハルトさんも自分のご先祖様の話とか気になったりするのかな?

 

 

「そう言えば、コロナとリオはどうして書斎に?」

 

 

夕食までの暇潰し。そう言おうとした時、書斎の扉が開いて雨水先生とイクス先輩が入ってきた

 

雨水先生はすぐにあたし達に気付くと笑って軽く手を上げる

 

 

「ルーテシアちゃんだけかと思ったら、リオちゃんとコロナちゃんも、如何したの? まさか勉強?」

 

「いやいや、旅行に来てまで勉強はしません」

 

 

コロナが少し嬉しそうに頬を膨らませて反論する

 

 

「そう? まぁ二人は勉強は問題無いしね。せっかくの旅行は満喫するべきだよな・・・ん、回顧録か。これは珍しい、教会に無いモノだな」

 

「回顧録?」

 

 

あたしとコロナの声が重なった

 

 

「ん? まぁ自伝みたいな物かな。ベルカ王家のは、普通は教会が管理するんだけど、極稀にコレクターが写本や現物を持ってたりするんだよね。ルーテシアちゃんみたいに」

 

「えっへん」

 

「教会から寄付してくれないかって話が来てるんじゃないのか?」

 

「もちろん来てるよ~」

 

 

教会からそんな話が来るなんて凄い本なんだろうなぁ~

 

ルールーってかなり凄い人物?

 

 

「お父様」

 

 

無言だったイクス先輩が始めて口を開いた

 

失礼かも知れないけど、ちょっと不機嫌そうに見えるのは気のせいかな?

 

 

「あ、ごめんごめん。ルーテシアちゃん、ちょっと本借りていいかな?」

 

「どうぞ! 好きなのを持っていてください!」

 

「ありがと」

 

 

雨水先生が少し奥へ歩く、その後ろをイクス先輩が歩いている

 

まるで小さな子供みたい

 

 

「ねぇねぇコロナ」

 

「ん?」

 

「学院でのイクス先輩ってあんな感じだっけ?」

 

「え、なになに? イクスって学院だと違うの?」

 

「ルーちゃん、食い付き過ぎ」

 

 

興味津々なルールーにあたしとコロナで学院でのイクス先輩を教えた

 

 

「へ~! へ~! なるほどぉ、そうだよねぇ、王様だもんね~」

 

「告白された数も、生徒数を超えたんじゃないか! なんて一時期噂されたくらいですよ~」

 

「はは~ん。で、全員玉砕?」

 

 

もちろん。聞いた話では、存在すらも無視され続けた人も少なくないらしい

 

 

「へぇ、男子生徒にも人気なんだ」

 

「お父様以外の気など私にとって意味を成しません」

 

 

二冊ほど本を抱えて雨水先生とイクス先輩が戻ってきた

 

 

「き、聞こえてました?」

 

「まぁね。そこまで盛り上がっていると声も自然大きくなるからね」

 

「あはは~」

 

 

確かに言われて見ればそうですよね~

 

 

「あ、そう言えば雨水さんはどんな本を?」

 

「ん? 古代ベルカのね」

 

「それ! かなり古くて読めなかったやつ!」

 

「ん? じゃあここで読もうか」

 

 

その本は古代ベルカ語で普通に見てもサッパリだったけど、イクス先輩のおかげで夕食の時間までに半分くらいは読み進めることができた




ルーテシアの持つ書物の中には本人が翻訳できていない、未解読の本も眠っています

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