前回のあらすじ
次元船移動中→暇潰しにエリオと会話→イクスが起きてきて俺の上で寝る→会話続行→結婚の話へ→隊長陣をエリオが例に挙げた→イクスが寝たふりをしているのに気がついた→問い詰めおしおき決定
数時間に及ぶ次元航行も終わり、アルピーノ家に無事到着した
到着後も寝ていたメンバーは無理やり起こされた為か若干眠そうに見える
「みんな、いらっしゃ～い！」
「ゆっくりしていってね」
全員、到着早々荷物を置いて遊びや訓練をし始めた
「アインハルトさ～ん！ イクスお姉ちゃ～ん！ はーやーくぅ～！」
「・・・呼んでるぞ」
左右の二人を視界の中に収めながら、水の中で楽しそうに手を振るヴィヴィオ達を眺める
「私は遊んでいる暇は・・・」
「せっかくの可愛い水着なんだし、もったいないよ？」
「知りません」
「・・・やれやれ、じゃあアインハルトちゃんの興味の出そうな遊びをしてみようか」
水斬り
打撃のチェックと言う意味合いも大きいが、余り踏み込みが出来ない水の中ならでは体の捻りを使った打撃の練習が出来る
「せーのっ！」
ヴィヴィオ達から水柱が上がった
一番ヴィヴィオ、二番リオちゃん、三番コロナちゃん
まぁ妥当な結果かも知れない
「面白いだろ？」
「・・・。」
すくっと何も言わずに立ち上がったアインハルトちゃんはパーカーを脱いで水の中に入っていく
そしてヴィヴィオに一礼して拳を引いた
「はッ！」
高いが幅が短い
「ん～、不合格。高さは十分だけど、幅が三人よりも短いな」
あ、意外に嵌ってる
三人に加わって切磋琢磨し始めた
「お父様」
「イクスも行かないのか？」
「あ、いえ、あと少し休んでからにします」
おしおきの疲れが残っていらしい
「で？ 何か言いかけた？」
「あの、以前から気になっていたんですが、何故こんなにも傷が多く残っているのですか？ 魔法での治療を行えば・・・それに、この傷の種類は」
「ん、んーそれはな～。まぁ鍛錬不足かな」
ちなみに魔法の方は相変わらずに向上する気配すら無い
・・・体術なら局員の平均レベルくらいには届いているはず
「いいえ、お父様が鍛錬不足なんて・・・お父様が努力されてるのは、娘の私が一番知っています」
「朝の魔法訓練も？」
いや、まぁ魔法訓練と言う程に大仰な物でも無い
ちょっとした、生徒用に考えたプログラムを自分に試していたに過ぎない
「はい」
はい。じゃねぇよ
一応俺の恥かしい行動の一つだったんだが・・・
「見てたなら声をかけろ」
「真剣なご様子でしたし・・・お父様の頑張る姿は、とても魅力的でした」
「それは嬉しくない言葉だぞ？」
駄目な男に惹かれるタイプと言う奴なのだろうか
キチンと話し合う必要がありそうだ
「お父様は泳がないのですか？」
「うわ、イクスに話を逸らされた」
しかもかなり露骨に
「せっかくお父様も水着なのですから・・・」
「眼福。見てるだけで満足かな」
「そうなのですか。すこし残念です」
「そろそろイクスも混ざったら？ だいたい俺がこっちに来た理由はイクスが楽しそうな所を見る為だからね」
本当はただ大人組のハード訓練に混ざりたくなかっただけだが
イクスにはこのくらい言わないと俺から離れて自由に遊ぼうとしないからな
「・・・はい。では、見てて下さい」
「うん、分かった」
「で、できれば、私だけを」
恥ずかしそうに顔を赤らめながら、それを隠すようにイクスは水の中に入っていった
あ、ヴィヴィオがネタにして遊んでる
「やっぱり水斬りはイクスが一番か」
下段から放たれる手刀
見事に川は一瞬にして真っ二つに割れて底を晒し、巻き上がった水がヴィヴィオを飛ばしながら大きく噴き上がっていた
以前、魔法については諦めた雨水ですが、やっぱり身近にあるモノなので、自分で使ってみたくもなります