召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百八十二話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

学院はテスト期間に突入→騎士カリムからお茶に誘われる→結構美味しい→皆が集まる旅行に行きたいらしい→当然却下→話を進めると、また抜け出した事が判明→最後にはシスターシャッハに連れて行かれた

 

置いていかれた食器の片付けを終え、手伝ったご褒美にと、いつもの喫茶店でケーキを食べている

 

 

「テストはどうだ?」

 

「ん? 順調だよぉ~、たぶん満点じゃないかな?」

 

「相変わらず凄いな」

 

「えっへん」

 

立ち上がったせいで周りの注目を集めているが、ヴィヴィオは全く気にせずに、無い胸を張る

 

いや、数字の上ではイクスより大きいらしいから歳相応と言い換えておくか

 

 

「・・・あきパパの視線がちょっとイヤらしいと思うの」

 

「ケーキ没収」

 

 

立ち上がっていた為、成す術も無くヴィヴィオは俺にケーキを取られた

 

うん、甘い

 

 

「にゃあ~! ホントに食べた! ひどい! ヴィヴィオのケーキ!」

 

「別に全部は食べてないだろ」

 

「でも、殆ど食べた! あきパパの一口大きいもん!」

 

 

ヴィヴィオに比べたら大きい事は認めるが、決してワザと大口で食べた訳では無い

 

半泣きになりそうなヴィヴィオにケーキを返す

 

 

「うぅ~」

 

「次妙な事言ったら全部食べるからな」

 

「事実なのにぃ」

 

「イチゴもらうぞ」

 

「わっ! わっ! ごめん、ごめんなさい!」

 

 

俺からケーキを遠ざけようと持ち上げた瞬間に、後ろで歩いていた女性に当たった

 

当然食べれるモノでは無くなった

 

 

「・・・あ」

 

 

潤みを帯びてくるヴィヴィオを見て、真っ白なクリームで局服が汚れてしまった相手の方が申し訳なさそうな顔をする

 

 

「ええと、ごめんね?」

 

 

フェイトさんだった

 

 

「ケーキぃ」

 

「あの、あの、買って、こようか?」

 

「フェイトさん、すみません、局服の方は弁償しますので」

 

「ふぇ? 別にいいよっ。執務官室に沢山置いてあるし、それより・・・」

 

 

フェイトさんは片手に持っていた持ち帰り用の箱から、ケーキを取り出してヴィヴィオの前に置いた

 

 

「いいの?」

 

「うん! だってこれ、いまから雨水さんの家に行く時のお土産だったんだから。ヴィヴィオが食べて問題無し」

 

「ありがとう!」

 

 

流石フェイトさん

 

子供のあやし方が完璧すぎるくらい完璧だ

 

 

「ヴィヴィオはケーキ好き?」

 

「もちろん!」

 

「そっか、なら、今度翠屋の持って行くね」

 

 

翠屋? そんな店あったか?

 

態々フェイトさんが名前を出すくらいだから有名店なんだろうけど・・・

 

 

「翠屋?」

 

「あれ? なのはの実家の喫茶店なんだけど・・・知らない?」

 

 

そう言えば、ヴィヴィオは高町一尉の出身地に行った事無かったっけ

 

 

「・・・なのはママぁ」

 

「ええと、私、マズイこと言っちゃったかな?」

 

 

聞かないで下さい

 

きっとまた高町一尉はヴィヴィオから口撃を受けるんでしょうね

 

 

「まぁ甘味の類は女の子の好物ですから」

 

「あはは、そうだよね」

 

 

苦笑いした後に時間なので局に戻った

 

 

「それじゃ、俺らも帰るか」

 

「うん! 満腹!」

 

「・・・夕ご飯とか大丈夫だろうな」

 

 

キャロに説教されるの俺なんだからな

 

 

「甘い物は別腹だよ!」

 

 

このあと

 

家に帰って直ぐにキャロの夕ご飯が準備されていたのだが、ヴィヴィオは少しだけ苦しそうに食べていた




ちなみにフェイトさんが持っていたのは自分用のケーキです

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