召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百七十六話~side ヴィヴィオ~

アインハルトさんとの時間は永く感じたけれど、きっと実際は短かったと思うの

 

その決闘での最後の撃ち合い

 

アクセルスマッシュ。その攻撃は威力より、むしろ速さを重視している。だから、最後の撃ち合いでは、確実に断空拳がわたしに届く前に当てれたはず

 

 

「ヴィヴィオさん、ヴィヴィオさん・・・高町ヴィヴィオさん」

 

 

そして交差する瞬間

 

わたしもアインハルトさんも、お互い、迫る拳では無く、相手の目を見ていた

 

その瞳に引き寄せられて動きがほんの少し止まった

 

・・・オリヴィエが悪いと思いたい・・・なのはママじゃないんだし、ヴィヴィオは女の子が好きとかじゃないもん

 

 

「アイン、ハルトさん」

 

「ヴィヴィオさん!」

 

 

無表情ながら何処か心配そうなアインハルト先輩に抱かれていた

 

むぅ、ちょっと恥ずかしい

 

 

「「ヴィヴィオ!」」

 

 

首だけ動かして確認すると、コロナとリオが走って近づいてきていた

 

あきパパは端末で連絡をしており、なのはママは見守るような視線を送っている

 

 

「ごめんね、ちょっと心配かけたかも」

 

「ちょっとじゃないよ!」

 

「そうだよ、ヴィヴィオ!」

 

 

にゃはは、もぉー心配性だなぁ

 

 

「さて、手当てですね」

 

「にゃ?!」

 

 

抱き上げられた

 

しかもお姫様抱っこ

 

 

「アインハルト先輩?!」

 

「傷から血がっ!」

 

 

リオとコロナの静止も聞かずに、アインハルト先輩は自分の怪我を無視して、あきパパの下まで歩く

 

 

「お願いします」

 

「ああ、分かった」

 

 

動けないわたしは、自然と瞼を下ろして意識を深く落とす

 

にゃぁちょっと限界

 

 

「では、私はこれで・・・」

 

「おい、大丈夫か?」

 

「問題ありません」

 

 

遠ざかる足音が聞こえる

 

それと同時にふわっとあきパパとは違う香りに抱かれた

 

 

「雨水さん?」

 

「ちょっと気になる事があるので後は任せます」

 

「ええ?!」

 

「ああ、治癒が得意な人は既に呼んでいるので直に来ますよ」

 

 

んぅ、こんな時くらい傍に欲しい

 

あきパパはわたしにちょっと冷たいと思うの

 

 

「行っちゃった」

 

「雨水先生、アインハルト先輩を追っかける気かな?」

 

「さぁ、でも、任せとけば良いんじゃない?」

 

「そうだね」

 

 

ロストロギア停止

 

体内を循環していた魔力を放出

 

 

「にゃぁー」

 

「ヴィヴィオ?!」

 

 

なのはママうるさい

 

 

「陛下」

 

 

ワザとらしく足音が鳴る

 

皆が視線を向けると、ベルカ王家の騎士甲冑を着た大柄な男性が片膝を付いていた

 

 

「母君はお初にお目に掛かります。私は聖王教会、教会騎士団の団長を預からせて頂いてます」

 

「ひさしぶりぃー、陛下はやめぇー」

 

「陛下の御心使いは嬉しいのですが、下に示しがつきませんので・・・雨水殿から聞きました、クラウス殿下と決闘となされたとか。失礼ながら治療を行っても良いでしょうか」

 

「うん」

 

 

鉄壁の騎士団長

 

それが教会騎士の間で言われているこの人の通称だったと思う

 

見た目からは想像も出来ない程に繊細な術式

 

古代ベルカ式の使い手なのに凄い

 

 

「まだ成人もなされていないのですから、無理はなさらず。先代の様にはいきませんと雨水殿も」

 

「わかってる。でも、言う場所は気をつけてよ」

 

 

なのはママに知られると少しだけ困るもん

 

 

「・・・そうでしたね。終わりです、傷に関しては数日の治癒で消えると思います」

 

「うん、ありがと」

 

「勿体無いお言葉です」

 

 

団長さんは、わたしの顔色が良くなったのを確認して端末を開く

 

そして暫らくして此方を向いた

 

 

「皆さん。一応此処での事は余り公にしないで頂きたい。高町一尉も、これは聖王教会預かりの問題なので局の介入は認めません」

 

「は、はい」

 

「では陛下。また教会でお会いしましょう」

 

「あきパパがごめんね。忙しいのに」

 

「いいえ、貴方の為の騎士団ですから」

 

 

そう言う意味じゃないんだけどなぁ




オリヴィエの記憶は勝因にもなれば敗因にもなります

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