召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百六十五話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

戦闘開始→即終了→ウルや薬品撒布して俺とバイザー少女ダウン→持ち帰ろうとしていたので止める→交渉→成立→持ち物調査→ザンクトヒルデ学院の生徒と思われる→なので騎士団への引渡しは無し

 

学生証に記載された住所に向かってみたのだが、保護者が留守の様で誰も出てこなかったので遠慮無く上がる事にした

 

流石に放っていくのは気が引けるからな

 

 

「覇王か、確かに特徴は出ているな」

 

 

イクスのクラスメイト

 

名前はアインハルト・ストラトスと言うらしい

 

なんで今日まで気付かなかったんだろうな。授業参観とかで何度か見ていたはずなのにねぇ

 

 

「アキハルっ! 夕食はやっぱ軽い方が良いのか?」

 

 

ひょこっとエプロンを着たアギトが扉から顔を出す

 

頼んだ俺が言うのは駄目なんだろうが・・・勝手知ったる他人の家ってやつだよな

 

 

「そうだな、よろしく」

 

「おう!」

 

 

ウルがストラトスちゃんに掛けた魔法は、眠りの魔法では無く夢を魅せる魔法

 

古代ベルカの少し変わった魔法を使っていたため解くのに結構大変だった

 

 

「学院帰りの喧嘩通り魔なんて面白いね」

 

 

魔力資質どころか身体資質から覇王に近いんだな

 

 

「さて、高町一尉に任せているとは言え、キャロも遅いからな」

 

 

少し様子見に連絡してみるか

 

 

「まって」

 

「ん?」

 

 

部屋を出て行こうとすると呼び止められたので振り向いてみると、ストラトスちゃんは目を閉じていた

 

寝言か?

 

 

「まってください、オリヴィエ」

 

 

オリヴィエね

 

ああ、この子もヴィヴィオ同様に記憶を受け継いでいるのか

 

 

「境遇は似ていても反応は全く違うんだな」

 

 

目を閉じているストラトスちゃんからは涙が止まらず流れ続けている

 

ヴィヴィオは寂しい記憶でも悲しく記憶でも笑っているような子だからな

 

 

「まだ、まだです」

 

「ま、ヴィヴィオが歪なだけか」

 

 

これが普通の反応だよな

 

戦乱の記憶を持っていて全く歪まないなんて事は有り得ないけどね

 

 

「・・・ハッ! あ、貴方は!」

 

「起きた?」

 

 

臨戦態勢を取ろうとしたストラトスちゃんだったが、自分の今の姿を見て直ぐに布団に潜った

 

 

「あ、あの・・・これは」

 

「ああ、汗もかいていたからね。着替えさせてもらったよ」

 

 

あ、もちろんアギトが着替えさせた

 

口をパクパクさせて何か言い足そうにしているが無視させてもらおう

 

 

「さて、自称覇王ちゃん。本名、アインハルト・ストラトス。ザンクトヒルデ魔法学院中等科一年生・・・なんで知ってるのか、なんて聞かないよな?」

 

「ザンクトヒルデ魔法学院の生徒相談役、雨水秋春先生」

 

「知ってるなら聞こうか。相談は無いかな? 覇王ちゃん」

 

 

ストラトスちゃんはきょとんと目を開き首を傾げる

 

イクスに似てるかも

 

 

「相談ですか?」

 

「それ以外に無いだろ? 俺は生徒の相談を聞いて、解決するのが、仕事なんだからさ」

 

「貴方に解決出来る相談なんて無いです」

 

「俺が解決出来ない相談は有るのか?」

 

「・・・無い」

 

 

握り締める拳

 

とても無いなんて思えない

 

 

「やれやれ、強情だね」

 

「貴方に言われたくないです。それに、貴方が聖王の複製体と冥府の炎王の所在を教えて頂ければ悲願は達成されます」

 

「だから、それは勘違いだって」

 

 

この子のレベルなら、イクスやヴィヴィオに合わせた所で大事になるとは思えないが予言の事が引っ掛かる

 

 

「アキハル~! 夕食できたぞー!」

 

「融合騎」

 

「アギトだ!」

 

「あ、申し訳有りません」

 

「まったくもぉー・・・あ、そうだ」

 

 

不機嫌なアギトは冷蔵庫などにレトルト系が多いことを、小一時間叱っていた




世話焼きのアギトとしてはレトルト食品は見過ごせない

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