召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百六十四話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

教師による見回り→生徒相談役の俺も参加→人の少ない場所→運悪く喧嘩屋と遭遇→どうやらイクス達を狙っているらしい→意外と頭が固い→戦闘開始

 

俺の魔力量から考えて短期決戦になると思っていたのだが、その終わりは意外なモノだった

 

バタリと音を立てて倒れる

 

 

「何が」

 

 

俺とバイザー少女

 

これから戦うはずだった俺らは全くの無傷で地面に伏している

 

 

「ククッ、やはり張っていて正解だった」

 

 

響く足音

 

そして楽しそうな笑い声と共にウルが暗闇から姿を現す

 

 

「ウル?!」

 

「やぁご主人様。キミの周りは本当に愉快だね」

 

 

相変わらずの笑みでウルはバイザー少女に近づいて屈み込む

 

 

「この子が覇王の純血統かい? ふむ、確かに特徴は出ているね」

 

「・・・貴方は。それに何をしたのですか」

 

「ん? ボクは時空管理局開発部門特別顧問のウルだよ。長いから、そこのご主人様の奴隷って方が分かりやすいね。それとキミの体の事だね? 簡単だよ、キミ達が居る周囲に、対凶悪犯罪者用試作拘束薬を大気中に撒いたに過ぎない。まぁ試作品だけに効果時間はおよそ五分程度しかないがね」

 

 

ウルはバイザー少女に手を翳して魔法陣を展開した

 

 

「さぁ質問には答えた。次はボクの質問に答えてもらうかな。最もキミの体に直接聞くから、寝ていて構わないよ」

 

 

魔力抵抗も高そうだったのだが、少女はあっさり眠りに落ちた

 

 

「おい、俺の痺れも取れ」

 

「ん? ああ、余りの興奮に忘れていたよ」

 

 

どちらにしても五分の我慢とはいえ、五分間もアスファルトの上に転がっては居たくはない

 

 

「そんなに覇王は魅力的だったのか?」

 

「もちろん。ベルカ王族のデータはボクの研究を大きく前進させてくれるからね」

 

 

それは結構な事で

 

 

「しかし困った」

 

「ん? 如何した」

 

「解毒薬は開発部に置いてきたのだよ」

 

「お前」

 

「効果時間はあと三分も無い。すまないがご主人様には、そこで転がっていてもらおう」

 

 

自己完結したウルは再び少女の近くで屈みこんで懐から薬品を取り出していた

 

 

「何する気だ?」

 

「ベルカ式にとって身体強化の魔法は必須。運ぶのに解いておいてもらわないと困るのでね」

 

 

液状の何かが少女の口に入れられると、体が淡く発光しバリアジャケット等が解けた

 

 

「おや?」

 

「マジか」

 

 

バイザー少女は変身魔法を使っていたらしい

 

だいたいイクスと同じくらいの少女にまで縮んでいた

 

 

「ククッ、実に興味深い。デバイスは持ってないようだ。と、言う事は自身で組み上げたみたいだね」

 

 

お、痺れが取れた

 

 

「ふぅ・・・おい、ウル。その子の身柄はこっちで預かる」

 

「冗談。このサンプルは管理局が軽犯罪者として持ち帰るよ」

 

 

うわっウルの奴、とうとう本音でサンプルとか言い出しやがった

 

しかしそっちがその気なら手は有る

 

 

「面会」

 

「うっ」

 

 

面会

 

いつも余裕なウルが明らかな動揺を見せる

 

それも当然だが、現在ウルには親であるスカリエッティとウーノに月一だけ面会する権利が与えられている

 

しかしながら、更生を監督する俺には正当な権限でそれを奪う事が出来る

 

 

「く、くくっ・・・き、鬼畜だね。ご主人様」

 

 

涙目でも余裕に戻そうと虚勢を張っているが流れはもう此方だ

 

 

「いやいや、これも立派な交渉術さ。もちろん。捕縛の手伝いをしてくれた事は評価に入れよう」

 

「それはもう脅しだよ」

 

 

ウルにとってはそうなるだろうな

 

 

「渡せ」

 

「・・・。」

 

 

ゆっくり首を横に振ったウルは、白衣を翻して暗闇の中に消えていった

 

 

「イクスと同年代となると学院の生徒かな。さて、持ち物検査でもしてみるか」

 

 

もし生徒なら引渡しは無しだな

 

まさか、学生証は持ってないだろうけど・・・ロッカーのキーくらいなら持ち歩いてるだろ




ウルは予定通り局入りしています

あっさり終わった戦いにはアギトも涙目です

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