前回のあらすじ
台所の監視→夕食は問題なさそう→追い出される→イクスに会いにベランダに出るとフェイトさんが居た→ヴィヴィオとイクスは、なのはさんとお風呂らしい→フェイトさんはキャロと入りたいらしい→その前に夕食
夕食の後
イクスが一人でリビングに出て行っていたので、気になって探してみると台所で発見した
「・・・。」
「・・・この積み重ねが・・・なるほど確かに至難です」
一人で何か呟きながら食器を洗うイクス
手伝った方が良いのか?
「一人で食器洗いか?」
「ひゃっ!」
「おっと」
落とし掛けた皿を下から持って支える
「お、お父様?! 確かお父様はヴィヴィオと」
「一人で出て行くのが見えたから気になってね」
イクスは悪い事が見付かった時みたいに落ち込んで顔を俯かせる
「キャロから頼まれたの?」
「いいえ、独断です」
「そっか、うん、偉いな」
「え?」
意外そうな表情
まぁ台所でまた何か料理していたなら困ったモノだけど、別に食器洗いなら褒められるべき行為だよね
「さっき言ってた積み重ねって?」
俺もスポンジを手に持って食器を取る
聞かれていた事に顔を赤くしながら同じように食器を取った
「その・・・私は家事と言う分野が不得意です。なので、この食器を洗うと言う単純な作業から徐々にレベルを上げていき、最終的にはお父様を満足させれる料理を作りたいと思っているのです」
「うん、中々計画的で良いと思うよ」
そうだよな
いきなり料理なんてレベルの高い事に挑戦しても駄目だよな
まずは基本から
「・・・有難う御座います」
褒められたのが嬉しいのか少し恥ずかしそうに頬を染めている
暫らく二人で協力して食器洗いを進めていると風呂上りのキャロがやってきた
「秋春発見。ん? あー! イクス、洗ってくれたんだ! ありがとぉ! すっごく助かる!」
「いえ、自分の為ですから」
「それでも嬉しい!」
微笑むキャロにイクスは恥ずかしそうに小さく頷いた
洗っていない食器はまだ少し残っていたが、キャロとイクスの二人で十分らしいので交代して風呂に向かった
◇◇◇◇◇◇
風呂に向かった俺は少々困った状況に陥っていた
「ふむぅ」
並べられた色取り取りのシャンプーやらリンスやら
恐らく高町一尉やフェイトさんの置き忘れなんだろうけど・・・いつも気にしてないから、どれが何なのか分からない
「適当に使う訳にもいかないよな」
そもそも冷静に考えれば女性の入った後に入るって言うのは如何なんだろうな?
かと言って先と言う選択肢も・・・難しい
考えていると脱衣所の方で音がした
聞こう
「ちょっと良いか~」
「ん? 如何したのかね? ご主人様」
ガラリと一切の迷いも無くウルは脱衣所と風呂の境目を開け放ちやがった
「なんだい?」
「・・・あのな」
「おっと、呼ばれたのでついね。閉めるから話を続けてくれ」
その行為が恥ずかしい事とは分かっているみたいだけど・・・なんだかなぁ
「いつも俺が使ってるシャンプーとかって覚えてたりする?」
「一緒に入っていないボクに聞かれても困るな・・・でも、イクス君達が使ってるのを言えば良いのだろう?」
「そうそう」
「それならきっと中央のミッド産のだよ。さっき少しだけ見えたが、右端の三つ左端の二つは管理外世界の産物だったからね」
「さっきの一瞬でそこまで見てたのか」
凄いな科学者
いや、この場合ウルが凄いだけか?
「なるほど、さんきゅ助かった」
「礼には及ばないよ、ご主人様」
さっそく髪を洗おうとシャンプーを手に取ったのだが・・・ウルが脱衣所から出て行っていないのに気がつく
「おい」
「ん?」
「なんでそこに居る」
影は動き布が擦れる音がする
「なんでってボクも入浴が済んでいないのでね。時間も惜しいし、入ってしまおうと思っていたのだよ」
「・・・後にしろ」
「ん? 実年齢一桁のボクに何を恥ずかしがるんだい? 流石の一般常識でも幼い子となら大丈夫だろう?」
実年齢と言う言葉の時点で、自分が年齢通りの見た目では無いと認めているものだと思うんだよな
「まぁそう意地悪を言わないでくれ。これでもまだ風呂は慣れていないんだ・・・色々と教わりたい」
「意地悪って・・・はぁ今日だけな。今度からシロとかチンクとかキャロとか・・・まぁ頼りになる奴が入ってる時にお願いしろよ」
「ククッ礼として背中くらいは流すよ」
「はいはい」
・・・まったく手の掛かる困った居候だ
イクスは食器洗い以外にも時々密かに家事に挑戦中です