召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百三十話~side なのは~

戦乱の時の王

 

時間外の面会だったので申請を通しても長くは居られなかった

 

まぁそれでも顔馴染みと言う事もあって普通よりは長い時間なんだけどね

 

雨水さんから話が聞いて、今すぐにヴィヴィオと話をするべきだと私は確信した

 

 

「・・・高町なのは」

 

 

玄関から顔を覗かせたイクスちゃんは明らかに落胆していた

 

 

「えと、ヴィヴィオ居る?」

 

「は?」

 

 

え? なんだろう

 

このイクスちゃんの不思議そうな顔・・・嫌な予感がする

 

 

「何を言っているのですか? ここ数日のヴィヴィオは貴方の家に行っているでは有りませんか」

 

「え? ・・・来て、ないよ?」

 

 

ここ数日どころか、雨水さんが入院してからは一度も来ていないはず

 

私の家に行くと言って消えたヴィヴィオ

 

 

「・・・まさか」

 

 

大きな音を立てて扉を閉められた

 

そして次に出てきた時には、イクスちゃんは私に視線を向ける事なく押し退けて走り出した

 

 

「待って!」

 

 

行かなきゃと直感的に思った

 

だから、急いでイクスちゃんの後を追って走り出した

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

イクスちゃんを追い掛けて辿りついた公園には虹色の結界が張ってあった

 

 

「イクスちゃんは?」

 

 

辺りにはもう居ない

 

って事は中に入ったのかな?

 

 

「・・・。」

 

 

虹色の結界は隠蔽や侵入の難易度、更には魔法式の高度さ、どれをとっても一流だった

 

虹色の魔力光って事は当然ヴィヴィオ以外居ないんだろうけど・・・この結界をヴィヴィオが?

 

 

「レイジングハート」

 

 

イクスちゃんはどうやって中に入ったのかな?

 

解析を行ったにしては短時間だった

 

 

「解析終了」

 

 

結界が壊れないように穴を開けて進入する

 

そして中の光景を見て絶句した

 

 

「ヴィヴィオ?」

 

 

大人モード

 

確か聖王オリヴィエの騎士服をモデルにしたバリアジャケット

 

・・・・いや、きっとヴィヴィオじゃないみたいと思ったのはそこじゃない

 

 

「ひぃ! や、止めてくれ! おれじゃない!」

 

「知らないよ」

 

 

相手が張ったバリアはヴィヴィオの拳に何の抵抗も出来ずに壊れる

 

そしてその凶器染みた拳は男を捉えた

 

 

「ヴィヴィオ! 駄目!」

 

 

瞬時にセットアップしてヴィヴィオの為に男の人にバリアを張ろうとした

 

しかしヴィヴィオの拳速はバリア展開速度を上回っている

 

 

「ヴィヴィオ」

 

 

ヴィヴィオの拳があたる寸前で男の人は誰かに蹴り飛ばされて生き延びた

 

 

「・・・イクスお姉ちゃん?」

 

「貴方・・・高町なのはの家に行ったのでは、無かったのですか?」

 

 

ヴィヴィオはイクスちゃんの追及から逃げるようにそっぽを向いた

 

そして丁度、レイジングハートを手にした私と目が合う

 

いまのヴィヴィオが私の知らなかったヴィヴィオなんだよね

 

 

「ッ?! な、なのはママ? イクスお姉ちゃん! これどう言うことなの!」

 

「如何言う? それは私の台詞なのですが・・・高町なのはに関しては知りません・・・それよりあの男はなんですか」

 

「あきパパをおそった人のなかま」

 

 

あれが雨水さんを襲った違法ベルカ

 

イクスちゃんは鋭く男を睨むとすぐに視線を変えてヴィヴィオを向いた

 

 

「イクスちゃん。ちょっとヴィヴィオとお話させて?」

 

「・・・どうぞ」

 

 

渋々といった様子で身を引いたイクスちゃんは呻いていた男に追い討ちを掛けて気絶させていた

 

私が一歩ヴィヴィオに近づくとヴィヴィオは一歩下がって遠ざかる

 

近づく遠ざかる

 

数回繰り返してヴィヴィオが遊具に背を預けたのを見計らって距離を詰めて抱きしめた

 

 

「んぅ! んんっ!」

 

「逃がさない」

 

 

少し暴れて無理だと判断したヴィヴィオは大人モードを解いて私の腕の中で俯いていた

 

 

「・・・。」

 

「もぉ心配したんだよ?」

 

「え? だ、だめだよ」

 

 

駄目?

 

何が。と聞く前にヴィヴィオは震えながら話し出す

 

 

「なのはママはヴィヴィオを怒らないとだめ」

 

「怒る? あ、うん。心配した後に怒るね・・・だから今はぎゅーって」

 

「・・・怖くないの? って、聞いても一緒なのかなぁ~」

 

「うん」

 

 

涙を流し出したヴィヴィオは後で話すからと言って寝てしまった

 

同時にヴィヴィオが寝た事によって結界が解けていく

 

 

「さて、帰ろっかイクスちゃん」

 

 

ッ?!

 

イクスちゃんが居ない?!

 

そして、その代わりに雨水さんを襲った男の仲間が気絶していた場所に、ヴィヴィオのデバイスであるクリスが身振り手振りしながら浮かんでいた




なのはとヴィヴィオが良い雰囲気で親子の仲を深めている一方でイクスは行動を起こしていました

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