召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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二百十七話~side 雨水~

 

前回のあらすじ

 

暇だな→お客さん→と思ったらヴィヴィオだった→他にもお客さん→コロナちゃん→話の流れでコロナちゃんは俺がヴィヴィオの父親と知る

 

二人ともそれぞれの理由で機嫌を損ね、お昼休みに追求する気になっていた

 

・・・まぁ相談中の札を立て掛ける事で対策はバッチリだから問題ないけどね

 

 

なんて思っていた俺は間違っていた様だ

 

 

「あきパパ!」

 

 

お昼休み

 

ヴィヴィオは普通に開けて入ってきた

 

 

「ヴィヴィオ・・・表の立て札見なかったのか?」

 

「見たよっ。でも部屋の中にはあきパパのけはいしかなかったから入ったの」

 

 

・・・気配って・・・今度からその手の対策も考えないといけない

 

 

「って事はコロナちゃんも居るのかな。良いよ、入ってきても。ついでに立て札を持ってきておいてくれると助かるかな」

 

「は、はい」

 

 

ヴィヴィオと違って遠慮しながら入ってくるコロナちゃん

 

これがコロナちゃんだけだったら立て札を見て遠慮して入ってこなかったんだろうな

 

 

「さぁ! パパ! なんで授業参観のときに、コロナにうそついたの!」

 

 

授業参観の話も聞いたのか

 

まぁ高町一尉の有名人っぷりに巻き込まれたくなかったって言うのが一番だけど・・・

 

 

「嘘は言ってない」

 

「むぅ、だってヴィヴィオのためじゃなくて色々見ていくためって」

 

「だから・・・ヴィヴィオ一人じゃなくて色々な生徒を見て回って。日頃の事を知っておかないと相談を受けても対応が難しいからね」

 

 

ますますヴィヴィオが不機嫌そうになった

 

 

「ヴィヴィオの授業参観だったのに? それなのにパパはヴィヴィオのパパじゃなくて先生としてきてたの?」

 

「うっ、そう言われると痛いな。いや、ヴィヴィオの父親兼教師って言うかな?」

 

「・・・。」

 

「いや、うん、まぁ・・・あーもう、悪かった。高町一尉って有名人だろ? その方面で目立つのが面倒だっただけ」

 

 

無言且つ潤んだ瞳での睨みは結構心にくるものがありました

 

本当の理由は言ったヴィヴィオは少しだけ納得したように笑ってコロナちゃんを自分の前に押し出した

 

 

「こんどはコロナの番だよっ」

 

「え? え? ヴィヴィオっ?!」

 

 

押されたコロナちゃんは目の前であたふたしている

 

俺の中での親しい子達の中では珍しいパターンだよな

 

 

「この際だから、あの時、コロナちゃんが泣いた理由を教えてくれないかな?」

 

「ふぇ? あ、それは・・・なんと言いますか」

 

 

随分歯切れが悪い・・・そんなに言い難い事なんだろうか

 

 

「雨水先生が・・・高町一尉と結婚してるっていうのが衝撃的で・・・」

 

「結婚?」

 

 

ヴィヴィオと俺は向かい合って首を傾げる

 

 

「コロナコロナ、あきパパとなのはママは結婚なんてしてないよ?」

 

「え?」

 

 

もしかして・・・恐らくコロナちゃんは高町一尉の熱狂的なファンなのだろう

 

それなら憧れの高町一尉の婚約者がこんな一般人では確かに釣り合いはとれない

 

 

「え? だって、ヴィヴィオのパパとママなんだよね?」

 

「うん」

 

「え?」

 

「ヴィヴィオ。世間一般のパパとママって言うのは前提として夫婦って事になるんだよ」

 

 

そうか

 

ヴィヴィオの家族概念は少し周囲とは違うもんな

 

 

「あっそうなんだ・・・んーっと、コロナには言ってなかったもんね。わたしは、なのはママやあきパパの本当の娘じゃないんだっ」

 

 

いつものようにヴィヴィオは笑顔でさらって重い事柄を言ってのける

 

ヴィヴィオの中ではもう如何でも良い事として処理されているからだと思うけど

 

 

「・・・。」

 

 

まぁ当然悪い事を聞いたと思うよな

 

コロナちゃんは呆然とヴィヴィオの言葉を受け止めていた

 

 

「あれ? コロナ? おーい、コロナ~」

 

「あ・・・ご、ごめん! 私そんなつもりじゃ!」

 

「あきパパ。わたしなんで謝られてるのかな?」

 

「たぶんヴィヴィオに辛い事を思い出させたって思ってるんじゃないのかな。ね? コロナちゃん」

 

 

助け舟のように言うとコロナちゃんは無言で頷く

 

 

「にゃ? べつにヴィヴィオは気にしないけど・・・ん~・・・まっ! あきパパとなのはママは、本当のパパとママ以上に、パパとママだから良いんだよっ!」

 

 

・・・気恥ずかしいな

 

高町一尉にも聞かせてみたいよ

 

 

「にゃははっあきパパ照れてる~」

 

「あ、ホントだ。なんだか意外」

 

 

二人で一緒に笑ったおかげか、少し前までの暗い雰囲気は完全に消えていた

 

いや、なんか恥ずかしいね




ヴィヴィオの中での家族の線引きは本人にしか分からないような微妙なラインです

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