二百十六話~side 雨水~
前回のあらすじ
風呂上り→浴衣に娘二人が苦戦→結局二人とも俺が着せる→その後→ルーテシアちゃんのこだわりを堪能→最後には川の字で寝る
夜中に目を冷めた俺は偶然キャロと会って他愛も無い話と仕事の話をした
短い休日を使ったアルピーノ宅への旅行はとても充実した日になった
そしていつもの日常へ
「いや、しかし人が来ないと暇だな」
いい加減に本を読み漁るのにも飽きてきた
「んー」
何と無くで参考書を手に取っては見るものの、大して読みもせずにテーブルの上に置く
暫らくそんな時間が続いていると不意に扉が鳴る
「どうぞー」
「あそびにきたぁ~!」
ヴィヴィオだった
・・・ああ、もう休み時間か。一時間近く何もせずに過ごしてしまったな
「移動授業か?」
「うん! とおりかかりー・・・あれ?」
「ん?」
急にヴィヴィオがキョロキョロとし始めて扉まで駆け寄る
「あっなにかくれてるの?」
「誰かと一緒なのか?」
「う、雨水先生。私です」
「あ、コロナちゃんね」
そう言えばヴィヴィオとは同じクラスで友達なんだから一緒に移動していて当然か
「あれ? あきパパとコロナって知り合いだった?」
「まぁね」
「ちょっと・・・あれ? ヴィヴィオ、いまパパって」
「え? 言ったよ?」
コロナちゃんは交互に何度もヴィヴィオと俺を見る
「・・・え、ぇぇえええッ!!!」
◇◇◇◇◇◇
整理中
「雨水先生がヴィヴィオのお父さんで。でも高町なの?」
「そうそう」
「あってるよぉー」
色々混乱している様だけど如何にか理解出来たらしい
「・・・初耳ですよぉ。雨水先生のいじわるぅ」
理解していくごとに何故か落ち込み始めるコロナちゃん
「わぁーあきパパが女の子泣かしたー」
「ヴィヴィオ! お前の友達だろ! 如何にかして!」
「しらなーい。ヴィヴィオは、なーんにもしらなーい」
ふんっとヴィヴィオは膨れっ面になって不貞腐れ、コロナちゃんは何でなのか泣いてしまった
一体俺が何をした
「・・・二人とも」
「ぐすっ。なんですか?」
「なにぃ?」
ジト目と睨み
ホントに俺が何かした?
「授業遅れるぞ」
時計を指差して教える
何処に移動していたのか知らないけど、かなりヤバイ状況だと思われる
「「・・・あ!」」
二人同時に慌て出して頭をぶつけ合った
「「ッ~!」」
「なにやってるのか・・・話ならお昼に聞いてあげるから」
「絶対ですからね!」
「にげたらキャロお姉ちゃんに言いつけるからね!」
言いつけるって
キャロは俺の保護者か何かかよ
「俺は逃げも隠れもしないから急ぐ急ぐ」
「じゃっまたねっ、あきパパ!」
「あっヴィヴィオ待ってぇ!」
ドタバタと騒がしく出て行った
「・・・ふぅ」
さて
デスクの引き出しから相談中の立て札を取り出す
「昼間近になったら掛けるか」
これなら入って来れまい
そもそもヴィヴィオが怒っていた理由は恐らくコロナちゃんに俺が父親って黙っていた事だろうから家で説明しよう
コロナちゃんは・・・んー泣いた理由は分からない。まぁ悲しくて泣いた訳じゃないかも知れないな
単に驚いた感情の昂りからの可能性も有る
「ともかく同時には無理だよな」
授業が始まる時間になり次の休み時間まで生徒が来る可能性はかなり低いので棚から新たに参考書を取って広げた
完全になのはさんと雨水の関係を誤解しているコロナです