前回のあらすじ
娘と露天→イクスの髪を先に洗う→更に伸びてきている髪を切るか聞くとその場で切りそうになったのでストップ→ヴィヴィオの番→ヴィヴィオの挑発にイクスが微笑む→二人揃って驚いてしまった
のぼせない程度に入って、男女別の脱衣所で浴衣に着替えていると、後ろの露天から楽しげなナカジマナンバーズの声が聞こえてきた
少し早めにあがって正解だったな
鉢合わせでもしたら目も当てられない結果になっていた
「あきパパ~むすんでぇー」
「このくらい一人で出来るようになれよ」
「はぁーい」
返事は元気があって良いんだけどね
「イクスを見習え、さっきから黙々と着替えているぞ・・・ってあれ? イクスは?」
少し前まで後ろの方で着替えていたと思うが
「イクスお姉ちゃんなら、あの棚の後ろにかくれてたよ?」
「なんでそんな所に」
イクスの行動はたまに読めないからなー
そう思って後ろに回ってみると、浴衣の紐でぐるぐる巻きになっているイクスを発見した
「訂正だな。イクスはまだ見習われるくらいにはなってない」
「お父様ぁ」
「ちなみになんでそうなったの?」
「姉だから・・・一人でしようとしたら・・・です」
いま来ている浴衣はルーテシアちゃんの考案作で、ミッドの人にも簡単に着れるように作られているはず
「可愛いなイクスは・・」
一度解かないで頬を突いてみる事にした
やわらかい
イクスが寝ている時にたまに突いたりしているけど本当に癖になりそう
「なぁーにぃーイクスお姉ちゃんで遊んでるのかなぁー」
ヴィヴィオがジトーッとした目で睨んでいた
「ちょ、ちょっと知的好奇心で?」
「ふぅーん。イクスお姉ちゃんもなんでそんなに顔がまっかなのかな?」
「・・・えい」
「にゃ~! なんか目に入った~!」
イクスが何をしたかは知らないがその場でヴィヴィオが悶えて転がり始めた
一先ず無視しよう
「あの・・・お父様? そろそろ解いて頂ければ・・・もちろん私の体を触るのを続けて下さっても構いません」
「その言い方は誤解を招きそうだな」
今度こそ解いてキチンと着させる
しかしヴィヴィオもイクスも、どの段階で苦戦したのか・・・羽織って紐を結ぶだけなのにな
「イクス」
「はい?」
「ヴィヴィオに何したの」
「にゃーめぁー」
未だにヴィヴィオは呻いている
「落ちてたゴミを投げただけです・・・ヴィヴィオ、少し我慢して止まりなさい」
「・・・うん」
ちょこんと我慢して座るヴィヴィオに近づいたイクスは屈んで目のゴミを取る仕草をしていた
「ありがとぉ」
「いいえ」
・・・ゴミを入れた張本人にお礼を言うのも変な感じだと思うのは俺だけだろうか
まぁ礼を言うのは大切だよな
「よしっ色々解決したしアイスでも食べに行こうか」
「バニラ~!」
「お父様と一緒が良いです」
抹茶かな
イクスは抹茶は大丈夫だったっけな
「ん? ガリューだ!」
「ガリュー?」
脱衣所の扉を開けるとガリューが牛乳を持って控えていた
「え? くれるのっ! わーい!」
「ルーテシアちゃんから?」
頷く
「ホントにルーテシアちゃんはこだわり派だね」
「こだわりなのですか?」
「ああ、日本だね、ジャパニーズだよ」
「日本・・・お父様の故郷ですね。召喚士・・・ええと貴方の主のルーテシア・アルピーノにはお礼を言っておいて下さい」
イクスも丁寧に頭を下げてガリューから牛乳を受け取ると興味深そうに飲んでいる
「ぷはっベルカより甘いミルクだねっイクスお姉ちゃん」
「・・・ですね」
甘めの飲み物らしい準備された牛乳は、まだまだ子供であるイクスやヴィヴィオのお気に入りになりそうだった
ルーテシアちゃんは調べて細部まで再現する拘り派です