前回のあらすじ
起きると二日も経っていた→アギトが折檻を受けていた→救出→イクスを少し怒って→違和感を調査→深く調べないと分からない仕組み発見→魔法が使えなくなったかも知れない→原因のアギトにイクスが激怒→今後は魔法を使った戦いは出来ないな
まぁ元々魔法にそこまでの執着を持っていなかったので悲しいが、今回の事で諦めが付いたと考えれば納得も出来る
と、結局なんだかんだでウジウジと悩んでいる気がするなぁと自分の不甲斐無さを感じていると音を立ててキャロが入ってきた
「入ります!」
「ん? キャロか、如何したの?」
「ええ、ビックリな事に秋春以外にイクスちゃんが頭を下げたので来てみました」
早い話がイクスが呼んだって考えて良いんだろうか
「そうか。あれはイクスの心配性だから気にしなくても良いよ」
「・・・へぇ~・・・結構凹んでいるんですね。意外です」
「ん、凹んでいるように見えるか」
凹んでいるのか
そうか、如何も最近自分の感情が薄い気がするなぁ
代わりに泣いたり笑ったり怒ったりしてくれる子達が居るからかな
「ええ、無理もないです。イクスちゃんが言うように、秋春の努力は結局こんな形で踏み躙られた訳ですし・・・それにしてもアギトが居ないなぁーって思った時点でこの可能性を思い浮かんでおくべきでしたね」
如何やら話はイクスから聞いたらしい
キャロは近づいてきて魔力を纏った手を布団に包まっているアギトに翳した
「イクスちゃんはギリギリのラインがよく分かってますよね」
「治癒魔法・・・かな」
「そうです。まぁこの魔法は外見的な傷じゃなくて内面的な傷を治すモノですけどね」
毛布の中で身動ぎしたアギトはゆっくり目を開けた
「あ、起きたみたい」
「大丈夫か?」
「・・・キャロ・・・アキハル」
顔色は良いな、体温も暖かい、特別震えと言った症状も無い
流石キャロだね
バッチリ治っているようだ・・・心の傷を和らげるなんて相当レベル高い技術だろう
感心して見ているとキャロがニコリと笑う
ん?
「アギトの服を着せたいのですこーし目を瞑っていて下さい、あといつまで抱いている気ですかねぇー」
アギトをキャロに渡して枕で顔を全力で隠した
・・・うん、アレは逆らうと駄目だ
「ついでにアギトに今の状況を説明してもらえますか?」
「べ、別に良いけど・・・そんな言う事でも無いんじゃない?」
「なにを言っているんですか。何故イクスちゃんが、あれほど怒っているかをアギトは知っておくべきですよ。イクスちゃんは喋りませんからね」
一理有るか
取り合えず説明出来ない部分は省いて事実をアギトに伝えた
ちなみにイクスに言った言葉には語弊が有る
確かに俺自身は魔法が使えなくなったのだがアギトとユニゾンした場合はその限りでは無い
リンカーコアが侵食されたか
魔力を常に限界までアギトに吸われているのか
実はアギトが俺のリンカーコアなんて冗談みたいな可能性だってある
・・・まぁ詳しく調べればハッキリする事なんだけどね
ぷはっ、そろそろ枕を外しても良いかな
「・・・だったらナニか? アキハルはあたしのせいで魔法が使えなくなったって事か?」
「平たく言えば」
その代わりにユニゾンシステムを手に入れたんだから等価交換どころか儲けた事になるんだがな
・・・たぶん
「そんな・・・あたしが・・・あたしがアキハルの・・・そんなつもりじゃなかったのに」
「まぁまぁ、アギトはそんなに落ち込まない。秋春の魔法なんて最初から有って無いようなモノだから」
ひでぇ! さっき俺が頑張ってたの知ってる口調だったよね?!
「まぁ少しは支障が出るでしょうが、フェイトさん達じゃあるまいし、大きな差では無いですよ・・・それに、そこはアギトがカバーすれば良いでしょ? 秋春の融合騎なんだから」
「・・・キャロ」
「本人置き去りにそこまで話を進めるか」
確かに炎熱系に縛られる事を無視すれば、カバーどころか主戦力に成り得る。と言っても良いはず
・・・まぁ学院での仕事は命の危険なんて無いし誰かと勝負する事も無い訳だけど
何処かのテロが襲撃しようが、それは警備の人が如何にかしてくれる
不良生徒は生徒指導の教員の方にでも任せれば良い
うん! 魔法も融合騎も必要ないな!
「ん~アギトはこれで大丈夫だとして、次はイクスちゃんか~・・・イクスちゃんは秋春が説得するしか無いよね・・・まぁヴィヴィオでも良いかもだけど・・・」
「なんか積極的だね」
「え? 当然じゃないですか。家族は仲が良い方が良いに決まってますよ」
・・・ふむ、それはそうだな
雨水家の纏め役はキャロさんで・・・