召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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百九十二話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

集合場所で待つ→その間にイクスと少し会話→やっと来たと思ったら、いきなりお化け屋敷に挑戦するらしい→そこでヴィヴィオと賭けをする事になった

 

早い話が驚いた方が負け

 

先に入ったのは俺とイクス

 

 

「因縁付けられたくないからイクスも叫ばないように努力しろよ」

 

「はい、お父様」

 

 

此処のお化け屋敷は廃墟と化した病院をモデルに作成されている

 

そして取り合えず何かを参考にしたような感じの、あからさまな仕掛けだった

 

何か有りしだいイクスに伝えて身構えて進んだので最後帰り二階までアッサリ抜けれた

 

 

「それにしても」

 

 

観察眼で見える多数の魔法陣を見ながら踏まないようにイクスの手を引いて進む

 

 

「魔法仕掛けなのは面白いよな」

 

「・・・魔法が仕掛けてあるのですか?」

 

「ああ、その辺にね」

 

 

魔法察知がヴィヴィオや高町一尉ほど高くないイクスには如何やら隠蔽魔法と併用された魔法陣は分からないらしい

 

戦闘中なら分かるんだろうけどな

 

 

「もしかして他の人の声が聞こえないのは魔法ですか?」

 

「ん? そうだね。悲鳴は聞こえてたけど、あれは恐怖を煽るようなタイミングだったし人工だね。先に入った人の声はたぶん聞こえないようにしてあるんだよ」

 

「・・・そのような魔法もあるのですね」

 

「イクスは戦闘特化だもんね~」

 

 

最近は学院に行く時しか一緒じゃないイクスのデバイスのノノ無しでは未だに非殺傷設定も出来ないっぽいからな

 

 

「恥ずかしい限りです」

 

「良いよ、そんなイクスも格好良くて可愛いからね」

 

「ふにゃあ」

 

 

最後と思える大きな仕掛けに差し掛かったところで後ろから走ってくる足音が聞こえてきた

 

 

「ん? 此処でフェイントか?」

 

 

振り向くと小さな子供くらいの人影を抱えた大人が叫びながら走ってきている

 

 

「あれは・・・」

 

「ヴィヴィオじゃないですか? お父様」

 

 

近づいてくるとハッキリと高町一尉の叫び声と分かる

 

 

「にゃぁああぁぁあああー~!!」

 

 

物凄いスピードですれ違った

 

一応すれ違い様には、ヴィヴィオがぐたーっと疲れたように抱えられているのを確認できた

 

って言うか高町一尉。俺達にも驚いていたけど、もしかしてお化け屋敷の仕掛けと勘違いしたのか?

 

 

「にゃわ! またなの! あっちいってお願い~!」

 

「なのはママうるさーい」

 

 

見事に魔法陣を踏みまくっている

 

 

「あの人の魔法察知能力なら全部避けれるはずなんだけどなー」

 

「・・・あの方は何に驚いているのでしょうか?」

 

「あんな風になると最早何でも無い物音にも怖がるようになるんだよ」

 

 

高町一尉は完全に我を忘れているし、ヴィヴィオは振り回されて疲れているし・・・心配なので俺とイクスは歩くペースを速めて急ぎ足でゴールに向かった

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

無事に外まで俺らが着いた頃には二人してベンチで背凭れに寄り掛かりジュースを飲んでいた

 

 

「勝敗は引き分けだな、ヴィヴィオ」

 

「・・・ぅあー」

 

 

ヴィヴィオは驚く暇も無かっただろうしな

 

 

「で? 高町一尉はどのくらいで根を上げたんだ?」

 

 

口を閉ざしていたヴィヴィオがゆっくりと開ける

 

 

「・・・あのね・・・最初からたぶん半泣きだったの・・・そして二回目のしかけで泣いてて・・・五回目ではぐれて・・・もどってきたとおもったらヴィヴィオをかかえて・・・それからビュ~って・・・つかれた・・・みみがキンキンするの・・・あきパパだっこ」

 

 

抱っこは流石に恥ずかしいが、頑張ったんだろうと撫でてやると気持ち良さそうに目を閉じて手の方に擦り寄った

 

・・・猫っぽいな

 

 

「・・・雨水さん」

 

「なんですか、高町一尉」

 

「お化け屋敷って怖いね」

 

「怖くないお化け屋敷なんて売れませんよ」

 

「・・・そうだね」

 

 

高町一尉は完全に落ち込んでいた

 

まぁヴィヴィオの前でアレだもんな・・・それは立派な母親を目指す高町一尉は落ち込むだろうよ

 

やれやれ・・・せっかくの遊園地だけど二人の復帰には昼まで掛かりそうかな




なのはさんの状態としては、もう仕掛けを確認せずに何か出てきたら叫ぶ、くらいの状態でした

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