以前お話したとは思いますが、今回は私のお父様について話したいと思います
お父様は包容力の有る優しい人柄を持つ人物で、自然と人が集まるような人です
そして今年の初めには、前々からの私の我が侭である学院にも通わせてもらい、非の打ち所の無い完璧なお父様です
まぁそれでも、強いて私がお父様に苦言を呈すなら、その優しさ故の誰にでも好かれてしまうと言う事だと思います
「星を見ながら何を書いてるの、イクス」
「えと、学院の課題で家族について書き出すように言われたので」
「へ~やっぱりそう言うのは何処にでも有るんだね」
お父様の現在のお仕事は、私の通うザンクトヒルデ魔法学院の生徒相談役教師と言う大勢の悩める生徒の助けとなる仕事です
「何処にでも、とは今までお父様が勤めた他の学院でも有ったのですか?」
「ん、まぁね」
「あきパパ~!」
「ヴィヴィオ、今日は此方なのですね」
高町ヴィヴィオ
微妙な立ち位置ですが私の・・・妹です
「ろこつに嫌そうな顔しないでよぉー」
「あ、そうだ。チンクが朝から居ないんだけど見た?」
「チンクお姉ちゃんはアギトといっしょにルーテシアお姉ちゃんの家に泊まるって言ってたよ」
未だにヴィヴィオの頭の中の家族図がイマイチ掴めません
「イクスお姉ちゃんなに書いてるの~?」
ヴィヴィオが後ろから抱き着こうとしたので当然払おうと思ったのですが、お父様に当たりそうだったので受け止める
すると、お父様が不思議と嬉しそうな表情をしたように見えた
「離れなさい」
「イクスお姉ちゃんにだきつくと何だかほわわ~んってするんだぁ~」
「知りませんよ」
本来なら険悪
嫌われてもおかしくない行動を取っていると思っているのですけどね
「二人はなんて言うか意外と仲か良いよな」
「姉妹だからね~・・・イクスお姉ちゃんは優しいしっ」
優しい?
相変わらずヴィヴィオの感覚は分かりません
「イクスはちゃんとお姉ちゃんしてる訳か」
「たっだいま~!」
・・・ただいま?
おかしいですね
シロは台所ですし、チンクとアギトは帰って来ない。ルシエさんは当然仕事なのに・・・残りは誰でしたっけ?
「なのはママ、また来たの?!」
高町なのはですか
確かヴィヴィオの母親で私でも警戒する未知数の人間
「高町一尉。人の家に上がり込んでただいまとは何事ですか」
「だって一人で食事って寂しいから来ちゃった」
「フェイトさんが居るでしょう?」
「今日はフェイトちゃんが仕事で遅いらしいの~」
お父様は溜息をついてヴィヴィオを持ち上げると放り投げた
「にゃ~!」
「それなら折角ですし、親子で学院の話でもしていて下さい。もう少しで夕食は出来上がりますので」
高町なのはがヴィヴィオをキャッチしたところでお父様はリビングとベランダを繋ぐ窓を閉めた
「はぁーまったく高町一尉は行動力あるなー・・・まぁその辺はヴィヴィオも似てきているから心配だな」
「あの方とヴィヴィオが似ていると言うのは私も同感です」
私の場合はヴィヴィオと高町なのはの瞳がとても似ていると思うんですよね
「似た者親子ね・・・まぁ羨ましくも有るよね」
「え?」
「ん? んんー気にしないで良いよ」
羨ましい?
お父様のその言葉にはどんな意味が有るのでしょうか
「秋春様!」
「ん? その呼び方は久しぶりに聞いた」
「似てようと似ていまいと秋春様は私のお父様でお父様なんですからね!」
一度首を傾げたお父様は何も言わずに微笑んで私の髪をクシャクシャと撫でた
それに合わせてズキリと胸が痛くなる
「ふにゃ~」
「ははっイクスはホントに父親想いの良い子だね~。嬉しいけど反抗期とか想像を絶しそうで怖いなー」
反抗なんて致しませんよ
・・・雨水イクスは身も心も全てお父様の為に存在していますからね
次回はヴィヴィオ視点で高町親子の方を書きたいと思います