召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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百五十八話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

聖王教会に行く→教会騎士に教え子が結構行っているらしい→知らない所で有名に→騎士カリムの優雅な雰囲気に帰りたくなった

 

教会で騎士カリムとお茶を楽しみ、優雅を満喫して家に帰るとイクスが出迎えでくれた

 

そしてとても良い笑顔で上着を持ってくれると言うので、渡そうとしたのだが・・・

 

 

「ほいっ」

 

「はい」

 

 

ドサッと床に上着が落ちる

 

 

「「・・・。」」

 

 

イクスの手は上着の落ちている数センチ横上空にある

 

ふざけているのだろうか

 

もしくはイクスなりのジョーク?

 

 

「すみません、ボーっとしてました」

 

「このタイミングでボーっとするなよ」

 

「はい」

 

 

そして一緒に二階に行く為に階段に足を掛けたのだけどイクスが踏み外しかけた

 

 

「・・・上着で下が見えないのか?」

 

「い、いえいえ!」

 

 

まさか身体異常でも出てるか?

 

 

「ちょっとイクス動くなよ」

 

「分かりました」

 

 

観察眼

 

身体的な異常は無し

 

 

「勘違いか・・・もう良いよ、疲れているなら無理するなよ」

 

「ふにゃ」

 

 

頭を撫でると何時も通りにとろける

 

うん、いつも通りのイクスだな

 

 

「上着はそこに掛けておいて」

 

「はい」

 

「今日はキャロは帰ってきてる?」

 

「いえ、ルシエさんは六課の関係で遅くなるらしいです。夕食は召喚士が・・・」

 

 

召喚士ってキャロも被ってるんだけどね

 

 

「ルーテシア・アルピーノね」

 

「ん?」

 

 

久しぶりにイクスの無垢な首を傾げた疑問のポーズを見た気がする

 

 

「召喚士の名前。そう言えばイクスには紹介してなかったよね」

 

「・・・。」

 

 

チンクやアギトの事も名前じゃなかったな

 

前は敵対心かと思ったけど、イクスの場合は忘れている可能性も有るよな

 

実際俺の名前も二度目で覚えたし

 

 

「戦闘機人はチンクで融合騎はアギト」

 

「・・・。」

 

「一気に覚えなくても良いから名前で呼んであげような」

 

「ルーテシア・アルピーノ、チンク、アギト」

 

 

俺に呼ばれても困る

 

 

「まぁ良いや」

 

 

一緒に住んでいるんだから、その内に仲良くなるか

 

ルーテシアちゃんはアルピーノさんが元気になったら、そっちに行くだろうけどね

 

寂しくなるな

 

 

「では、夕食に行きましょうか」

 

「そうしよっか」

 

 

自然な流れで先に立ったイクスの後ろに立つ

 

イクスは扉を開けようとしたのだろうけど手は空を掴む

 

・・・おかしい

 

 

「イクス」

 

「ボーっとしていたみたいですね」

 

「イクス」

 

 

一度目はジョークで済ませれたけど明らか過ぎるよな

 

肩を掴んで此方を向かせる

 

 

「何処か体調が悪いのか?」

 

 

再度観察眼で見るが何かしらの異常は見えない

 

検索項目が間違っているのか、本当に異常では無いのか

 

 

「体調は・・・悪くないです」

 

「さっきから・・・もしかして体が思う様に動いてないのか? それとも目が著しく悪くなっているのか?」

 

「ち、違います。先程からのは・・・冗談です」

 

 

冗談って・・・嘘が下手にも程が有る

 

 

「イクス・・・迷惑を掛けたくないのは分かるが・・・」

 

「大丈夫です!」

 

 

俺の言葉を遮り逃げる様に扉を開けて出て行った

 

この後も何度か問い詰めようとしたのだが逃げられ続けた

 

・・・イクスに此処まで避けられるのは初めて出会った時以来だな




イクスの不調が雨水にバレてしまいました

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