召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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百四十五話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

キャロに呼び出される→告白の返事を求められる→・・・酔っていた→自然に眠るのを待つと意外とアッサリ寝た

 

静かに眠るキャロの寝顔を見ながら真剣に返事を考えた

 

そして考えが纏まりキャロが起きるのを待っていた

 

 

「んー」

 

「おはよ」

 

 

・・・結局キャロが起きたのは、朝日を浴びてからだったので一睡もしていない

 

 

「う、すいさん?」

 

「覚えてる?」

 

 

起き上がったキャロはゆっくり周囲を見渡し首を傾げる

 

 

「なんで雨水さんがわたしの部屋に?」

 

「お前の部屋じゃない・・・その様子じゃ覚えてないみたいだな」

 

「・・・んー・・・あ」

 

 

何処までかは分からないが何か思い出したらしく慌てだした

 

 

「あ、あの! 昨日わたし何処まで言いました?!」

 

「告白の返事を要求してたかな?」

 

「わわあーー!」

 

「その様子だと返事も覚えてないみたいだね」

 

 

言って無いけど

 

 

「・・・何て言ったんですか」

 

「一回しか言わないって約束だよね~」

 

「ッー!」

 

 

口をパクパクと何を言って良いか分からなくなっているようだ

 

 

「さて、冗談は此処までにして」

 

「・・・へ? じょうだん?」

 

「うん、返事をする前にキャロったら寝ちゃってさ・・・未成年がお酒なんて飲むなよ」

 

「・・・だって、少し酔ったくらいが色気があるって・・・エリシアさんが」

 

 

エリシアぁー

 

・・・それでエリオも落ちたのか? そうなのか?

 

仕事上必要に迫られて飲んでいるエリシアと、そうでないキャロとでは酔いの周りが違うだろうに・・・

 

 

「聞きたい? 返事」

 

「言わないと全力で殴ります」

 

 

全力で両手を挙げてみた

 

 

「酔っている時も、そうやってキスしようとしたよな」

 

「なッ!」

 

 

投げられた

 

それにしてもキャロみたいな小さな体躯で・・・ストライクアーツとは違うよな?

 

 

「真っ赤な顔で可愛いねー」

 

「はぐらかしても駄目です!」

 

「そうだね」

 

 

取り合えず逆さに見えるキャロの表情を堪能した後にベットに座る

 

キャロは思い出せないので俺の言葉が何処まで本当か分からず、しゅんと小さくなっていた

 

 

「改めて言います・・・好きです。雨水さん」

 

 

一秒が一分か一時間か

 

ともかく恐ろしいほど静まり返る

 

自分以外の全ての時間が止まるとはこんな感覚なんだろうな

 

 

「ごめんね」

 

 

そして俺は頭を下げた

 

 

「・・・え・・・と・・・ですね」

 

「・・・。」

 

 

小さな笑いと嗚咽の混じった声が聞こえる

 

 

「つまり・・・ですよね?」

 

「うん」

 

「嫌いですか?」

 

 

反則な質問だよな

 

 

「好き」

 

「だ、だったら」

 

「でも、それは恋愛感情じゃない」

 

「・・・。」

 

「年齢は些細だってキャロは言うだろうけど、やっぱり年の差って言うのは大きいよ・・・きっと、キャロはこれから仕事や遊びを一杯して。俺より良い人に何人も出会って、相応しい人に何人も出会って・・・まぁそこから選べば良いさ」

 

「・・・だったら、わたしが大人になったら良いんですか?」

 

 

駄々を捏ねているとキャロも分かっている

 

だけど止めれる訳がない

 

その気持ちは分かる

 

自分に落ち度があるなら納得も出来ただろうけど、年の差を理由にされると言うのは・・・単に運が悪かったようなモノだろうから・・・

 

 

「大人になったら・・・近いようで遠いよな。よく分からないし心変わりするには十分だろ」

 

「しません・・・心変わりなんて絶対しません!」

 

 

きっと本当に心変わりしないんだろうな

 

フェイトさんの娘で高町一尉の教え子なんだから

 

 

「キャロらしい」

 

「当然ですよ。わたしなんですから」

 

「だけど・・・それでも俺はキャロからの気持ちは受け取れない」

 

「・・・。」

 

 

キャロはベットの上で立ち上がり、飛びつく様に抱き付いてきた

 

 

「キャロ?」

 

「・・・。」

 

「キャロ」

 

「へんじ・・・ありがとう・・・ございます」

 

 

有難うか・・・強いな

 

予想ではボコられるか火炙りにされるかなんて物騒な事を思っていたんだが・・・女の子はこれだから驚くよ

 

 

「ちょっと苦しいかな」

 

 

小さな体の何処にそんな力があるのかと思うくらい、ギューッと抱きしめられている

 

・・・背骨が

 

 

「・・・恥ずかしいですから・・・泣き終わってからで良いですか?」

 

「・・・まぁ」

 

 

・・・声こそ出さなかったが満足するまで泣き続けた




一先ずストライカーズ編終了です

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