召喚少女のリリカルな毎日   作:建宮

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百四十四話~side 雨水~

前回のあらすじ

 

チンクとルーテシアちゃんの二人で料理→チンクが若干足手纏いな所を見せていたが完成→イクスにも試食をしてもらい評価は普通→これで料理が苦手なのはイクスだけ

 

六課関係で出かけていたと思っていたキャロに呼び出された

 

 

「如何にも高級ですよって場所だよな」

 

 

本局近くの人気ホテル・・・だったはず

 

何でこんな場所に呼ばれたのか検討も付かないが、音声通信でのキャロの声はかなり真剣だった

 

 

「この部屋か」

 

 

家から離れた場所にあったと言う事も有って、少し遅くなったかも知れない

 

中でキャロが怒っていなければ良いけど

 

 

「キャロー・・・キャロ~?」

 

 

真っ暗だったのでテキトウに部屋の明かりを付けていく

 

そして寝室にキャロは居た

 

 

「部屋真っ暗にして何してんだよ」

 

「・・・。」

 

「えと、キャロ?」

 

「・・・。」

 

 

口をキュッと結んで上目使いで此方を見ている

 

えーっと・・・なに?

 

 

「・・・へんじ」

 

「はい?」

 

「返事」

 

「いや、だから・・・なに?」

 

 

キャロが手を差し出した

 

・・・握れと?

 

意味は分からないが手を握った

 

 

「のわっ!」

 

 

何が起きたのがキャロに馬乗りされていた

 

 

「うー」

 

「キャロ? キャロさん? これは一体・・・」

 

「もう待てません!」

 

 

何が?!

 

 

「雨水さん! いい加減に・・・限界なんですよっ!!」

 

「いや! だから何が?!」

 

 

召喚の詠唱も聞こえないのに、ベットの彼方此方からミッド魔法陣が現れて、アルケミックチェーンにグルグル巻きにされる

 

一切魔法に思考を割いている様には見えない

 

 

「告白の件ですよ!」

 

「あ、あー」

 

 

忘れていたなんて言えない

 

・・・殺される

 

 

「もう先延ばしはさせません。此処なら、シロも、イクスちゃんも、ヴィヴィオちゃんも、ルーちゃんも、チンクさんも、アギトも・・・誰も邪魔は入りません」

 

 

ぐいっと威圧するように顔を近づける

 

逃がさない。と言いたげで目が怖い

 

 

 

「キャロ?」

 

「はい、なんですか」

 

 

鼻先がぶつかるくらい近い

 

・・・ん?

 

ほのかに甘い・・・アルコールの匂い

 

 

「酔ってない?」

 

「よってにゃい」

 

 

露骨に酔っていた

 

シチュエーション的に顔を赤くても可笑しくないので気付かなかったが近づいた時に分かった

 

かなり少量だけど確かに・・・

 

大よそ酒に背中を押して貰うつもりだったんだろうけど

 

 

「キャ、キャロさん? 酔っているようなので、またの機会に」

 

「よってらいです! それよりですね! はーやーくぅへんじ!」

 

 

仕方無い

 

見る限りだと限界も近そうだし眠るまで時間稼ぎさせてもらうか

 

やれやれ、客の年齢くらい確認しておけっての

 

 

「キャロ、色々恥ずかしいから目を瞑ってくれないかな?」

 

「・・・わかりました」

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

 

少し可哀想な気がするけど、この場合は仕方無い

 

 

「・・・。」

 

「・・・あの」

 

「ごめんね、決心が固まらなくて」

 

「いえ、まちます」

 

 

暫くするとキャロの体から力が抜けて凭れ掛かってきた

 

それと同時にチェーンも消失する

 

 

「普通はチェーンは残るんだが・・・やっぱり無意識に出していたのが原因か」

 

 

身を起こしキャロに布団を掛ける

 

 

「酒の力とは言え、さっきのが本音なんだよな」

 

 

限界ね

 

答えのわからない事を待つのは不安だったんだろうな

 

 

「女の子が此処まで勇気出して男が何もしない訳にもいかないか」

 

 

・・・さて・・・どうしよう




事件も終わったと言う区切りの一つとしてキャロとのイベント

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